朝5時に家を出る。外はまだ真っ暗で、今朝の気温はこの冬初めてマイナスを記録していた。肌を刺すような寒さが身に染みる。いつもなら、ゆっくりと歩いて体を温めてから走り始めるのだが、今日は寒さに耐えきれず最初から走らずにはいられないほどの冷え込みだった。
走り始めると次第に体が温まり、それが妙に心地よい。家から離れた広い公園に着くと、ラジオ体操が始まる。見知らぬ誰かと「おはようございます」「寒いですねえ」と声を掛け合う。この一言が、なんとなく仲間に受け入れられたような気分にさせてくれる。
この半年、腰痛に苦しめられてきたが、ようやく痛みが引いてきた。体の調子も上向きで、今月は特に快調である。ジョギングコースの帰り道、某私立中学・高校の横にある急な坂道を通るのが最近のルーティンだ。そこでは坂道ダッシュを5本こなす。坂道ダッシュに丁度いい傾斜と距離なのだ。
さて、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が2024年度のノーベル平和賞を受賞し、12月10日にノルウェーのオスロで授賞式が行われた。日本のノーベル平和賞受賞は、1974年の佐藤栄作元首相以来、50年ぶりである。授賞式では、日本被団協代表委員の田中熙巳氏(92歳)が演説を行った。テレビでその様子を見たが、92歳とは思えない力強い演説であった。
日本被団協は1956年8月に長崎で結成された。結成宣言では「人類は私たちの犠牲と苦難をまたふたたび繰り返してはなりません」と謳い、原水爆禁止や被爆者の援護拡大を求めてきた。結成から68年にわたり、核兵器廃絶に向けて活動を続けてきたことに心より敬意を表する。田中氏の演説では、日本政府への非難をあえて繰り返し、政府の対応に対する忸怩たる思いがにじみ出ていた。
92歳で、あれだけの熱い想いをあの熱量で滑舌良く言葉を紡ぐ姿に胸が熱くなった。そこには、想像を絶するような苦難とともに生きてきた人だけが持つ強さというものを感じずにはいられない。
12月14日、政府主催の「北朝鮮による日本人拉致問題に関するシンポジウム」において、拉致被害者家族会の横田早紀江氏(88歳)が拉致問題の早期解決を改めて訴えた。横田氏は、1977年に新潟市内で拉致された横田めぐみさん(当時13歳)の母親であり、2020年に夫の滋氏が他界してからも、めぐみさんの帰国を信じて活動を続けている。めぐみさんが拉致されてから47年。横田氏の言葉が心に刺さる。小泉純一郎首相が北朝鮮を電撃訪問したのは2002年であり、その際に5名の拉致被害者が帰国した。あれから22年が経過している今、石破茂首相は北朝鮮との交渉に意欲を示しているという。
横田氏が一刻も早くめぐみさんに再会できることを心から願う。
本ホームページ掲載中の「社長対談」最新回では、漫画家のわたせせいぞう氏をゲストに迎えた。実は、わたせ氏とは私が上海に駐在していた頃にも対談しており、今回が2度目である。また、このエッセイ「社長の日曜日」のサムネイルに使用している私の似顔絵は、前回の対談の際に、わたせ氏に描いていただいたものである。
わたせせいぞう氏は、今年で画業50周年を迎えられた。「画業50周年を振り返って」との質問を投げかけたところ、わたせ氏の回答に驚かされた。「『50周年を振り返ってどうですか?』とよく質問されますが、僕は振り返るよりも、もう明日の絵のことを考えています。振り返るっていうのはまだまだずっと先のことかもしれません。振り返る時間があったら、次に何を描きたいかに向かっています。」と返ってきた。
わたせ氏は今年79歳。我々の世代では、1980年代の「ハートカクテル」に憧れたファンは多いと思うが、わたせ氏は現在も現役で新しい作品を読者に提供し続けている。JR東日本の「大人の休日倶楽部」の広告でわたせ氏のイラストをご覧になった方も多いだろう。
イラストの仕事だけでなく、現在も『ビッグコミック増刊号』に「なつのの京」を連載中である。この作品は、イタリア・ロンバルディア州クレモナでバイオリン職人をしていた主人公の“なつの”が、祇園のお茶屋の女将だった母の死を契機に日本に戻り、母の跡を継いで京都・祇園のお茶屋の女将となり、さまざまな物語が展開される。なつのは、生まれつき人から音楽が聞こえるという不思議な能力を持っている。残念ながらカラー印刷ではないが、色彩が目に浮かぶようである。わたせ氏の作品の魅力は、ストーリー展開、魅力的な女性キャラクター、恋愛描写、色彩の魔術師とも称される色使いなど多岐にわたるが、私はそのセリフ回しが大好きだ。主人公に語らせるセリフがとても素敵なのである。なつのもとても魅力的な女性として描かれている。単行本第1巻『なつのの京 ~父のソナタ~』、第2巻『なつのの京 ~恋のメヌエット~』が小学館より刊行されている。ぜひ、「なつのの京」の世界に触れていただきたい。
前回のわたせさんとの対談は2008年だった。その対談の終わりに、「ぜひ、上海版ハートカクテルを描いてください」とお願いしたことを鮮明に覚えている。
あれから16年。わたせ氏がまさに上海を舞台にした新作を描き始めているという。
今回の「社長対談」では、3回にわたりお話を伺っている。第2回は12月19日、第3回は12月25日に公開予定。どうぞご一読ください。
上海と言えば、多くの方々に中国の現状やリアルな生活を知っていただきたいという思いから、当社のホームページで「リアル中国生活。MIKIの上海通信」というブログの連載を先月より開始した。生粋の上海人であるMIKIさんの視点から、毎回リアルな中国、特に上海の今をお届けしている。
これまでに以下の5回を掲載。
- フランス語が響き渡る上海文化広場
- 上海の街角に息づくコーヒー文化
- 進化する中国のeコマースと宅配サービス
- 若者がハマる!最新アウトドアスタイル
- 秋の味覚を満喫!上海人が愛する大閘蟹
私は2004年から2015年までの11年間、上海に住んでいたが、MIKIさんのエッセイには私が知らなかったことも多く、読むたびに新たな発見があり私も楽しみにしている。また、中国語の新しい表現や流行語も学ぶことができ、非常に勉強になる。中国や中国語に興味のある方には、ぜひ読んでいただきたい。きっと「へぇ」と思うことがあるはずである。
次回は12月20日に公開予定で、テーマは『“躺平”の向こう側にあるもの – 中国の若者たちの新たな選択』である。一時期、中国で「躺平」(タン・ピン)という言葉が流行し、日本語では「寝そべり族」と訳され、多くのメディアでも取り上げられた。
競争社会に疲れ、やる気を失ったと言われる中国の若者たちが、現在どのような状況にあるのか。MIKIさんの視点を通して描かれる中国の若者たちの姿に、ご期待ください。
12月15日