上海の医療レベルは常に国内トップクラスです。

有名な大病院はいつも混み合っていて、最低でも半日以上の時間がかかります。
従来の流れでは、病院に着いたらまず列に並んで受付を済ませ、その後、該当する診察科の列に並び、呼ばれるのを待って診察を受け、検査を指示され、列に並んで検査を受け、検査報告書を待った後に、再度列に並んで医師に診断してもらい、再び列に並んで支払いをします。どのステップも列に並ぶ必要があり、診療は1分で済むのに、待ち時間が2時間といったこともあります。さらに、昼休みが入ってしまうと、半日以上かかるのはよくあることです。ですから、単純に薬を処方してもらうだけでも多くの時間と労力が必要となり、病院に行くこと自体が面倒なことに感じられます。
パンデミックがもたらした医療環境の改善
コロナのパンデミックの後、不要な集団を避けるため、多くの病院が自前のスマートフォンアプリを提供し、事前に予約できるようになりました。
さらに、現在ではアプリを使用しなくても、WeChatのミニプログラムで同様の予約ができ、さらに多くの機能が開発されています。

例えば行きたい病院のミニプログラムを検索し、予約受付画面に入ると、診療科ごとに分類され、各診療科内では医師それぞれの得意分野も紹介されています。必要に応じて希望する医師を選ぶことも、直接都合の良い時間を選ぶこともできます。予約時間に合わせて病院に行けば、通常、待ち時間は10分以内で順番が回ってくるため、時間が大幅に削減できます。万が一、交通渋滞などで予約時間を過ぎそうになった場合でも、スマートフォンのアプリを使ってあらかじめ受付料を支払うことが可能です。検査や薬などの費用も、スマートフォンのアプリを通じてオンラインで支払うことができます。さらに、検査報告書もアプリで確認できるため、再度病院に足を運んで受け取る必要がなく、自分で報告書を確認した後に次の対応を決めることができます。



長い待ち時間の問題に対処するため、病院内には多くのセルフサービス機器が導入されました。各所に「セルフ受付・支払い機」、「セルフサインイン機」、「セルフ番号発行機」、「セルフ報告書印刷機」、「セルフカルテ印刷機」など、各ステップに応じた専用の機器が設置されています。機器のそばにはボランティアが常駐してサポートを行っているため、迅速に進み、ほとんど並ばずに利用できます。
また、診察区域の入口や薬局の入口には呼び出し用の大型ディスプレイが設置され、現在診察中の人や待合中の人が明確に表示されるので、安心して待つことができます。以前、上海のある三ツ星病院で血液検査を受けた際、採血ホールは明るく清潔で、呼ばれた番号の人々が順番に各窓口へ向かい、一見、混雑しているように見えましたが、十数もの採血窓口が秩序正しく配置されていることもあり、なんとわずか10分で検査が完了しました。
以前は大病院に行くと、至る所に人が溢れて、受付窓口には長蛇の列ができていました。しかし、現在では多くの人が事前に受付を済ませているため、直接診察区域に向かうことができ、ロビーに集まる人々が大幅に分散されています。その結果、病院全体がずっと整然としており、広々とした印象を受けます。
急速に拡がる「インターネット病院」
さらに、より便利な医療受診の方法として「インターネット病院」と呼ばれる仕組みが登場しました。オンラインのチャットボックスで文字を入力して医師とやり取りしたり、直接ビデオ通話でコミュニケーションを取ることで、自分のニーズを伝えます。それに対して医師が健康診断や一般的な検査の指示を出してくれ、オンライン決済後に直接検査の予約時間を確定します。これにより、病院に出向いて問診や検査予約を行う手間が減少します。また、既存の処方箋を用いて薬を受け取ることも可能で、薬は宅配便で届けられます。こういった完全にオンラインで完結する受診プロセスは、待ち時間がほとんどなく、要望が明確なため、わずか5分で完了し、時間と労力を大幅に節約できます。
統計によれば、2024年時点で中国のインターネット病院の数はすでに3,340施設に達し、毎年1億件を超えるインターネット診療サービスが提供されていることから、その需要の大きさがうかがえます。
利用者に寄り添う様々な取り組み
モバイルインターネットやスマートデバイスの普及によってもたらされた数多くの利便性に加えて、利用者に寄り添ったさまざまな取り組みも実施されるようになりました。
2025年、上海では「三甲(三ツ星)病院の検査・検査結果相互承認」(※)の施策が導入され、これにより、ある病院で取得した報告書が別の病院で認められず再検査を余儀なくされるといった面倒な体験が解消されました。その結果、患者の負担が大幅に軽減され、診療効率が向上するとともに、一方で医療資源の利用効率も高まりました。
また、多くの病院は、朝9時から夕方5時まで働くサラリーマンの便宜を図るため、土曜日も診療をするようになり、「夜間外来」を設け、夜間検査も提供しています。診療時間は夜8時、場合によっては9時まで延長され、『休暇が取りにくい』働く人々が安心して受診できるようになっています。
さらに、多くの地域病院もますます多くの人々に支持されるようになり、一般的な軽い不調、点滴、血液検査、薬の処方などについては、わざわざ遠くの三ツ星病院に足を運ぶことなく、近所で迅速に解決できるようになりました。これもまた、医療資源の節約につながっています。
薬の購入に関しては、一般的な薬品は病院に行かず、外出することなく、デリバリープラットフォームで見つけることができます。また、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの一般的な呼吸器系ウイルスの検査薬もデリバリープラットフォームで購入可能で、場合によっては自宅に届けられた後、その場で検査を行い、そのサンプルを配達員に渡して検査機関へ送る仕組みがあり、結果が出るまでの時間はわずか2時間です。
パンデミック以降、人々は自分の健康に対する関心を一層深め、医療環境に求める水準も高まっています。急速に発展するテクノロジーと情報の高度な相互連携が可能な現代において、医療サービスがますます向上していくことを期待しています。
※「三甲(三ツ星)病院の検査・検査結果相互承認」
国家が推進する管理手法で、異なる医療機関で行われた検査結果や診断結果を互いに認め合う仕組みを指します。これにより、同じ検査を繰り返すことがなくなり、医療資源の無駄遣いを防止することが可能となります。
