東京は急に寒さが厳しくなった。早朝の気温は10度を下回り、耳当てと手袋とマスクを着けて走る日々である。12月7日は二十四節気の「大雪(たいせつ)」。大雪とは、冬が深まり寒さが本格化する頃で、山間部では本格的な降雪が始まり、平地でも雪が降りやすくなるとされている。
寒さにもかかわらず、体調はすこぶる快調で、この土日は少し遠くの公園まで足を伸ばした。公園に到着したのはちょうど朝の6時半。聞き慣れた音楽が耳に届いた。人だかりができて、ラジオ体操が始まっていた。
この公園のラジオ体操は、中央に白髪の年配のリーダーらしき方が立ち、そのリーダーに向かって扇形に人々が並んでいた。驚いたのは、ラジオ体操の歌が始まると同時に、皆がいっせいに歌い出したことである。「新しい朝が来た 希望の朝だ…」と元気よい歌声を響かせていた。輪に入ると、「おはようございます」と気さくに声をかけられたが、体操中は無駄口をたたかず、皆さん真剣に体を動かしていた。
体操を終えると、「ありがとうございます」と挨拶を交わし、それぞれが解散していった。私も気分よくその場を離れようとしたところ、中央にいた白髪のリーダーの方がこちらへ歩み寄ってきた。「勝手に参加して怒られるのでは」と少し緊張したが、「これ、よかったらどうぞ」と手渡されたのは『絵でおぼえる ラジオ体操』というパンフレットであった。「勝手に参加してしまい、すみません」と頭を下げると、「いえいえ、またぜひ参加してください」とにこやかに言われた。思いがけない朝の出来事に、なんとなく心がほっこりした。
手渡されたマニュアルにはこう書かれていた。「ラジオ体操第一は、老若男女を問わず誰でもできることにポイントを置いた体操です。軽快なリズムに合わせて、体全体の筋肉や関節をバランスよく動かすことができます。」「ラジオ体操第二は、体を鍛え、筋力を強化することにポイントを置いています。筋肉や関節を柔軟にするダイナミックな運動が、血行を促進し内臓の働きを活性化させます。」確かに、真剣に取り組むとラジオ体操は意外と結構な運動になる。
この公園の中央には大きな銀杏の木が立ち、朝日に照らされた葉は黄金色に輝き、その周りには多くの犬たちが集っていた。銀杏の木と犬たちの様子をスマホのカメラに収めようとしていると、人なつこい犬たちが次々と踊るように飛び跳ねながら近づいてきた。まるで歓迎してくれているかのようで、嬉しくなった。この公園は、人も犬たちも他所者を温かく受け入れてくれ、人なつこさを感じさせてくれる、都会においては貴重な場所である。
隣国韓国で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜に非常戒厳令を発動し、約6時間後に解除するという事態が発生した。大統領は、国政の麻痺や北朝鮮の共産勢力からの脅威を理由に戒厳令を宣言したが、具体的な経緯は明らかにされていない。 7日夜、野党6党は尹大統領の弾劾訴追案を国会に提出したが、与党「国民の力」の議員が集団で退席し投票に参加しなかったため採決は不成立となり、弾劾案は廃案となった。 これにより、尹大統領は引き続き職務を継続している。
一部報道によれば、尹大統領が非常戒厳令を発動した背景には、保守層の一部から指摘されている「不正選挙疑惑」に対する執着があったとされる。具体的には、不正選挙の証拠を確保するため、中央選挙管理委員会に兵力を投入し、サーバーを捜索しようとしたとの情報がある。 しかし、これらの情報の真偽は未だ明確ではなく、報道からは全容を把握しきれていない。
今回の一連の動きにより、尹大統領が早晩退陣に追い込まれる可能性が高まっている。尹大統領の就任以降、日韓関係は格段に改善してきただけに、このような事態は非常に残念である。
「中国の対日感情大幅悪化」という見出しが、12月3日の朝日新聞第3面に大きく掲載された。NPO法人「言論NPO」は2日、日中の世論調査結果を発表した。その結果、中国人の87.7%が日本人に対して良くない印象を持つと回答しており、昨年の62.9%から大幅に悪化していることが分かった。情報源については、中国のニュースメディアが75.2%、SNSが53.9%を占めており、多くの中国人がネット上の情報を通じて対日印象を悪化させていると考えられる。
