暖かい日が続いている。まさに「小春日和」と呼ぶにふさわしい温かく穏やかな晴天が続き、紅葉が美しい。近場の公園でも十分に美しい紅葉を楽しめる。
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘に関し、両国政府は停戦合意に達したと発表した。今後60日以内に、イスラエル軍はレバノンから部隊を撤収する予定である。米国のバイデン大統領は、この合意が「恒久的な停戦を目指すものだ」と述べている。イスラエルとヒズボラの戦闘は、2023年10月7日にハマスがイスラエルを奇襲したことを契機に始まった。この攻撃で約250人のイスラエル人がハマスに人質として拘束され、10月6日時点で35人の死亡が確認され、100人以上が依然として拘束されていると報告されている。北京出張時に目にした、北京のイスラエル大使館の壁に描かれた人質の人たちの顔が目に浮かぶ。イスラエル側の死者は1,697人、負傷者は19,019人に上る。一方、ガザ地区での死者数は41,825人、負傷者数は96,910人とされている。上述の両国政府の合意がパレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの停戦につながるかは不明であるが、平和への進展が望まれる。
2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻から、今日(12月1日)で1,013日目となる。来年1月20日に第47代アメリカ合衆国大統領に正式に就任するトランプ氏の下で、状況が大きく変化する可能性がある。しかし、ウクライナがロシアの侵攻以前の領土を回復して戦争が終結する可能性は低いとの見方が大勢を占めている。
APEC首脳会議において、石破茂首相と中国の習近平国家主席が会談した結果、日本人が中国に短期滞在する際のビザ(査証)免除措置が11月30日付で再開された。この措置により、2025年末まで日本人はビザなしで最大30日間の滞在が可能となる。石破首相が述べたように、「日中両国の関係改善には、あらゆるレベルでの人的交流を深めることが重要」である点には全く同感である。
コロナ禍以前の2019年時点で日本から中国を訪問した日本人は年間約250万人にとどまっていた。一方で、2024年1月から10月までの中国人による日本訪問者数は583万人に達しており、11月と12月もそれまでの月平均を維持するとすれば、年間約700万人に上る。このように、中国を訪れる日本人の数と、日本を訪れる中国人の数との間には大きなアンバランスが存在している。
中国人は実際には日本が大好きな人が多く、リピーターも少なくない。一方で、日本人の中で「中国を訪れたい」と考える人は依然として少数派である。これが現状であり、両国間の人的交流促進における課題となっている。
日本人が中国を訪問する際、人気の都市として挙がるのは、北京、上海、杭州、深圳、西安、成都、蘇州などであろう。それぞれの都市が独自の魅力を持っており、訪れる価値は十分にある。但し、せっかく中国を訪れるのであれば、大都市だけでなく、少し足を伸ばして雄大な自然や歴史的建造物を巡るツアーを検討するのがおすすめである。
中国には、2024年12月時点で59件の世界遺産が登録されており、その数は日本の26件を大きく上回る。これらの遺産は、自然の壮大さや文化的な深さを体感できる貴重な場所ばかりである。
私が特にオススメしたい中国の世界遺産TOP10をご紹介したい。
1.武陵源の自然景観と歴史地域(1992年世界自然遺産認定)
2.万里の長城(1987年世界文化遺産認定)
3.秦の始皇帝陵と兵馬俑坑(1987年世界文化遺産認定)
4.莫高窟(1987年世界文化遺産認定)
5.黄山(1990年世界複合遺産認定)
6.九寨溝の渓谷の景観と歴史地域(1992年世界自然遺産認定)
7.中国南部カルスト(2007年世界自然遺産認定)
8.麗江旧市街(1997年世界文化遺産認定)
9.古都平遥(1997年世界文化遺産認定)
10.ラサのポタラ宮歴史地区(1994年世界文化遺産認定)
1.武陵源の自然景観と歴史地域(湖南省)
目玉は、張家界国家森林公園である。自然の景観としては群を抜いており、私にとっては断トツである。見たことのない圧倒的な景観が目の前に広がる。映画「アバター」の舞台としても知られる袁家界(Yuanjiajie)も含まれており、中国で最もオススメの観光地である。
