身近な祈りと遠い外交、私的な記憶と国家の駆け引きが複雑に交差し、心がざわざわとした1週間だった。
小雨と祈り――弁財天が教えてくれた静かな作法
梅雨入りが遅れている東京は、湿気をはらんだ風が身にまとわりつく日と、カラリとした風がカーテンを気持ちよく揺らす日が交互に訪れ、気温差に疲労感が増す日々だ。日曜の朝は時折小雨が頬を打ち、走り始めて体が温まるまで時間がかかった。ジョギングの締めくくりに近所の公園の弁財天に参拝したところ、賽銭箱の横に立て札が掲げられていた。
【正しい参拝作法】
柏手(かしわで)は打たない
心静かに合掌する
真言「オン ソラソバテイエイ ソワカ」を唱える
この弁財天に詣でるようになって10年になるが、私はこれまで二礼二拍手一礼の神社作法で詣でていた。どうやら、それは誤りであったらしい。正しい型を知り改める – ビジネスも同じく、慣習を点検し続けたい。
関税リミット迫る――G7決着へのカウントダウン
米国との相互追加関税の停止措置(90日間)は7月9日に期限を迎える。第5回閣僚級交渉を終えて帰国した赤沢亮正経済再生担当相は「楽観はできない」とコメントした。基本税率10%に加え、日本向け14%の上乗せ関税を同日から即時適用するか否かは、今月中旬にカナダで開かれる先進7カ国首脳会議(G7)で最終判断される見通しだが、情勢はなお流動的である。
揺れる対外戦略――トランプ外交と“マスク劇場”
トランプ大統領の動向も慌ただしい。プーチン露大統領との電話会談ではウクライナ戦争の即時停戦は困難との結論に達し、むしろ当面は戦闘を継続させた方がよいとの趣旨まで述べたという。5日には習近平中国国家主席と協議し、レアアース輸出規制などを巡り一部品目の輸出再開で合意、相互往来により関税問題の打開を図る意向を示した。
また、中国人留学生のビザ取消問題については「米国は中国人学生を歓迎する。受け入れることはわれわれの名誉だ」と表明し、沈静化を図る姿勢を見せた。
さらに最大の話題はイーロン・マスク氏との関係急変である。最近まで両者は蜜月を誇示していたが、ここへ来て急速に冷却化。ただし一部では「これもプロレスに過ぎない」との見方もあり、真相は掴みがたい。
長嶋茂雄氏、訃報の衝撃――“不滅”のスピーチが甦る瞬間
長嶋茂雄氏が6月3日午前6時39分、肺炎のため東京都内の病院で逝去した。享年89歳。
訃報は瞬く間に列島を駆け巡り、8時56分には日経電子版の速報メールがパソコンに飛び込んできた――「長嶋茂雄氏が死去 89歳、プロ野球巨人の終身名誉監督」。
「いつかは」と覚悟していたつもりだったが、胸が大きく揺さぶられた。1974年の引退試合で放たれた名言「わが巨人軍は永久に不滅です」を、中学生だった私はテレビの前で眼に焼き付けた。野球少年だった当時、「4番・サード」に憧れてバットを振ったが、才能は届かずポジションも打順も遠ざかった。それでも、長嶋氏の華麗なプレーに魅了された記憶はいまも色あせない。
翌4日朝、スポーツ報知を手に取る。見出しは「長嶋茂雄は永久に不滅です」。紙面のほぼすべてが長嶋一色であった。これほどの記事を一夜で用意できるはずもない。いつか来るその日のために丹念に原稿を積み重ねていたに違いない。それは不遜ではなく、同紙が総力を挙げて編んだ「追悼・長嶋茂雄」という矜持の表れである。
なかでも〈ミスター語録〉と題された面は、笑いと涙を誘う珠玉の言葉で満ちていた。
・「ジャイアンツの監督は大変。何しろ毎日がジャイアンツ戦ですから」
・「魚へんにブルー、『鯖(サバ)』ですね」
・“I live in Edo.”(「I live in Tokyo」を過去形に、との質問への回答)
・「今年、初めて還暦を迎えまして」
・「勝負は家に帰って風呂に入るまで分かりませんよ」
・「少なくともセオリー通りの安全な道ばかり歩いていては、生きがいなんて生まれませんよ。時には冒険も必要です。周囲の批判を恐れず『俺は出来るんだ』とやり抜く。それが男のロマンでしょう」
「長嶋茂雄であり続けることは、結構苦労するんですよ」。その言葉どおり、ミスターは最後までミスターであり続けた。
「努力は人目の届かぬところでするものだ。積み重ねれば、やがて成果となって表れる。『努力しています』と練習を売り物にする選手は、プロフェッショナルとは言えない」。
2004年に脳梗塞で倒れてから21年。本人は「リハビリは裏切らない」と語り、右半身の不自由をものともせず表舞台に復帰した。ジャイアンツの主力打者が不振に陥れば球場で自らバットを握り、個別指導まで行った。
ミスターの執念と復帰力――“長嶋茂雄であり続ける”ための闘志は、組織のリーダーに不可欠な粘り強さと覚悟を教えてくれる。
4日のロッテ戦で喪章を付けて臨んだジャイアンツは勝利を届けられず、その後も連敗を喫したが、週末の試合でようやく白星をつかみ、ミスターに届けることができた。
ジャイアンツは、8月16日の阪神戦を「長嶋茂雄終身名誉監督追悼試合」として開催すると発表した。当日は監督・コーチ・選手全員が栄光の背番号「3」のユニフォームを着用するという。現地で観戦したいものである。
6月8日
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