業務の都合により、当ブログを2回お休みした。
秋の気配を感じる日々のなかで、仕事も社会も次の局面を迎えている。そんな2週間を振り返りたい。
秋の気配と新しい友だち
東京の日の出は5時22分、日の入りは17時50分となり、太陽はすでに秋の様相を見せている。
先週は都内あちこちで被害が出るほどの豪雨や気温の上昇もあったが、少しずつ秋が近づいているのだろう。出張から戻り、通常モードに切り替えて朝のジョギングを再開し、久しぶりに公園の坂を下ろうとしたところ、見慣れないラブラドールに出会った。2歳の雌犬、名前はドリーという。人懐こい瞳で飛びかかり、顔中をなめてくる。唸り声を上げるアメリカンブリーのウィリアム君とは正反対の反応であり、友だちになれそうな予感がした。
新潟で始まった新たなビジネスの芽
「新潟県東アジアバイヤー招へい企画運営業務」を受託してから4か月。新潟市内のみならず、燕市、三条市、長岡市、小千谷市などを訪問し、多くの企業と直接対話する機会を得た。新潟米を活用した保存食・健康食メーカーや、燕三条の金属加工技術を基盤とするアウトドア・キッチン用品メーカーなど、地域の強みを持つ企業が自らの魅力を熱心に伝えてくれた。
韓国や台湾から、新潟企業とのビジネスに親和性が高いバイヤーを招くことができた。商談は60件を超え、保存食関連の企業は試食品を用意し、金属加工関連の企業は実際の商品を持参して、製品の優位性を強く訴えた。越後製菓様の小千谷工場では、工場見学とともに、味と品質へのこだわりと熱意をもった企業説明をいただき、参加バイヤーに強い印象を残した。
さらに、燕市産業史料館と玉川堂の訪問は、バイヤーにとって忘れがたい体験となった。史料館では江戸時代から現代までの燕地区の産業史を体系的に学び、体験工房での鎚目入れにはユーモアあふれる指導も加わり、参加者全員が楽しんだ。人間国宝・玉川宣夫氏の展示品を鑑賞し、その後に本家玉川堂で若い職人の作業現場を見る流れは、展示と実感を結びつける完璧な構成であった。バイヤーの中には、実際に鎚目銅器のぐい呑みを購入する者もおり、交流の深まりを感じた。
最終日の夜には韓国・台湾のバイヤー全員と夕食を共にした。多くの参加者が感謝の言葉をLINEやKAKAOTALKで帰国後すぐに届けてくれたことは、達成感へと繋がった。
日本海を前に考えたこと
出張には、毎朝走ろうとジョギングシューズを持参したが、実際に走れたのは日曜の夕方だけであった。ホテルから西へ走り出し、信濃川を越えた先の歩道には「日本海まで1.0km」と刻まれたプレートがあり、そのまま海まで足を延ばした。日本海を前に、この数か月の活動を振り返り、成果と課題を思索した。
ここからが本番である。商談会は始まりに過ぎない。新潟県企業側からも、今後の海外展開に向けて継続したサポートを希望されている。新潟県企業と韓国・台湾のバイヤーとの契約成立に向け、今後も寄り添いながら支援を続けていきたい。
石破総理辞任と阪神優勝
9月7日(日)の夜、阪神タイガースが圧倒的な強さでセ・リーグ優勝を決めたその日に、石破総理が辞任を表明した。ラジオでは「石破降ろし」と「六甲おろし」が同時に吹き荒れた夜だと評されていた。
石破氏はトランプ大統領との関税交渉では一定の成果を示したが、経済対策の停滞や野党との連携の難しさ、自民党分裂の懸念が辞任の背景にあったのだろう。就任から1年足らずの退陣は志半ばであり、その忸怩たる思いは察するに余りある。総裁選は5人の候補者で争われ、外交・安全保障、経済、物価高対策、イノベーション支援、少子化、地方再生、気候変動と課題は山積している。
一方、ジャイアンツはDeNAとの2位争いのさなかにある。クライマックスシリーズを本拠地・東京ドームで迎えるためにも、ぜひ2位でシーズンを終えてほしい。しばらくは落ち着かない日々が続きそうである。
お知らせ
【特別寄稿】
トランプ大統領の相互関税政策に振り回される世界──日本企業は海外展開をどのように進めるべきか
当社設立5周年を記念し、政策研究大学院大学の篠田邦彦教授に特別寄稿をいただいた。
米国トランプ大統領の「相互関税」政策に一喜一憂する状況が続いているが、日本企業を取り巻く国際環境は想像以上の速さで変化している。いま必要なのは「不確実性を恐れること」ではなく、それを前提に戦略を描き、実行へ移す姿勢である。
篠田教授のご指摘のとおり、現時点では米国の対中関税は対日関税よりも高く設定されている。この国別関税率の差は、日本から米国への輸出を相対的に有利にする可能性を秘めている。さらに、日本企業には米国依存を段階的に下げ、アジア・欧州・グローバルサウスへ輸出市場を広げる視点が求められる。視野を広げれば「トランプ2.0」はむしろ好機となり得るのである。
SUGENAは、海外展開を志す企業と共に歩み、海外進出や市場開拓といった「結果」に結びつく実行支援を使命としている。本寄稿が一人でも多くの経営者や実務家に届き、この激動の時代を乗り越える力となることを願う。
9月14日