社長の日曜日 vol.160 秋霖 2026.09.14 社長の日曜日 by 須毛原勲

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雨、雨、雨

 雨、雨、雨。東京は、今日で18日連続の雨だという。

 雨脚はさほど強くない。日課のウォーキングを休んだのは1日だけだ。でも雨模様。一昨日の最高気温は20.8度。10月下旬並みだったという。濡れた腕が冷える。夏の終わりを飛び越して、秋が来た。

■ 4月末の提案~フィジカルAIを追いかけて

 中国フィジカルAI企業の視察プログラムを、旅行会社と連携して11月に実施する。情報公開以来、多くの方からお問い合わせをいただいている。

 発端は4月末である。中国のフィジカルAI事業家である当社の戦略顧問から提案を受けた。打ち合わせをしたのは、築地にある彼の日本のオフィスだった。日本でこの事業を育てたい。そのためにはまず、多くの日本企業の方に中国の現状を自分の目で見てもらうことだ、と。

 正直に言えば、その頃の私は、中国のフィジカルAIの現状を理解しているとは言い難かった。以来この4カ月、そればかりを追いかけてきた。

 8月6日、早稲田大学創造理工学部の菅野重樹教授を訪ねた。1973年、世界初の本格的な人間型ロボット「WABOT-1」を世に出したのが、早稲田の加藤一郎先生である。日本のヒューマノイドの祖であり、その加藤研究室を受け継いだ一人が、菅野先生にあたる。研究室では、AIRECの実機も見せていただいた。

 その席で、1972年に早稲田がロボットプロジェクトを始めるにあたって定めた「ロボットの条件」を見せていただいた。

A. 人間型の2足歩行機械によって移動する

B. 人間型の両側人工の手によって作業する

C. 手足には固有覚として各関節に角度センサーを取り付ける

D. 2足で移動させるための平衡機能を付与する

E. 手には作業用の接触感覚をつける

F. 遠隔受容器としての人工の目をつける

G. ミニコンピュータを頭脳として使用する

H. 人間(操作者)との対話は音声(日本語)で行わせる

(菅野重樹『人が見た夢 ロボットの来た道』より)

 古びた言葉は、一つもなかった。二足歩行。両腕での作業。関節の角度センサー。平衡。触覚。視覚。頭脳としての計算機。そして、音声による対話。表現こそ違え、今日、世界中で開発されているヒューマノイドロボットの仕様書そのものである。

 1972年である。今から54年前に、加藤一郎先生と早稲田大学のWABOT-1号開発メンバーは、未来を見切っていたことになる。菅野先生に教えていただいた「ロボットの条件」を、ひと月以上たった今も反芻している。

解体新書

 『解体新書』は、安永3年(1774年)に刊行された、日本で最初の本格的な西洋医学の翻訳書である。ドイツ人医師クルムスの解剖書のオランダ語版『ターヘル・アナトミア』を、杉田玄白、前野良沢、中川淳庵らが訳した。辞書はない。オランダ語ができるのは良沢ひとり、それも単語をわずかに知る程度である。それでも彼らは築地の良沢の家に集まり、3年をかけて訳し終えた。「神経」「動脈」「軟骨」。今日われわれが使っている言葉は、その時に作られている。

 今月29日(火)、セミナーを開く。題して「フィジカルAI解体新書」。

 解体新書と聞けば、部品レベルまで解剖する話かと思われるかもしれない。基幹部品の話も、もちろんする。だが今回「解体」したいのは、部品そのものではない。なぜ中国は、これほど速く、これほど安くヒューマノイドを進化させられるのか。その強さの構造を解体し、日本企業の勝ち筋を探るのが目的だ。

 250年前、彼らが異国の書物を開いて遅れを取り戻そうとしたようなことを、今日の我々もまたやらねばならない。

■ 0.5ゲーム

 阪神に3連敗を喫し、4.5ゲーム差まで離されたときは、さすがに今シーズンも終わったと思わされた。

 それが、12日の東京ドーム。首位・阪神との直接対決に、1対0で勝った。先発は新人の竹丸。7回を4安打無失点、10奪三振。これで10勝目である。球団の新人左腕が二桁に届いたのは、1939年の中尾輝三以来、87年ぶりだという。

 この日のラインナップが泣けた。

 推しの坂本勇人と丸が、2人揃って先発に名を連ねていた。同時のスタメンは6月7日以来である。2回、先頭の坂本がレフト前へ運んだ。通算2470本安打。長嶋茂雄さんの2471本に、あと1本と迫る一打だった。無死1、2塁から丸がセカンドゴロ。併殺は崩れ、1死1、3塁。続く松本がレフト線へ先制・決勝点の2塁打を放った。7回、先頭の丸レフト前へ運んだ。通算1950本目。2000本まであと50本である。

 虎の子の1点を、投手陣が守り切り、球団ワーストの阪神戦7連敗が、ここで止まった。

 ゲーム差は、0.5。忙しい日々が続くが、彼らの活躍がまた、私の気力を高めてくれる。残り試合を考えれば、優勝の可能性は高くない。それでも、まだ可能性はある。最後まで諦めない彼らのプレーを見るのが、楽しみだ。

白いスーツ

 張本勲さんが亡くなった。86歳だった。

 日本プロ野球でただ一人、通算3000本安打に到達した大打者である。最終記録は3085本。首位打者7回。

 一度だけ、羽田空港のJALのラウンジでお目にかかったことがある。おしゃれな白いスーツを着た、大きな方だった。合掌。

 

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《今週の写真》曼珠沙華

花は咲く。毎年、その時期に。

先週の紫御殿もそうだった。気がつくと、神田川沿いに曼珠沙華(彼岸花)が咲き始めている。

赤も咲いていた。だが、目を引いたのは白のほうだ。

暑さ寒さも彼岸まで。その彼岸入りまで、あと1週間。

季節は巡る。

2026年9月13日

by 須毛原勲

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