社長の日曜日 vol.149 信頼 2026.06.29 社長の日曜日 by 須毛原勲

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■ 地震、W台風

 金曜日の夜、突然、スマホが鳴り響いた。
 緊急地震速報。山梨県で震度6弱。震源は山梨県東部・富士五湖、深さ20キロ、規模はM5.6。ワールドカップの報道が流れていたテレビ画面が、一斉に切り替わった。
 そして少し経って、揺れが来た。

 海外に長く暮らしていた頃、よく言われた。「日本は地震が多くて、怖いね」と。慣れてしまっているとはいえ、ドスンと来る直下型の揺れには、ドキッとさせられる。

 各地で大きな地震が続いている。雨で地盤が緩んでいることもあり、被害が大きくならないことを祈る。

 先週は、連日、雨。
 週末にかけては、台風8号と7号が相次いで日本列島を直撃した。我が家の周辺では雨は思ったほど激しくは降らなかったが、それでもぐずついた空がずっと続いている。

 ラジオ体操にも、なかなか行けなかった。みんな、どうしているかな。

ブルーの侍、2位通過

 サッカーワールドカップ。チュニジアに4対0で完勝した日本代表は、金曜の朝のスウェーデン戦を1対1で引き分けた。グループF、オランダに次ぐ2位で決勝トーナメント進出を決めた。

 スウェーデン戦の後半30分。中村敬斗選手に代わってピッチに立った長友佑都選手が、アジアの選手として初めて、5大会連続のワールドカップ出場を果たした。その右袖に、金色に光る小さなエンブレムがあった。
 「FIFA WORLD CUP LEGACY」。今大会から導入された「レガシーパッチ」だ。ワールドカップに5大会以上出場した者だけに許される栄誉の証である。対象は、世界でわずか6人。6大会連続のメッシ、クリスティアーノ・ロナウド、オチョア。そして5大会連続のモドリッチ、ノイアー、長友佑都。長友のパッチには、金色で「NAGATOMO」と縫い込まれている。

 解説の本田圭佑氏が「めっちゃ、俺の方が緊張する」と漏らしていたが、LIVEで観ていた私も、熱いものを感じた。長友選手は気迫あふれるプレーで、緩みかけた終盤のチームを、ぐっと締める役割を果たしていた。

 ベテランの奮闘は彼だけではない。試合後、サポートメンバーとして代表に同行している元主将・吉田麻也選手と選手たちが固く抱き合う姿に、目頭が熱くなった。

信頼と愛と感謝と

 試合後のインタビューも、心に残った。 どの選手も、自分の言葉で試合を分析し、自分のプレーを冷静に省みる。その語り口が、雄弁で、的確だ。

 森保監督のインタビューの流れは、いつも同じだ。まずスタジアムに駆けつけたファンへ、そして日本のファンへ、感謝を繰り返す。そのあとで、選手への賛辞を静かに語る。

 森保監督は、見た目は優しげだ。闘争心をむき出しにする熱血漢のタイプではない。選手選考や起用に厳しさは持ち合わせているはずだが、この監督の凄さは、選手への「愛」と「信頼」にある。気にかけて、見続けること。

 前回大会で前半に交代させられ、活躍できなかった上田綺世選手への言葉。「とにかく、続けるしかないんだから」。
 所属チームが2部に降格して落ち込んでいた中村敬斗選手への言葉。「ちゃんと観てるから」。

 過去の映像で、テレビが何度も映し出した光景がある。
 代表での試合を終え、三々五々それぞれの所属クラブへ戻っていく選手たち。それを、森保監督がトレーニングウェア姿で、コーヒー片手に一人ひとり見送るのだ。選手がホテルを発つ時間はバラバラだ。それでも早朝から長い時間をかけて、そうやって全員を送り出す。
「シーズンの合間、本来なら身体を休められる時間に、日本代表の試合に参加してくれる」。だから、その感謝を込めて——と。

 人を、見続ける。気にかけ続ける。信頼する。感謝する。そして、言葉にして伝える。「信頼」、「愛」、「感謝」には、人を根底から動かす力があるのだろう。

 上田綺世選手は、「4年間、信頼して使い続けてくれた森保監督のために」という言葉を、何度も口にしていた。

そして、私たちは信じる

 森保監督の人間力を象徴する出来事が、スウェーデン戦の前夜にあった。

 試合前日だというのに、ダラス中心部の公園で開かれていたサポーターの決起集会に、ふらりとサプライズで現れたのだ。
「キャンプを抜け出して来ました」。
 青いユニフォームのサポーターの群れの前に立った指揮官は、こう言った。サポーターと心を一つにして戦う準備をするほうが、明日勝つ確率が上がると思って——と。

 自らが最も重圧を背負う立場にありながら、人と心を通わせることに勝利への道を見出す。この人間力こそが、SAMURAI BLUEを、ブラジル戦の奇跡へと導いてくれるのかもしれない。

 ブラジルが、とんでもない強豪であることは、誰もが知っている。それでも「勝てるかもしれない」。いま日本中がそう思っている——はずだ。それこそが、森保監督率いるSAMURAI BLUE、青き侍たちの凄さである。


 森保監督と選手たちが、われわれをここまで連れてきてくれたのだ。「最高の景色」を、アメリカの地から日本中へ届けてくれると、信じている。

■ ヨシミの「中国のリアル」── 完結のご案内

 お陰様で多くの方に読んでいただけたようで、感謝の一語に尽きる。そして、まだお読みでない方には、ぜひ。

 ひとりの男が、北京の街角でミルクティーを買う。ただそれだけの動画が、中国のSNSで大きな話題になった。

 買ったのは、エヌビディアCEOのジェンスン・フアン。AI時代の中核を握る人物である。2026年5月、トランプ大統領の訪中に同行して、北京にいた。

 その奇妙な熱気を入口に、現代中国のリアルを読み解く連載。

 書き手のヨシミさんは、日中両国にルーツを持つダブル。北京大学を卒業し、東京大学大学院を経て、いまは上海を拠点としている。二つの国を内側から知る目で、変わりゆく中国を斬る。

 政治は競い合う。けれど、市場と技術と人の絆は、そう簡単には断ち切れない。

 フアン氏のミルクティー1杯から、どこまで遠くが見渡せたか。3回を通して、お確かめいただきたい。

第1回 https://sugena.co.jp/yoshimi/yoshimi11-01/
第2回 https://sugena.co.jp/yoshimi/yoshimi11-02/
第3回 https://sugena.co.jp/yoshimi/yoshimi-11-03/

どんなことでも、お気軽にご相談ください。

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《今週の写真》 雨上がりの2羽

井の頭公園。雨上がりの池から、水鳥が連れ立って上がってきた。
カルガモのつがいだろうか。
濡れた敷石の上、小さな水たまりのほとりで、何をするでもなく寄り添っている。
私がカメラを向けて近づいても、まるで意に介さない。
雨で人が少ないので、油断しているのだろうか。
それとも、ただ2羽の時間に夢中なだけかも。

2026年6月28日

by 須毛原勲

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