春爛漫のジョギング
桜が開花した後、寒い日が続いた。そのおかげで、思いのほか長く桜を楽しむことができている。
桜は青空によく映える。澄んだ朝の日差しの中、青空を背景に綿菓子のような桜の花が公園を彩っていた。気づくと、やまぶきの花も満開を迎えていた。淡いピンクの桜を背景に、鮮やかなやまぶき色の花はひときわ映えて美しく、心穏やかな時間を過ごした。
今週末で桜も見納めかもしれないと思い、いつもより少し先まで足を伸ばした神田川沿いの遊歩道では、たくさんの人たちが桜を楽しんでいた。そんな中、颯爽と散歩するボルゾイとすれ違った。ボルゾイはロシア原産の犬で、気品ある顔立ちと優雅な歩きぶりが印象的。その高貴な佇まいに思わず見とれてしまった。
衝撃のトランプ関税
そんな和やかな春の一日とは対照的に、先週、世界を揺るがす大きな出来事があった。
衝撃的だったのは、トランプ米政権による「相互関税」政策の発表だ。この関税制度は、一律10%の基本税率に加え、貿易赤字や非関税障壁の有無に応じて国別に上乗せされる仕組みとなっている。日本には、合計24%の関税が適用されるという。
財務省の令和6年分貿易統計によると、日本の輸出額は107.1兆円、輸入額は112.4兆円で、5.3兆円の貿易赤字となっている。そのうち、米国への輸出は21.3兆円、米国からの輸入は12.7兆円で、8.6兆円の黒字となっている。これらの数値を踏まえ、日本に対して24%の関税を課すとの説明だが、その根拠は不透明で、専門家の間でも疑問の声が上がっている。
各国への相互関税を発表する際のトランプ大統領は、まったく迷いのない様子で、誇らしげに語っていたのが印象的だった。彼はホワイトハウスでの演説で、「今日は解放の日だ」と高らかに宣言し、「2025年4月2日は、米国の産業が生まれ変わった日であり、米国がその宿命を取り戻した日。そして、再び米国を裕福にするための歩みが始まった日として、永遠に記憶されるだろう」と力強く語った。
さらに、「相互関税で得た何兆ドルもの資金を用いて、迅速な減税を実施し、政府債務の圧縮にも取り組む」と述べ、高関税政策の意義を強調した。
演説の多くを費やしたのは、貿易の「不公平さ」に対する批判だった。「米国は何十年にもわたり、他国の貿易障壁を取り払ってきたが、相手国は我々の製品に高い関税を課し、米国の産業を破壊してきた」とし、為替操作や輸出補助金などにも強い言葉で非難を浴びせた。
こうした状況下で為替も急激に円高に振れており、日本の輸出企業にはさらなる逆風が吹いている。米国向け輸出では関税のダメージに加え、さらに円高の影響で、ドルベースの売上が円換算で大きく目減りしてしまうのだ。
米中の貿易摩擦を背景に、生産拠点をベトナムなどに移してきた多くの企業も、そのベトナムに対して46%の相互関税が課されるという報道に衝撃を受けている。これにより、日本企業の多くが、深刻な影響を受けざるを得なくなるだろう。
それだけではない。今後は、こうした不確実性を踏まえ、生産拠点やサプライチェーン全体の再構築を余儀なくされる。では、「米国で販売するなら、米国で生産すればいい」といった単純な話になるかと言えば、現実はそう甘くない。
たとえば自動車産業においても、多くの部品は米国内では生産されておらず、すべてを国内で完結させるのは困難だ。さらに、米国の人件費は中国やベトナムに比べて大幅に高く、新たに工場を建設し、人材を採用しようとすれば、莫大な時間・労力・資金が必要となる。
今回の相互関税が“最大限”であり、これ以上の引き上げはないという説明もある。また、日本政府が何らかの提案をすれば、関税率が引き下げられる可能性も否定はされていない。しかし、トランプ政権がどのような「ディール」に応じるかは、現時点では見通せない。
今こそアジア市場に目を向ける時
こうした不透明な状況に直面し、「やはり海外展開は控えるべきではないか」と考える企業が増加する可能性も否定できない。
しかし一方で、日本の令和6年分貿易統計によれば、アジア向けの輸出額は56.8兆円と、米国向けの2倍以上に達している。今こそ、アジア市場の可能性に改めて目を向けるべき時期であると考える。
先週の当ブログでもご紹介したとおり、私は現在、情報発信プラットフォーム「note」にて、「初めての海外進出 成功への鍵」と題する記事を連載している。そこでは、いわゆる「海外進出の迷える子羊たち」に向けて、支援機関に頼る前にまず考えるべき視点を、実践的かつ分かりやすく提示している。
「初めての海外進出 成功への鍵」。https://note.com/sugena_2025
ぜひ一度、ご一読いただきたい。
4月6日