8月もあと1日。あっという間だった。明後日から9月である。
8日間の上海・杭州出張から戻り、そのままフィジカルAIのセミナー準備に入った。並行して処理する案件が重なり、会食も入れていた。忙しい1週間だった。
土曜日の朝、目覚ましをセットせずに寝たら、目が覚めたのは7時半過ぎ。普段は5時半に起きている。さすがに疲れが溜まってようだ。
土曜も日曜も雨模様。とはいえ北陸の豪雨に比べたらお湿り程度だ。27日、石川県羽咋市と富山県氷見市で12時間に317ミリ。20の河川が氾濫した。今朝は福井県にレベル5の大雨特別警報が出た。3市24万人に緊急安全確保。降らせているのは猛暑ではない。秋雨前線である。台風は今年すでに21個が発生している。8月24日の時点で平年の約1.5倍のペースだ。
海外でも、26日、ネパールと中国の国境地帯で大洪水が発生した。大雨が降っているわけでもないのに起こったこの洪水の原因・メカニズムは正式にはまだわかっていないが、氷河と岩石の崩落物が川を一時的にせき止め、たまった水が天然ダムを破って下流へ流れ込んだ──という報道もあった。死者は両国で682人。行方不明は3052人。不明者の中に、観光で入国した日本人の家族5人がいる。
9月1日は二百十日である。
■8月に見たロボット200体
8月中旬、杭州で「杭州市具身智能展示中心」を訪ねた。フィジカルAIの展示センターである。世界中の87ブランド、約140台のロボットが並んでいた。
杭州の宇樹科技(Unitree、2016年設立)、上海の智元機器人(Agibot、2023年設立)、杭州の云深処科技(Deep Robotics、2017年設立)の3社も見学し、合わせて60台以上は見ただろうか。合計200台のロボットを見たことになる。
8月の初めには、早稲田大学の菅野重樹教授の研究室で、AIRECと握手をしている。8月だけを切り取れば、ロボットを一番多く見た日本人かもしれない。
「杭州市具身智能展示中心」が開業したのは、今年3月27日である。総建築面積8813平方メートル。「你好,未来(こんにちは、未来)」「未来已来(未来は、もう来た)」「悦享未来(未来を、楽しむ)」「賽博演芸中心(サイバー演芸センター)」「職業技能訓練センター」「共創未来(共に、未来を創る)」の6区画に分かれ、電力点検、物流、介護など約40の応用シーンが実機で並ぶ。
具身智能(フィジカルAI)は、国の5カ年計画に名指しで書き込まれている。杭州市は今年5月、全国初の具身智能ロボット産業条例を施行した。施設のある一帯は、全国初の「人機共治実験社区」である。7月末までの累計来場者は5.5万人を超えた。連休には他省からの見学客も来る観光地になっている。
第2区画「未来は、もう来た」。大脳、本体、小脳に分解されたロボットが並ぶ一角である。
その最初に置かれていたのは、WABOT-1だった。1973年、早稲田大学の加藤一郎研究室が世界で初めて開発した人型ロボットである。隣が、本田技研工業のASIMO。そこから先に並ぶのは、中国製のロボットと、ボストン・ダイナミクス、そしてテスラだった。残念ながら日本のロボットはASIMO以降無い。
私が滞在した2時間ほどの間も、見学者はひっきりなしに入ってきた。欧米からの客も多かった。
今、これだけのロボットを一度に見られる場所は、世界でここだけかもしれない。
■10年で、パナソニックに並んだスタートアップ
帰国した直後から、中国のニュースが続いた。
8月19日、宇樹科技(Unitree)が上海・科創板に上場した。2016年8月の創業から、ちょうど10年である。公開価格は1株150.80元。初値は1100元をつけた。629%高。時価総額は一時4449億元、約10兆7000億円に達した。パナソニックの時価総額が、いま約10.8兆円である。1918年創業の会社と、創業10年の会社が並んだ。(※株価は変動しています。)
宇樹科技(Unitree)の2025年の売上高は16億9900万元、約350億円。非経常損益を除いた純利益は約123億円。業界で唯一の黒字企業だ。売上350億円の会社に、一時10兆7000億円。公開価格の時点では、売上の36倍だった。260倍にしたのは、初日に買った人々である。
創業者の王興興氏は1990年生まれ。浙江理工大学の機電科を出て、本命の浙江大学大学院は英語の点数で落ち、上海大学の大学院へ回された。修士在学中に独力で四足ロボット「XDog」を開発する。外転子ブラシレスモーターで駆動する、世界初の低コスト四足だった。コンテストで二等賞、賞金8万元。
2016年5月、DJIに入社。だがXDogの動画が海外メディアに転載されて火がつき、2か月で辞めて起業。26歳である。社名は当初「科技樹」にするつもりだったという。人類の新しい科学技術の樹を、という意味だ。登記が通らず、「宇樹」になったらしい。
■ボルトを超えた日
宇樹科技(Unitree)の上場のニュースが届いたその3日後、8月22日。北京で第2回「世界ヒト型ロボット運動会」が開幕された。会場は2022年冬季五輪の国家スピードスケート館。16か国から666チーム、2056台。前回の4倍である。5日間で51種目。陸上やサッカーだけでなく、重量挙げ、綱引き、さらに家事、ホテル業務、物流といった実用種目まで競われた。
100メートル走の予選。北京人形機器人創新中心が開発した「天工Ultra」が9秒39で1着に入った。ウサイン・ボルトの世界記録は9秒58である。大会前のテストでは9秒32を出していたという。
天工Ultraはゴールしたあと、減速用のマットに激突して炎上したが、観客は拍手を送った。同じ組で、宇樹科技は12秒41、最下位である。上位は中国チームが占め、その層の厚さを見せつけた。
■受付から部屋まではロボット
中国の景気は良くない。若者の失業率も高く、16歳から24歳(在学者を除く)の失業率は、今年6月で14.9%。今年の大学卒業予定者は1270万人である。その一方で、ヒューマノイドロボット企業には10兆円の値打ちがつく。
上海のホテルで、出前を頼んだ。店からホテルの受付までは、人が運んできた。受付から部屋の前までは、ロボットが運んできた。街を歩くと、路上でスマホを眺めて指示を待つ配達員をあちこちで見かけた。20代と思われる若者も、少なくなかった。
炎天下に立っているのが人で、冷房の効いた廊下を走るのがロボットだった。
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《今週の写真》渋谷のてるてる坊主

8月27日、渋谷駅から代官山へ向かう途中、ビルの吹き抜けを見上げたら、大きなてるてる坊主が下がっていた。
手作り感があって、ほっこりした雰囲気の、都会のど真ん中のてるてる坊主。
北陸に大雨特別警報が出た日である。
明日天気にしておくれ・・・。
2026年8月30日