社長エッセイ

社長の日曜日 vol.25 暑さ寒さも彼岸まで 2023.09.25 社長エッセイ by 須毛原勲

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 「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、数日前の暑さが嘘のように一気に気温が下がってきた。今朝、走っているときに風が冷たく感じた。走るにはちょうどいい季節。ジョギングは快適だった。  

 スポーツの秋。スポーツのイベントが目白押しである。

 今年のプロ野球は岡田阪神の強さに圧倒された一年だった。G党の私にとっては残念なシーズンだったが、わくわくさせられたことも多々あった。三塁にコンバートされて大活躍の坂本勇人選手、40本超えのホームランを打った岡本和真選手、坂本選手の後を継ぎショートストップを務める若手超有望株の門脇誠選手、今年大きく成長した秋広優人選手、連日連投大車輪の活躍の船迫大雅投手。巨人は今日現在CSへの出場の可能性は残ってはいるが、来年に期待したい。

 大相撲の秋場所は今日が千秋楽。贔屓の高安が四敗同士の決定戦を制して初優勝!と期待したが、霧島に負けてしまい、またしても優勝に届かなかった。2020年1月場所で関脇に陥落して以来3年。昨年は3場所で優勝争いに絡んだが賜杯を抱くことはできなかった。こちらも来場所以降に期待したい。

 現在、ラグビーワールドカップが開催中である。日本はチリとの初戦を42対12で勝利したが、イングランドには12対34で負けてしまった。朝、3時半に起きて生で観戦していたが、FWは結構互角に戦っていたが、バックスのミスが多すぎた。サモアとアルゼンチン戦には是が非でも勝ってほしい。

 そして、大谷翔平選手が二度目の右肘手術を受けたというニュースが入ってきた。大谷選手の代理人を務めるネズ・バレロ氏の声明によると、24年は開幕から打者に専念して出場、投手での復帰は25年になる見通しとのこと。二刀流は諦めないとの執念。来シーズンは投手大谷選手は見られないが、打者に専念した大谷選手がどれだけホームランを打つのか楽しみだ。再来年の二刀流復活を今から楽しみにしている。

 さて、中国人の友人が日本に来て、会食をした。もともと、販売代理店の董事長であった彼とは私の上海駐在時代に知り合い、北京駐在時代には彼らが北京に住んでいたので、彼の奥様とも一緒にゴルフをしたり、ご家族と食事をしたり、かれこれ10年以上のつきあいとなる。私が北京を離れてから既に4年が経つが、その間もずっとWeChatで連絡を取り合っていた。

 彼らの一人息子が10月から日本の大学の大学院に留学するということで、久しぶりに日本を訪れた。今回は海産物を避け和牛を選んだが、彼らは「私たちは全然気にしていない。」と言っていた。約4年振りとは思えないほど楽しい時間を過ごした。

 日本政府観光局(JNTO、Japan National Tourism Organization)が20日に発表した8月の訪日外客数は、2019 年同月比 85.6%の 2,156,900 人となった。回復率では前月を上回り、新型コロナウイルス拡大後初めて 8 割を超えた。

 4月  1,949,236人、5月  1,899,176人、6月  2,073,441人、7月  2,320,600人と来て、8月  2,156,900人。至るところに観光客が溢れている。先日、丸の内に出掛けた際に見かけたが、東京駅の前で写真を撮っている人は全員外国人だった。

 9月21日 朝刊で各紙が訪日外国人客の数字を取り上げた。

 朝日新聞の朝刊では、一面で「中国の訪日客 8月36万人 前月比16%増 伸び限定的」。日経新聞は、横見出しに「訪日中国人戻り鈍く」、縦見出しに「8月、コロナ前の36%どまり、全体は215万人、85%回復」と大きな記事が出ていた。両紙とも、見出しだけ見ると、処理水放出に対する中国政府の反発が中国人の訪日客数に影響しているように感じてしまう見出しである。

 8月の単月での中国人の訪日客数は364,100人と2023年で最も多く、対2,019年比で36.4%に回復。対2022年では29.5倍。7月の313,300人よりも16.2%伸長。数字の上では、実は8月は順調に回復していると言える。

 確かに、2019年1月から8月の中国人の訪日数実績が6,583,524人だったことに対して、2023年は1,272,200人、2,019年に対して19.3%に過ぎない。つまり、特に8月が処理水放出の影響で悪くなっているとかではなく、中国からの訪日客数自体がまだまだ回復途中だということであり、8月単月では、実は順調に回復しているのである。

 中国政府が日本への団体旅行を解禁したのは8月10日。8月10日に団体旅行が解禁されたからと行って、急に団体旅行に日本に行くという中国人はそれほど多くないだろう。8月24日に処理水放出が始まったからと行って、急に日本旅行をキャンセルすることもさほど多くはないだろう。にもかかわらず日経新聞は、「中国の大型連休にあたる国慶節を前に、処理水の海洋放出への中国政府の反発の影響は少しずつでているようだ」と分析を加えている。何をどう分析したら、そう言えるのだろうか?日経新聞が同ページでも触れているように、中国人の訪日客の増加が遅れているのは、現時点では、処理水放出が理由ではなく、中国の景気後退と航空便増便の遅れと団体旅行が解禁されて間もないことが大きく影響しているのだと思う。

 24日の日経新聞朝刊のNews Forecastの記事では、「全日本空輸(ANA)によると、中国路線は9月27日~30日の中国発便「ほぼ満席」。10月5~8日の日本発便も「9割近い予約率」で、ANAホールディングスの柴田浩二社長は「中国人客は今後も徐々に増えていくだろう」と期待を寄せる。(中略)「足元で訪日需要に目立ったダメージは出ていないようだ。」在上海日本総領事館によると「(観光)ビザの申請は緩やかな増加傾向で、(処理水問題前後で)変化はない。反日的な報道も徐々に沈静化しており、大きな影響にはならない可能性がある。」

 実際はどうなるのか、国慶節連休の中国人の訪日客数が注目される。

 米中の外交の動きが慌ただしい。

 16日、米中の外交担当トップ、米国サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と中国の王毅(共産党政治局員兼外相)が二日間、11時間に亘り、地中海のマルタで会談したと伝えられた。米政府は11月中旬にサンフランシスコで予定するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の機会に、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席に対面会談を目指すという。いろいろと課題がある中で、会話を続けようとする両国の強い意志が窺える。

 現在、中国浙江省杭州市で行われている第19回アジア競技大会の開幕式に出席した習近平国家主席は、訪中した韓国のハン・ドクス首相と会談し、日中韓の首脳会談について、「適切な時期の開催を歓迎する」と述べたという。日本政府も米国を見習い、習近平国家主席との会談の実現に向けて粘り強い努力をしてほしい。

 一方、メディアはどこも取り上げないが、出国日本人数の伸びが今ひとつである。

 2023年1月から8月で5,707,000人。2019年の42.3%。対して訪日外国人は対2019年で68.5%。訪日外国人数が2022年の18.5倍であったのに対して出国日本人数は4.4倍にとどまっている。先日、タイ出張時に現地の日本人が言っていたが、日本人の観光客はあまり見ないとのこと。

 度を越した円安で海外旅行に行きづらくなっているのだろうか。これはこれで、問題のような気がする。

9月24日記

by 須毛原勲

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