社長の日曜日

社長の日曜日 vol.83 激動の世界と輝く日本人たち 2025.01.27 社長の日曜日 by 須毛原勲

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春節前の慌ただしい日々

 2025年の中国の春節(旧正月)は1月29日である。前日の1月28日は、旧暦の大晦日(除夕 / chú xī)。1月28日から2月4日までの8連休となる。なお、先週後半あたりからすでに休暇に入っている企業や、休暇を取っている人も見受けられる。

 中国の春節についての詳細は、先週リリースした「リアル中国生活!Mikiの上海通信 – vol.10 上海の春節今昔」に詳しく書かれている。生粋の上海人であるMikiさんが毎週、中国の「今」をリアルに切り取りながら執筆しているエッセイである。上海に11年住んでいた私自身も「なるほど」と感心することが多く、毎週楽しみにしている。

 さて、春節の連休の影響で、この2週間は非常に忙しい日々を送っていた。当社が支援している中国企業からの仕事の締め切りが春節前に集中し、打ち合わせも相次いだためである。

 ほぼ毎日通っていた少し離れた大きな公園でのラジオ体操にも、最近は1日おきくらいしか参加できていない。朝寝坊が理由ではなく、ジョギングやラジオ体操をスキップしなければ仕事が間に合わない状況になってしまったからである。「最近は、よくお休みですねえ」とラジオ体操で隣同士になる年配の女性から言われてしまった。

激動のトランプ政権、日本への影響は?

 1月20日、共和党のドナルド・トランプ氏が第47代アメリカ合衆国大統領に就任し、第2次トランプ政権が発足した。確実に世界が大きく変わろうとしている。

 初日から26件もの大統領令に署名したとのことで、その中で特に注目すべき内容を挙げてみた。

 諸手を挙げて賛成できるか、と問われたら、答えには窮するものばかりだ。特に、気候変動が深刻化している状況で、またもやパリ協定から離脱するという決定には失望を禁じ得ない。

 さらに、トランプ大統領は2月1日からメキシコやカナダからの輸入品に25%の関税を課すことを検討しているという。中国に対する関税については現時点ではまだ発表されていない。

 2期目のトランプ政権は、いずれにせよ4年間という期間に限られる。この4年間で生じる激変がその後も続くのか、それとも一時的なものにとどまるのかは現時点では不明である。

 これらの大統領令が日本にどのような影響を与えるのかは予測できないが、慎重に対処しなければ火の粉を浴びる事態は避けられないだろう。かつて安倍元首相は、トランプ大統領との蜜月関係を築き、ゴルフクラブを持参して面談するなど、「下から出すぎだ」と批判されることもあった。しかし、こうした良好な関係が第1次トランプ政権期に日本を攻撃対象から外す一助となったのも事実である。

 実際、トランプ氏が安倍氏を見下していたようには思えない。2人は本当に友人関係にあり、その影響でトランプ大統領は日本に対して好意的な姿勢を持つようになったのではないだろうか。大相撲観戦の際、トランプ大統領が楽しそうにしていた姿が印象に残っている。

 石破茂首相がこの激動の中で巧みに立ち回り、国益を守ってくれることを願うばかりである。安倍元首相に負けない外交手腕を発揮し、より良い日米関係を築いてくれることを期待している。

「51番」の伝説、イチロー氏の殿堂入りとその意味

 イチロー氏が日本人として初めて米国野球殿堂入りを果たした。日米通算4367安打、外野手として10年連続ゴールデングラブ賞受賞、2004年にはメジャー記録となるシーズン265安打を達成――その実績は信じられないほど輝かしいものである。今回の殿堂入りでは満票に1票足りなかったものの、99.7%という高い得票率で候補者1年目にして米球界最高の栄誉を手にした。

 イチロー氏はオリックスで9年間、MLBで19年間、計28年現役を続け、45歳までプレーを貫いた。米国野球殿堂入りで「1票足りなかった」ことが話題に上っているが、それよりも驚くべきは日本の野球殿堂入りの際の得票率である。有効投票数349票中、323票(92.6%)の得票だったが、実に26人もの投票者がイチロー氏に票を投じなかった。こちらの方が、個人的には首をかしげたくなる。

 マリナーズはイチロー氏の背番号51番を永久欠番にすると発表した。その発表を聞いて、イチロー氏が目を潤ませていた姿が非常に印象的であった。現役時代の彼は、孤高の存在であり、感情を表に出すことは少なかったように思う。さらに、彼の言葉は時に難解で、理解するのに時間がかかることもあった。しかし、現在では日本の高校生を指導する姿が毎年見られ、そこには年齢を重ねた彼の人間的な深みと成長が感じられる。感謝の言葉として奥様とオリックス時代の仰木監督の名前を挙げたことも印象深い。

 現在の米国野球界では、大谷翔平選手が間違いなくヒーローである。しかしその道は、野茂英雄氏が切り拓き、イチロー氏や松井秀喜氏が着実に結果を残してきたからこそ、その後の日本人選手に多くのチャンスが生まれ、大谷選手のような大選手へと繋がったのである。

世界で耀く日本人

 スポーツ界では、世界で輝く日本人選手が沢山いる。ロサンゼルス・レイカーズで活躍する八村塁選手。ゴルフ界では松山英樹選手が米男子ゴルフの今季開幕戦でツアー史上最少スコアを1打更新する通算35アンダーを記録し、ツアー通算11勝目を挙げた。さらに、車いすテニス界では上地結衣選手が全豪オープンで優勝するなど、日本人アスリートたちの活躍が目覚ましい。彼らの活躍には大いに力をもらっている。

 一方、エンターテインメントの分野でも喜ばしいニュースがあった。第82回ゴールデン・グローブ賞において、真田広之氏が「SHOGUN(将軍)」で主演男優賞を受賞した。また、同作品はドラマシリーズ部門の作品賞も受賞し、浅野忠信氏が助演男優賞、アンナ・サワイ氏が主演女優賞を受賞するなど、日本人俳優の活躍が際立った。 少し遡るが、昨年の第81回ゴールデン・グローブ賞では、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が日本作品として初めてアニメーション映画賞を受賞、同作は2024年の米アカデミー賞長編アニメーション賞も受賞しており、宮崎監督にとっては「千と千尋の神隠し」以来、2度目の快挙となった。これらの受賞は、日本のエンターテインメント業界にとって大きな誇りである。

 日本人として、これほど誇らしいことはない。こうした日本人の活躍のニュースを耳にするたびに、自分自身も奮い立たされる思いがする。

 一方で、トランプ大統領の良くも悪くも強力なリーダーシップを目の当たりにすると、そのギラギラした生命力には、眩しささえ感じることもある。

1月26日

by 須毛原勲

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