初めての海外進出―成功への鍵

【最終回】いま、帆を揚げよ!90日で海へ出るロードマップー「やるか」ではない。「やらねば」だ 2025.07.24

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再点検すべき12の羅針盤

本連載で提示した12のテーマは、航海前に必ず締め直すべきボルトである。1本でも緩んでいれば、洋上での故障は避けられない。疑問が生じた瞬間に、必ず原点に戻って確認してほしい。

  1. なぜ今、海外進出なのか
  2. 商品を“文化翻訳”せよ
  3. 規制・関税・為替を一気に捉える
  4. 為替と資金設計ー円高でも勝つ方法
  5. 価格戦略とインコタームズー逆算価格で粗利50 %を死守する
  6. 海外市場を制する価格戦略ーMSRPと出荷価格で粗利を最適化せよ
  7. 商社か直輸出かー最適ルートを見極める
  8. 進出国を選ぶ「5つのレンズ」
  9. パートナー企業の選定術番外編】パートナー候補を探す前に必ず磨くべき「自社という鏡」
  10. 人・資金・時間ー3大リソースを設計せよ
  11. 海外とのコミュニケーションー言語・文化・本音を掴む
  12. 支援の受け方・選び方ー主体性を持ち“キャディー”を使いこなす

「Parallel 90」ー最短90日で洋上に出る行動計画

計画は長さではなく速度で評価される。Parallel90は、30 日単位で担当と成果物を並走させ、最短90 日で海へ出るための実行テンプレートである。準備と航行、学習と修正を同時並列で回すことで、波高の変化をいち早く舵に伝える。

船出を後押しする3つの事実

  1. 完璧な計画は存在しない
    投資家が評価するのは「想定外を吸収する仕組み」だ。粗利バッファと90 日レビューがその核心である。
  2. 粗利50%設計でリスクの9割は数値化できる
    原価×4 の価格設定とバッファ資金があれば、検査費・緊急輸送費が発生しても沈まない。
  3. 最初の100台は“無料講義”である
    市場に並んで初めて顧客の本音が現れる。授業料を支払わずに受ける最高の授業だ。

勇気とは準備の副産物であり、計画は恐れをタスクへ変換する道具。

いますぐ帆を揚げよ

海外進出は「やったほうが良い」程度のオプションではない。国内需要の縮減、技術サイクルの短期化、為替の乱高下。待つほど安住コストは膨らむ。視界が100 %開ける日は来ない。粗利バッファと学習サイクルを備えた者だけが、曇り空を可航域へ変える。

社内メール1本で決断を通知したプロジェクトは成功率が高い。反対に、完璧な合意形成を求め稟議を巡回させれば、現場温度は急速に冷える。帆を上げれば風向きは見える。上げなければ、風は永遠に味方にならない。

本シリーズが示した12の羅針盤Parallel90は、荒天時のコンパスであり、追い風を最大化するセイルでもある。小さくとも自社の旗を掲げた船を海へ送り出すこと。それが次の10年を切り拓く、もっとも確実な方法だ。

最終宿題

  1. Parallel 90 を自社フォーマットに転記し、開始日をカレンダーに登録する
  2. 1週間以内に Day1–30の担当者を指名し、招集メールを送信する
  3. そして船長であるあなたが皆に向かってー「出港用意!」

その瞬間、船は動き始める。

航海はここから

疑問や不安があれば、どんな些細なことでもお問い合わせフォームhttps://sugena.co.jp/contact-us/からお気軽にご相談を。

帆を揚げた刹那、風は必ず吹いてくる。
さあ、いま帆を揚げよ。



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