季節の終わりの青
東京は、この日曜日まで4日続けて雨である。
午前5時、ベランダに出て手を差し伸べてみると、細かな霧雨のような秋の雨が静かに降っていた。ジョギングができないほどではなかったが、思ったよりも気温が下がっており、濡れて走れば風邪を引きかねないと思い無理をしないことにした。走りに行かないと決めて、何か月ぶりかに二度寝を楽しみ、気が付けば朝9時に近かった。
まあ、こんな日もたまにはいいだろうと、コーヒーを淹れる湯を沸かした。
通勤の人々の服装も、いつのまにか冬の装いになってきた。長かった夏がようやく終わったと思えば、秋は本当に短い。
神田川のほとりに青い小さな花が咲いていた。調べてみると、サルビア・アズレアという花だった。秋に咲く数少ない青い花で、アメリカ原産の多年草だという。淡い青色の花が雨に濡れて揺れている姿が印象的であった。
このところ、思うようにならない出来事がいくつか続き、気持ちが少しささくれ立っていたせいか、その青い色が心に染みた。静かな雨の中で咲く小さな花が、どこか「大丈夫」と声をかけてくれるようにも感じた。
季節の変わり目は、人の心にも節目をつくるのかもしれない。
日本シリーズより、ワールドシリーズ
日本のプロ野球は、ただいま日本シリーズの真っ最中である。
しかし、巨人ファンの自分にとっては、すでにシーズンは終わっている。野球そのものは好きだが、正直、試合を観る気分にはなれない。
海の向こうでは、メジャーリーグのワールドシリーズが開幕した。
大谷翔平選手、山本由伸投手、佐々木朗希投手を擁するドジャースは、初戦こそ大量失点で敗れたものの、2試合目では山本投手がトロント・ブルージェイズを相手に見事な投球を見せた。3回に1点を失ったものの、それ以外は完璧。4安打・8奪三振、4回以降は無失点に抑え、完投勝利を挙げた。これぞエースという投球である。
土曜日、日曜日とNHKの中継を通して、久しぶりにメジャーリーグの試合をじっくり楽しんだ。改めて思うのは、守備のレベルの高さである。
今年から外野手からショートへ転向したムーキー・ベッツ選手の守備は見事だった。外野から内野へのコンバート自体が異例だが、軽やかなフットワークと送球の正確さには驚かされた。どうしてあんなことができるのかと思うほどである。
しばらくは、日本シリーズではなく、メジャーリーグのワールドシリーズを楽しみたいと思う。
そんな中、我が巨人軍の主砲・岡本和真選手が、ポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指しているという。長年応援してきた身としては、うれしくもあり、少しさびしい知らせでもある。
高市首相の誕生
高市早苗首相が誕生した。
公明党の連立離脱により、一時は危ぶまれた高市政権の発足であったが、日本維新の会が自民党との連立に合意し、衆議院の首班指名選挙では初回投票から過半数の票を得た。
参議院では決選投票にもつれ込んだものの、最終的に衆参両院で承認され、第104代内閣総理大臣に高市早苗氏が選出された。
憲政史上初の女性総理大臣の誕生である。
所信表明演説の冒頭で高市首相は、
「私は、日本と日本人の底力を信じてやまない者として、日本の未来を切り開く責任を担い、この場に立っています。」
と述べ、さらに、
「それが国家国民のためであるならば、決してあきらめない。これが、この内閣の不動の方針です。」
と続けた。
そして最後を、
「以上、ここに述べました所信にのっとり、必ずや日本列島を強く豊かに、日本を再び世界の高みに押し上げてまいります。」
と力強く結んでいる。
女性として初の総理という責任の重みを、ひしひしと感じているであろう高市総理。その話し方、声の強さ、目の力に、彼女の覚悟を感じる。二世議員でもなく、派閥の長でもなく、そして女性である彼女が総理の椅子を勝ち取り、これから目の前に立ちはだかる数々の困難に挑もうとする姿には、しばし目を奪われる。
少子高齢化の進行、人口減少、産業競争力の低下――。明らかに国力が落ちつつある日本を、いかにして復活させるのか。課題は山積である。
所信表明で挙げられたテーマはいずれも的を射ており、必要なのは「覚悟」と「実行する力」である。外交日程は目白押しだ。まずは東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議、続いてトランプ米大統領との会談など、重要な外交が続く。
この多忙なスケジュールをどう乗り切るのか、底力が問われるところである。
まずはともあれ、高市早苗総理、そして新たに任命された閣僚たちの健闘に期待したい。
10月26日