社長の日曜日

社長の日曜日 vol.74 パンダの故郷 その2 2024.11.04 社長の日曜日 by 須毛原勲

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 すっかり涼しくなり、朝は手袋が欲しいくらいの寒さだ。澄み切った空が広がり、文字通り「天高く…」の秋だ。

 衆議院総選挙が行われた。裏金問題がきっかけに国民の自民党への怒りが高まり、自公は過半数の維持が叶わなかった。立憲民主党は選挙前の98議席から50議席増やし、計148議席となった。国民民主党も選挙前のわずか7議席から28議席に増加し、議席数が約4倍となっている。選挙後の1週間、国民民主党の玉木代表は自公と立憲民主党の双方から引っ張りだこだ。本人は「ずっと売れない地下アイドルだったのが、やっと時代が見つけてくれた」と語っている。現在、自公と国民民主党は部分連合(パーシャル連合)に向けて協議を進めており、今後の政局から目が離せない。

 選挙の開票日に、石破茂首相がTBSテレビで爆笑問題の太田光さんとのインタビューに応じた場面は、石破茂首相の率直すぎる人柄が垣間見えた。

太田光「首相、眼鏡変えたんですね。」

石破茂首相「これ、度入ってないんだよ。眼鏡かけないと顔が怖いって言われちゃうんでね。」

太田光「政治家は嘘ついちゃダメなんじゃないですか?」「眼鏡かけても顔怖いですけどね!」

 11月15日、16日に南米ペルーで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせ、石破首相と中国の習近平国家主席が初めて会談する方向で調整が進められていると報じられている。先日、深圳で発生した現地日本人学校の生徒刺殺事件の真相究明も進展していない中、日中の「戦略的互恵関係」を具体的にどう展開していくかが問われる。また、福島第一原発の処理水放出がきっかけとなった日本産水産物の禁輸措置が、どのように撤廃に向かうのかも注目したい。多くの課題を抱える日中関係の改善に向けて、両首脳の言動に期待が寄せられる。

 選挙での敗北後に習近平主席と会うのは格好がつかないかもしれないが、政治は止めるわけにはいかない。石破首相が習近平主席にどう向き合うのか。眼鏡をかけて会談に臨むのかどうかも楽しみにしている。

 スポーツの秋、その中で野球の秋が幕を閉じた。

 大谷翔平選手が移籍したドジャースは、ワールドシリーズで見事にニューヨーク・ヤンキースを破り、悲願のワールドチャンピオンに輝いた。移籍初年度での快挙に、日本のテレビは大谷選手一色。多くの日本人が彼の活躍に勇気づけられている。

 一方、我が巨人軍は、4年ぶりにセ・リーグを制覇したものの、CSの最終戦でセ・リーグ3位の横浜DeNAに敗れ、日本シリーズ進出を逃してしまった。そして、そのDeNAがパ・リーグの覇者ソフトバンクを破り、下克上で26年振りの日本シリーズ優勝を果たした。2連敗からの劇的4連勝での優勝。DeNAは強かった。DeNAおめでとう。

 先週、久しぶりに上海と成都へ出張してきた。

 上海では、とあるプロジェクトのために街中の風景を撮影した。茂名南路から長楽路、淮海中路、復興西路、衡山路、静安寺に至るまで、フランス租界地を中心にさまざまな風景を写真に収めた。上海に駐在していた頃でさえ、ここまで広範囲に歩いたことはなかった。ランチは上海時代に通ったイタリアンレストラン。相変わらずの人気店だった。

 上海といえば、黄浦江沿いに広がる外灘の景色が有名である。黄浦江は長江が東シナ海に注ぐ前に合流する支流であり、私にとっても特に印象深い風景である。

 中国が2001年にWTOに加盟し、GDPが毎年二桁成長を遂げていた時期、その成長を牽引していた上海。2003年、私がシンガポール駐在中に参加したアジア商品会議で見た外灘の風景は、その1年後に中国赴任というチャレンジを受けて、やってみたいという思いを後押ししてくれた風景である。

 今回出張した成都は最も好きな街の一つ。緑が多く、時間の流れがなんとなくゆったりしているような雰囲気がある。日本人が大好きな「三国志」の蜀の首都として知られる。劉備玄徳や諸葛孔明、関羽、張飛がいた街である。麻辣の四川料理も有名である。

 そして、なんと言ってもパンダの故郷。空港に着くやいなや至る所にパンダをフィーチャリングした広告が溢れている。以前もこのブログで紹介せて頂いたが、上海駐在当時、会社として「成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地」の双子のパンダの里親となっていた。きっかけは、「成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地」が東芝の製品を導入してくれたということで、御礼もかねて成都訪問の際に販売代理店の社長とご挨拶に行ったこと。その際、案内してくれた研究所のスタッフが日本語で丁寧に応対してくれた。今でもその時の会話を思い出す。

スタッフ「パンダには夢があります。なんだと思いますか?」

私「なんだろう。世界中の人たちに愛されることですかね?」と私。

スタッフ「パンダは白黒なのでいつかカラフルになりたいと思っています。」

私「なるほど。」

スタッフ「雌のパンダにはまた別の夢があります。それは何でしょうか?」

私「分かりません」

スタッフ「雌のパンダは目の周りの隈(クマ)を取り除きたいと思っています」

 四川省では皆が知っている「パンダの夢」らしい。

 その後、寄付をお願いされ、命名権を頂けるとのこと。それから半年後、「成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地」への寄付は本社の社会貢献活動の一環として承認され、双子のパンダは、雄は「東東(dōng dōngトントン)」、雌は「芝芝(zhī zhī iツィーツィー)」と名付けさせていただいた。毎年、寄付を更新するたびに訪問し、双子のパンダを両腕に抱っこさせてもらったのは実に貴重な体験だった。

 成都が位置する四川省は「美人の里」とも知られている。諸説あるが、現地の中国人の話によると、成都は晴れの日が少く、60%から70%は曇りの日とされ、紫外線を浴びる時間が少ないため肌が美しい人が多いとされる。 また、四川料理には豊富な香辛料が使用されており、その発汗作用により体内の新陳代謝が活性化されて綺麗な人が多いとも言われている。

 四川省、重慶、湖南省の女性を称して「辣妹子(là mèi zi)」と呼ぶことがある。直接的な意味は「辛い妹(姉妹)」。主に四川省や重慶の方言で使われる言葉である。この言葉は、魅力的で活発な女性を指すスラングとして用いられることが多く、特に「辣(là)」は辛い、刺激的という意味を持つため、性格や外見において「魅力的でありながら少し刺激的」というニュアンスを含んでいる。

 成都の女性にとって辣妹子((là mèi zi)という言葉は褒め言葉として受け入れられているようだ。一方で、四川省の女性と結婚すると大変だという説もあるらしい。

 因みに、今回訪問した現地企業の女性スタッフは皆優しい人ばかりであった。

11月3日

by 須毛原勲

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