中国の数多くある街の中で、文化と芸術を愛する都市はどこでしょうか?広い視野を持ち、多様な文化を愛し受け入れるのを最も得意とする都市はどこでしょうか?
上海がその筆頭に挙げられるのは間違いありません。
先月、上海文化広場で上演されたフランス語原版ミュージカル『ノートルダム・ド・パリ』のカーテンコールでは、舞台の役者たちの誘うような仕草に応えて観客全員が立ち上がり、「大聖堂の時代」の最後の一節を合唱しました。それも皆フランス語で。会場は感動の最高潮に達し、役者達も観客も大きな喜びと満足感で包まれました。
この出来事は、上海の人々が持つ音楽と文化を受け入れる素養の一端を表していると言えると思います。
文化と芸術を愛する上海
1920年代から1930年代にかけて、上海には大小様々な文化施設が点在していました。映画を観たり、演劇を観たり、オペラを楽しんだりすることは、当時の最もモダンで流行の最先端の体験でした。梧桐(アオギリ)並木の奥深くに佇むこれらの小さな劇場は、時代を超えてもなお健在で、今でも週末の憩いの場として親しまれています。
現在、上海には100以上の劇場があり、様々な文化芸術の公演が行われています。また、大型の展覧会を開催する9つの展覧館があり、それ以外にも無数の中小規模の展覧館、アートギャラリー、プライベートギャラリーがあります。さらに、上海博物館、上海科学技術館、美術館などの文化施設は、地元の文化愛好家のみならず、上海を訪れる観光客をも魅了する存在です。
これらの文化・博物館のハード面の設備とスタッフのプロ意識は、世界的に著名な博物館や美術館の至宝を上海に呼び寄せ、上海の観客に紹介する多くの機会を作り出しています。例えば、かつて上海博物館で開催された「プラミッドの頂点・古代エジプト文明展」は、世界最大規模かつアジア最高レベルの古代エジプト展として話題を呼びました。展示されたエジプト文明の貴重な資料は788点、観覧希望者が炎天下で行列を作るほどの盛況ぶりを見せ、全国から多くの古代エジプトファンを引き寄せました。
魅力的な展覧と文化の体験
今年の上海で開催された絵画展もとても豪華絢爛です。ウフィツィ美術館による「ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノ展」、スコットランド国立美術館による「百年狂想:スコットランド国立美術館の超現実主義傑作展」、スペイン・プラド美術館による「黄金時代展」、さらに英国・テート美術館の「ターナー展」など、名だたる巨匠と世界的な美術館の名前を聞いただけで、感動を覚えるラインナップです。これらの展覧は、一目見るだけで、めくるめく芸術に圧倒される体験を提供しています。
展覧会ではガイドツアーや専門家による講座が用意されており、来場者は展示品をただ流し見するのではなく、その背景にある歴史や文化を深く理解することができます。講座を通じてさらに興味が刺激され、豊かな文明への感動を味わえるのです。
新しい体験と文化への投資
展覧だけでなく、上海では観覧後の余韻を楽しむ工夫もされています。多くの展覧施設にはカフェやショップが併設されており、展示を楽しんだ後はカフェで一息つき、ショップで関連グッズを購入して記念に持ち帰ることが、今や観覧の定番コースとなっています。これらのアイテムは、デザイン性と実用性を兼ね備えており、訪問者の心に残る素敵な思い出となっています。
幼い頃、父は私を画展へと連れ出してくれました。理解は及ばずとも、その奥深さに心惹かれたものです。これこそ、上海人が好む「見聞を広める」ということでしょう。
新しい文化を愛し、異なる文明の体験に熱心な上海の人々は、内面を豊かにするためであれ、外面を飾るためであれ、文化芸術への時間と金銭の投資を惜しみません。そういった情熱は、上海の文化芸術界を活気づけ、速い時間軸で動き続ける都市で立ち止まりたい人々に、心の安らぎと楽しみを提供しています。