2.万里の長城 (北京市他)
中国で最初に世界遺産に登録された万里の長城は、外せない観光地である。この長城は、春秋戦国時代(紀元前7世紀頃)に起源を持ち、最も広く知られる部分である秦代(紀元前221~206年)や明代(1368~1644年)に大規模な拡張が行われ、全長はおよそ21,196キロメートルに及ぶ。
観光客が訪れることができる万里の長城は、主に3カ所存在する。八達嶺長城(最も有名で観光地として整備されている)、司馬台長城、そして慕田峪長城である。私のオススメは、少し北京から距離があるものの、慕田峪長城に足を伸ばすことである。このエリアには「天梯」(天のはしご)と呼ばれる急勾配があり、万里の長城の壮大さを最も実感できるスポットである。長城は「宇宙から確認できる唯一の建造物」とも言われるが、その真価は実際に訪れたときに感じる圧倒的なスケールにある。慕田峪長城の頂上から眺める景観は、起伏に富む山々と長城が一体となった絶景が広がり、まさに圧巻の一言に尽きる。数千年の歴史を持つこの偉大な建造物を訪れることで、中国の歴史と文化の壮大さを肌で感じられるであろう。
3.秦の始皇帝陵と兵馬俑坑(陝西省西安市)
中国史上初めて全土を統一した秦の始皇帝の陵墓。紀元前246年、始皇帝が即位した直後に建築が開始され、約38年の歳月をかけて完成したとされる。兵馬俑は、始皇帝の墓を守るために陵墓周辺に配置された粘土製の兵士たちであり、その数は数千体にも及ぶ。これらの兵俑はすべて実物大で作られ、個々に異なる表情や装備を持つ点が驚異的である。その圧倒的なスケールと存在感には圧倒される、一度は訪れるべき場所である。
4.莫高窟(甘粛省敦煌市)
古代シルクロードの要所、敦煌。この地には仏教石窟寺院があり、特に莫高窟(ばっこうくつ)は世界的に知られる。その壁画には菩薩像をはじめとする美しい女性像が描かれ、多くの訪問者を魅了してきた。日本の著名な日本画家である平山郁夫画伯(1930年~2009年)は、莫高窟を訪れ、その芸術に深い感銘を受けたといわれる。彼は生涯で約40回も敦煌を訪れ、その魅力を作品に昇華したという。私自身、莫高窟の菩薩像を実際に肉眼で目にしたときの感動は、今なお鮮やかに蘇る。
5.黄山(安徽省黄山市)
黄山は、「五岳帰来不看山、黄山帰来不看岳」(五岳を訪れた後に他の山を見る必要はない。黄山を訪れたら五岳さえ不要)と言われる、中国で最も誉れ高い山である。私はこれまでに二度、自らの足で黄山に登頂した。その風景はどれも中国の水墨画そのものといえる美しさであった。特に、雪に覆われた黄山の景色は言葉を失うほどの美しさで、心が震える感動を覚えた。一度目の登頂では、残念ながら御来光を拝むことが叶わなかった。その悔しさからリベンジし、二度目の登頂で運良く早朝、山間から昇る御来光を拝むという貴重な体験をすることができた。黄山の壮大な自然の中で迎えたその瞬間は、忘れがたい記憶として心に刻まれている。
近くには、もう一つの世界遺産、安徽南部の古村落(西逓と宏村)(2000年世界文化遺産)がある。黄山の壮大な自然景観を楽しむだけでなく、古村落を訪れることで、中国の伝統的な文化や生活様式を学ぶことができる。黄山観光と徽州古村落観光を組み合わせることで、自然と文化の両方を堪能できる旅となる。
中国駐在中に、五岳(泰山、華山、衡山、嵩山、恒山)のうち、衡山を除く4つの山を踏破した。五岳の中では、泰山(山東省泰安市)と嵩山(河南省登封市)も世界遺産に登録されている。
泰山は、古代中国における「東岳」として最も重要な五岳のひとつである。古代より皇帝の即位や国家安寧を祈る祭祀が行われた神聖な山であり、道教や儒教の信仰とも深く結びついている。山中には碑文や寺院、皇帝が残した遺構が多く存在し、その歴史的価値は計り知れない。
嵩山は「中岳」として五岳の中心に位置し、儒教、仏教、道教が交差する重要な宗教文化の地である。特に特筆すべきは少林寺で、禅宗発祥の地として知られ、武術(少林拳)でも有名である。運が良ければ、少林寺で修行に励む僧侶の姿を目にすることが出来る。
世界遺産には登録されていないが、華山(陝西省)も訪れる価値のある山である。「天下第一の険しい山」と称されるほど、断崖絶壁に設置された階段や細い道が続き、スリル満点のルートが特徴だ。特に「長空棧道」や「千尺幢」といったルートは、忘れられない体験となる。こちらも見たことがない景観が目の前に広がる。
6位から10位については、追ってご紹介させていただくことにしよう。
12月1日