仕事でもプライベートでも、「走る夏」が始まった。
炎天の疾走――ポインター犬と掴む朝の涼
暑い、暑い、暑い──梅雨はいったいどこへ消えたのか。
自宅から約4キロ離れた公園で6時半から行われるラジオ体操に参加すると、帰路には気温が上がり、空気が熱波となって押し寄せる。そこでラジオ体操の拠点をランニングの終点の近所の公園へと切り替えた。6時半のラジオ体操開始前に往復10キロを走破しなければならず、おのずとペースは上がる。
その近所の公園では、新参者の私を温かく迎えてくれる。「おはようございます」「また明日」と交わされる挨拶が心地よい。そして毎朝同じ時刻に現れる猟犬のポインター、名は「ラルー」。白い体に顔まわりの茶色い斑が映える猟犬で、美しいシルエットを誇る美人さんである。頭を撫でても体に触れても嫌がるそぶりを見せない。ランニングの途中で会うアメリカンブリーの「ウィリアム君」とは打ち解けられなかったが、ラルーとは良い友になれそうである。
燕三条発、匠の技と米の恵みを東アジアへ
新潟県の「令和7年度東アジアバイヤー招へい企画運営業務」に当社(株式会社SUGENA)が採択されたことを受け、毎月新潟を訪れている。本事業は、東アジア向け商流の構築と販路開拓を目的にバイヤーを招へいし、新潟県内企業との商談機会を創出することを支援するものである。
本年度は、9月6日(土)・7日(日)に開催される「ぼうさいこくたい2025」に合わせ、招へいプログラムを実施する予定であり、対象業種を同イベントと親和性の高いアウトドア用品および保存食関連と定めた。
アウトドア用品分野では、金属加工業が集積する燕三条地域が中核を成す。同地にはキャンプギアを開発・製造・販売する企業やキッチン用品を製造・販売する企業が多数立地し、既に海外展開を進めている企業に加え、進出を模索する企業も少なくない。これまでに2度燕三条を訪れ、経営者と意見交換を行ったが、ものづくりへの揺るぎない矜持をひしひしと感じた。
保存食分野では、新潟が全国屈指の米どころである強みが生きる。主食用米の収穫量は約62万トンで全国シェア8.5%を誇り、魚沼産コシヒカリに代表される高級ブランド米は国内外で高い評価を獲得している。米を原料とした加工食品・米菓・レトルト食品などを広く手がける大手企業に加え、高齢者向け健康食として需要が拡大する長期保存食メーカーも台頭している。本事業では、こうした米由来の保存食関連企業を中心に東アジアバイヤーとのマッチングを図り、県内食品産業の販路拡大を後押しする方針である。
先日、NHK「鶴瓶の家族に乾杯」(5月19日放映)で笑福亭鶴瓶氏とミュージシャンの奥田民生氏が燕市を訪れる回が放映された。ノーベル賞晩餐会で使用されるカトラリーを製造する山崎金属工業、1816年創業の無形文化財鎚起銅器「玉川堂」など、燕三条の卓越した技術と歴史が映し出され、その凄みに圧倒された。
「燕三条」という名はかねて耳にしていたが、実際に企業の声を聞くのは初めての経験である。ものづくりの聖地とも言うべきこの地の企業を世界へ羽ばたかせる支援こそ当社の使命であり、創業以来もっとも遂行したかった仕事である。今回、新潟各地を訪問し直接話を伺う中で、その思いはいっそう強まった。本事業を何としても成果ある形に結実させたいと決意している。
今週の当稿のサムネイル画像は、燕市の田園風景である。青々とした稲穂が風にそよぎ、ものづくりの情熱と大地の恵みが交差する新潟の魅力を象徴している気がする。
向日葵と背番号3――ミスターを偲ぶ夏
政府は、6月3日に逝去した長嶋茂雄氏を従三位に叙することを決定した。長嶋氏は2013年、松井秀喜氏とともに国民栄誉賞を受賞し、2021年には元プロ野球選手としては初となる文化勲章を授与されている。スポーツ選手として従三位に叙された例は過去にわずか2名。2009年の古橋廣之進氏(競泳)および2021年の小野清子氏(体操・政治家)のみである。古橋氏は日本オリンピック委員会会長、小野氏は参議院議員を務めた経歴を有する。一方、長嶋氏は生涯を野球一筋に捧げた人物であり、その叙位がいかに卓越した功績を示すものであるかは明らかである。
また、朝日新聞の「朝日俳壇」「朝日歌壇」には、長嶋氏を悼む句歌が相次いで寄せられているという。 その中には、テレビ中継での長嶋氏の活躍を詠んだものも多く、まさに私の記憶と重なる。
幼少期、テレビを点ければ常に巨人戦が中継されていた。父が野球ファンもしくは巨人軍ファンであったかどうかの記憶が定かでは無いような私の家でさえ、茶の間のテレビには巨人軍の野球中継が映し出されていた。少年野球を楽しむ子どもたちはみな「3番・サード××」に憧れてそのポジションを競い合った。
いつしか、テレビでのナイター中継が少なくなり、そんな昭和の風景も、ガチャガチャと回すテレビチャンネルの音と共にいつの間にか消え去ってしまった。
8月16日には「長嶋茂雄終身名誉監督追悼試合」が開催される。ファンクラブ会員である私はチケット抽選にすでに応募済みだ。当日は選手全員が背番号3を纏い、阪神に挑む姿を眼に焼き付けたい。その頃には、負傷離脱中の岡本和真選手が復帰していると信じている。
7月6日
【お知らせ】

当ホームページにて、新たなシリーズを掲載中。
タイトルは「初めての海外進出 ― 成功への鍵」。
34年間の海外事業経験と、その後の中小企業の海外展開支援で得られた知見と実感をもとに、全14回のシリーズとして構成している。
現在公開中:
是非ご一読いただき、お役立てください。
以下、公開予定。
Vol. 9 パートナー企業の選定術(7月8日公開予定)
番外編 パートナー候補を探す前に必ず磨くべき「自社という鏡」(7月10日公開予定)
Vol.10 人・資金・時間 – 3大リソースを設計せよ(7月15日公開予定)
Vol.11 海外コミュニケーション – 言語・文化・本音を掴む(7月17日公開予定)
Vol.12 支援の受け方・選び方 – 主体性を持ち“キャディー”を使いこなす(7月22日公開予定)
最終回 いま帆を揚げよ – 90日で海に出るロードマップ(7月24日公開予定)
詳細は下記URLから