一方で、訪日経験のある中国人の55.6%は日本に良い印象を持つと回答しており、訪日経験のない中国人では97.2%が良くない印象を持つと回答している。この調査は、2023年10月から11月にかけて、言論NPOと中国国際伝播集団によって実施され、日本人1000人、中国人1500人を対象とした。調査対象人数が少なく見えるが、統計学的には十分に正確な結果が得られるとされている。
今回の調査結果を裏付けるような出来事が、11月19日に中国の厦門白鷺スタジアムで行われたFIFAワールドカップ2026アジア最終予選の日本対中国戦で発生している。この試合では、中国代表が日本代表に1-3で敗北したが、中国側の対応やサポーターの行為が注目を集めた。
特に問題視されたのは、ピッチサイズの変更である。中国側はサイドラインを通常よりも1メートル内側に設定し、ピッチを狭くする措置を取った。これは日本の攻撃スペースを制限する意図があったと考えられる。しかし、結果的には日本側の攻撃を助けるだけに終わった。
流石に看過出来ないのが、国歌斉唱時のブーイングである。日本の国歌斉唱中、多くの中国人サポーターがブーイングを行い、スポーツの場にふさわしくない行為が見られた。加えて、試合中には日本のゴールキーパー鈴木彩艶選手に対し、レーザーポインターを照射する妨害行為が確認された。更に、中国人サポーターと見られる人物がピッチに乱入し、試合が一時中断する事態も発生した。これらの行為はスポーツマンシップや観戦マナーに明らかに反するものであり、非難されて当然である。こうした事実を踏まえると、今回の世論調査結果が現実を的確に反映していると考えざるを得ない。
先日、中国政府は日本人に対するビザ免除措置を開始した。この措置は2024年11月30日から実施され、30日間までのビザ無し滞在が可能となる、日本人にとって喜ばしいニュースである。
ただし、このビザ免除措置は日本だけを特別視して行われたわけではないという点も留意すべきである。今回の措置は、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、マルタ、エストニア、ラトビアと日本に対してである。一方で、11月30日以前からすでにビザ免除措置が適用されていた国は、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなどを含む29カ国に上る。今回新たに加えられた9カ国を含め、ビザ免除の対象は合計で38カ国となった。この背景には、中国が日本との関係だけを特別視しているわけではなく、経済低迷を打開し、海外からの観光客やビジネス訪問者を増やすことで経済を活性化させたいという狙いがあると考えられる。
G7の中で、日本はドイツ、フランス、イタリアに続きビザ免除が認められた国となる。参考までに、米中対立の当事者の米国や、カナダ、英国はまだ対象外である。また、BRICSメンバーのインドも対象外である。
日本政府も中国人が日本を訪問する際のビザ発給要件を緩和する方向で調整に入っている。具体的には、提出書類の簡略化や、有効期間中に複数回の渡航が可能な数次ビザの対象拡大などが検討されている。この措置は、日中間の人的交流を促進し、関係改善を図る狙いがある。現在、中国人が観光目的で訪日ビザを申請する際には、ゴールド以上のクレジットカードの保有、年収・資産の証明書、居住地確認書類などの提出が求められている。外務省や法務省など関係省庁は、これらの要件の見直しを含め、具体的な緩和策を協議している。
言論NPOの調査によると、「日中関係は重要ではない」と答えた中国人が昨年の2割弱から6割へと急増している。この数字は、日本の存在感が中国国内で薄れつつあることを示している可能性がある。嫌われる状況であれば、まだ一定の関心があるとも解釈できるが、問題はその関心すら失われつつあるかもしれないという点である。
日中関係の将来に向けた努力が、今ほど求められる時はない。
12月8日