社長エッセイ

社長の日曜日 vol.62 オシロイバナ 2024.07.15 社長エッセイ by 須毛原勲

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 先週の酷暑が少し和らぎ、梅雨らしい日が続いている。ジョギングコースの紫陽花は盛りを過ぎ、今は芙蓉やオシロイバナが咲いている。オシロイバナはその名の通り黒い種子を割ると白い粉が入っており、この粉は江戸時代には女性たちが顔を白く見せるために使用していたらしい。おばあちゃん子だった自分に、「これはオシロイバナという花で、昔の人はこの白い粉で化粧をしていたんだよ。」と、おばあちゃんが教えてくれたことを思い出す。

 日本気象協会は7月11日に梅雨明け予想を発表した。多くの地域で梅雨明けは平年並みとされ、7月17日以降、九州から東海地方にかけて一斉に梅雨明けが予想され、関東甲信地方や北陸地方では22日頃に梅雨明けとなるだろうとのこと。梅雨明け後も安定した天気は続きにくく、雨や雷雨が多いと見込まれている。地球温暖化や春まで続いたエルニーニョ現象の影響で、地球全体の大気温がかなり高くなっており、太平洋高気圧が強まる場合、昨年に匹敵する猛暑となる可能性があるとのことである。昨年はとても暑かったが、今年も同様の猛暑が予想され、うんざりしてしまう。

 そんな気候にうんざりしている自分に日々活力をもたらしてくれるのが大谷翔平選手の活躍である。大谷選手は今季29号本塁打を放ち、日本人として初めてメジャーリーグ通算200号本塁打を達成した。これまでの日本人最多記録は松井秀喜氏の通算175本塁打であった。大谷選手はメジャーリーグ入りしてから809試合目でこの記録を打ち立てた。投打の二刀流元祖のベーブ・ルースの817試合より8試合早い記録だそうだ。彼は7月5日に30歳の誕生日を迎えたばかりである。今後、彼がどれほどの本塁打を打つことができるか、その活躍が非常に楽しみである。

 我が巨人軍は、日曜日の試合で敗れたものの依然として首位をキープしている。丸佳浩選手が完全に復活し、セリーグの打率トップの活躍でチームを牽引している。吉川尚輝選手やヘルナンデス選手も好調、岡本和真選手はホームランを量産している。さらに、キャッチャーから一塁手へ転向した大城卓三選手は打率4割を超える活躍を見せている。また、西武からトレードで加入した若林楽人選手も打撃と守備両方で大きく貢献している。12日の試合では9回裏の攻撃で、初球を思いっきり振り切ってのサヨナラヒット。ヒーローインタビューでの表情がいい。負けん気が顔に出ている。巨人軍にいないタイプの選手だなと思う。13日には、ずっと不調だった門脇誠選手が走者一掃の2塁打と大活躍。テレビで観戦していて思わず声を上げてしまった。投手陣では、好調な先発陣に加え、2軍で調整していた大勢投手が復帰し連続セーブを挙げ、160キロ近い速球で完全復活の兆しを見せている。一方で心配なのは、2軍で調整していた坂本勇人選手である。1軍に復帰してすぐスタメンに入ったもののノーヒットに終わり、続く2試合は先発から外れている。もともと攻守ともに優れた選手だから何かのきっかけで復調してくれることを期待している。

 先週の日曜日は東京都都知事選が行われ、小池百合子氏が三選を果たした。当初は蓮舫氏との一騎打ちが報道されていたが、結果的に石丸伸二氏が2位となり、蓮舫氏は3位に終わった。蓮舫氏の民主党政権時代の「2位じゃダメなんですか?」という発言がクローズアップされ、彼女を揶揄する報道が増えている。特に注目されたのは、知名度がほぼなかった石丸伸二氏が地盤がない中で165万票を獲得したことである。SNSやYouTubeを積極的に活用したことが、無党派層の票獲得につながったとされている。また、AIエンジニアの安野貴博氏が15万票以上を獲得したのも、SNSなどの活用が理由の一つと見られている。安野氏の奥様の演説が素晴らしいと評判だった。

 今回の都知事選の投票率は60.62%で、前回を5.62ポイント上回った。猛暑の中、多くの人が投票所へ足を運んだ。

 その日の夕方、日中の暑さが和らいだ頃に私は投票に行った。与えられた権利は行使すべきだと考えている。たかが1票と思うこともあるが、されど1票である。

 中国に13年間駐在していたが、日常生活で中国という国を特に意識することは実際にはそれほど多くないのだが、中国という国が日本と異なる体制であることを感じさせる点の一つに、中国国民には選挙権がないという事実がある。中国は共産党一党独裁のもとで運営されており、その結果、国民には選挙権が与えられていない。つまり、選挙に行った経験がある中国人は存在しないのである。駐在時代に不在者投票の話をしている時に、きょとんとした中国人幹部の表情ではじめてその事実を思い知らされたことを思い出す。

 選挙繋がりで米国に目を向けると、バイデン大統領とトランプ元大統領のテレビ討論会が6月27日に開催された。バイデン氏は言葉に詰まったり、意味が不明瞭になったりする場面が目立った。以降、81歳のバイデン大統領の認知力に対する懸念が浮上した。俳優のジョージ・クルーニー氏が10日、ニューヨークタイムズ紙への寄稿で、バイデン大統領の大統領選挙からの撤退を訴えた。2020年大統領選でトランプ氏を破ったバイデン氏を「民主主義を救った英雄だ」とたたえた上で「(選挙戦から身を引き)再び民主主義を救ってほしい」と唱えた。

 バイデン大統領は11日、米ワシントンで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせて開かれた関連会合で、ウクライナのゼレンスキー大統領を「プーチン大統領」と言い間違えて紹介した。また、記者会見で、ハリス氏が大統領としての資質があるかと問われ、「彼女が大統領になる資格がなければ、私はトランプ副大統領を副大統領には選ばなかっただろう」と言い間違えた。これをもって認知力に問題があると結論づけるべきかどうかは分からないが、これ以上のない間違え方である。メディアも取り上げないわけにはいかないだろう。

 そのようにバイデン大統領の周辺がザワザワしている状況で、14日朝、トランプ氏が演説中に撃たれ負傷したとのニュースが飛び込んできた。2年前に安倍晋三元首相が銃撃され命を落とした事件の鮮烈な記憶が蘇った。トランプ氏は幸い軽傷で、SPたちに抱きかかえられながら右手の拳を高々と掲げる姿がテレビに映し出されていた。強運の持ち主であるということは間違いないだろう。

 さて、当社のホームページの特別企画「社長対談」第6弾に、住友商事株式会社の執行役員である横濱雅彦氏にご登壇いただいた。炎熱商人さながらに中国、米国で戦い続けてこられた商社マンの凄さが垣間見られるお話を伺うことができた。ご一読いただければ幸いである。

第1回 「商社マンの仕事と鉄鋼ビジネスの魅力」

https://sugena.co.jp/ceo_talk/ceo_talk-3845/

第2回 「中国とアメリカでの経験」

https://sugena.co.jp/ceo_talk/ceo_talk-3846/

第3回 「グローバル人材に求められるもの」

7月17日公開予定

7月14日

by 須毛原勲

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