■ 春が来た
2月23日、東京では気温が一気に25度を超えて春一番が吹いた。朝のラジオ体操に集まる人たちの服装も、軽やかになってきた。
いつも大きなラジオを持参してくれる、ピンク色の髪をしたご婦人。彼女の「おはようございます!」という明るい挨拶が、朝の空気をさらに心地よくしてくれる。近くで体操をしているうちに、自然と言葉を交わすようになった。
実は彼女、毎朝手作りの犬のおやつを持参してくる、散歩中の犬たちの絶対的な人気者なのだ。犬たちもよく分かったもので、ラジオ体操が終わるやいなや、飼い主をリードで引きずらんばかりにして、一斉に彼女の元へと集まってくる。隣で体操をしている私の目の前を、しっぽを振る犬たちが次々と通り抜けていく。私もその幸せの「おすそわけ」にあずかり、嬉しそうに集まる犬たちの頭を撫でさせてもらっている。
甘い香りがふわりと鼻をくすぐった。今年初めての沈丁花の香りだ。見渡すと、公園の入り口沿いの沈丁花が、もう所々満開になっている。
公園の活気と花の香りに、春の訪れを実感する。ただ一方で、いよいよ花粉症も本格的に始まってしまった。春光の中、舞い踊るスギ花粉が見えるような気さえする。春の喜びに目を細めつつ、花粉で涙目にもなる。なんとも悩ましく、しかし待ち遠しかった季節の到来である。
■ 球春到来とWBCへの期待
スポーツの世界の暦も、季節は確実に前に進んでいる。プロ野球は春季キャンプを打ち上げ、いよいよオープン戦の季節だ。
そして何より、待ちに待ったWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が開幕する。3月5日から、18日のマイアミ「ローンデポ・パーク」で行われる決勝まで、14日間にわたる熱戦の火蓋が切られる。
日本は「プールC」。日本、オーストラリア、韓国、チェコ、チャイニーズ・タイペイ(台湾)の5カ国で争い、上位2チームに入れば、マイアミでの準々決勝へ駒を進めることができる。
今大会は、大谷翔平選手をはじめ9人ものメジャーリーガーが参戦する。今オフにロッキーズへ移籍した元巨人の菅野智之投手や、同じくブルージェイズへ移籍した元巨人の岡本和真選手が日の丸を背負ってくれるのは嬉しい限りだ。ただ、巨人ファンとしては、巨人軍からの選出が大勢投手ただ1人というのは少しばかり寂しい気もしている。
3年前のWBC、大谷翔平投手が鋭いスライダーでトラウト選手を空振り三振に仕留め、米国を下して世界一を奪還したあの歓喜の瞬間は、今も記憶に新しい。しかし、今年の米国チームは過去にも増して本気モードの錚々たるメンバーを揃えてきている。まずは決勝まで辿り着けるか。プールCで同組のチャイニーズ・タイペイや韓国も言わずと知れた強豪であり、決して予断は許さない。ワクワクする気持ちと緊張感と両方を持ち合わせて開幕を楽しみにしている。
■生成 AIの進化と、譲れない「レッドライン」
久しぶりに生成AIの話題を取り上げたい。ここ最近、Anthropic(アンソロピック)社のAI「Claude(クロード)」の進化が止まらないからだ。
特に、「Claude Code」などのAIエージェントツールの登場は世界に衝撃を与えた。これまでAIは「教えてくれるもの」だったが、いよいよ「代わりにやってくれるもの」へと進化したのだ。 例えば、これまで専用のSaaS(クラウドサービス)を利用して行っていた複雑な業務フローも、Claudeに自然言語で指示するだけで、SaaSを開かずともAIが勝手にローカル環境で処理を完了させてしまう。これにより、「高い利用料を払って専用ツールを使う必要がなくなるのでは?」という「SaaSの死」の懸念が一気に広がり、米国ではSaaS関連企業の株価が急降下する事態を引き起こした。
それにしても、昨今の生成AI企業を取り巻くマネーの動きは凄まじい。先日、OpenAIが1100億ドルの巨大な資金調達を行い、その評価額は実に8400億ドルに達したと報じられた。一方のAnthropicも、直近で300億ドルを調達し、評価額は3800億ドルに上るという。日本が世界に誇るトヨタ自動車の時価総額がおよそ3800億ドル前後であることを考えると、Anthropic単体で既にトヨタと同等、OpenAIに至ってはその2倍以上という途方もないマネーが、この領域に集中しているのだ。
しかし、私が今Anthropicに強烈に惹きつけられているのは、そうした金額の規模よりも、彼らの確固たる「企業姿勢」にある。
Anthropicは元々、OpenAIの主要メンバーだったダリオ・アモデイらが「AIの安全性」を最優先に掲げて独立した企業だ。つい先週、彼らの信念を象徴する事件が起きた。米国防総省との契約交渉で、彼らは「完全自律型兵器への使用」と「市民への大規模監視」を禁じる二つのレッドラインを提示。米軍側から全用途への無制限使用を求める最後通牒を突きつけられたが、「良心の呵責から応じられない」と真っ向から拒否したのだ。
結果、トランプ大統領の怒りを買い、異例の「使用禁止措置」にまで発展。代わりにOpenAIが採用された。この先、Anthropicがどうなるのか先行きは不透明だが、トヨタと同等規模の時価総額を誇る巨大企業でありながら、国家権力や目先の利益に屈せずテクノロジーの暴走に自らブレーキをかける。その反骨精神には一目置いてしまう。
私はと言えば、現在はGeminiをメインとし、テーマによってClaudeを併用している。Geminiの回答をClaudeにダブルチェックさせたり、その逆を行ったり。結局のところ、生成AIの回答をまだ100%鵜呑みにはできない。 いずれ、メインのAIが他のAIの強みを自律的に使いこなし、私たち人間は「最後の決断」だけを担うようになるだろう。
実はこの「AIがAIを使う」という運用は、先述のClaude Codeなどを使えばすでに実現できる領域にきていて、息をするようにAIを操る『AIネイティブ』な人々は、既にそんな使い方を始めている。昭和世代の我々としては、置いて行かれないように、そしてAIに振り回されないようにシートベルトをしっかりと締めて乗りこなしたいものだ。
■ 激動する世界と、平和な日常
明るい春の兆しとは裏腹に、世界情勢は緊迫の度を深めている。
今朝方、米国がイスラエルと共にイランへの攻撃に踏み切り、最高指導者ハメネイ師の死亡が報じられた。トランプ大統領はさらに激しい爆撃を継続すると宣言している。核開発の阻止も、イスラム権威体制の転換も、いまだ確たる見通しが立っていないことを今回の攻撃の理由としている。
圧倒的なテクノロジーが進化する一方で、人類は未だに争いの連鎖から抜け出せずにいる。遠く離れた中東の空は、今この瞬間も砲火に焼かれているのだろうか。激動する世界と、穏やかな春を迎える東京。そのあまりのコントラストに、ため息なのか深呼吸なのか、大きく息を吐いた、そんな日曜日である。
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《今週の写真》満開の河津桜と東京タワー
会食を終え、外に出ると少し人だかりができていた。
多くの外国人が、夢中でスマホを高く掲げている。その視線の先には、見事にライトアップされた満開の河津桜。
鮮やかなピンク色の桜の向こうには、これまた美しくライトアップされた東京タワーがそびえている。
春の夜風を感じながら見上げた、都心の鮮やかな春の風景である。
2026年3月1日