社長の日曜日

社長の日曜日 vol.131 縁の温もり 2026.02.16 社長の日曜日 by 須毛原勲

  • twitter

■ 春隣の公園

 東京は、先週末の雪が嘘のような温かさの日曜日。公園のベンチには先週のムーミンの雪像に代わって老紳士がゆっくりと腰を下ろし、陽だまりを満喫しているようだった。このまま一気に春とはいかないだろうが、確実に季節が春へと移ろいでいることを実感する。

歓喜の抱擁、誇り高き銅メダル

 地球の裏側、ミラノ・コルティナダンペッツォからは熱い風が届いている。時差の関係でなかなかLIVE観戦とはいかないが、ニュースで見る日本選手たちの活躍には胸が熱くなる。

 スキージャンプ混合団体。前回の北京五輪、スーツ規定違反で失格となり涙を飲んだ高梨沙羅選手。あの悪夢を乗り越え、今回は素晴らしい跳躍で日本の銅メダル獲得に大きく貢献した。試合後、前回も共に戦った伊藤有希選手に抱きしめられ、「よく頑張ったね」と声をかけられているシーンには、思わず涙腺が緩んだ。

 そして、スノーボード陣の活躍は驚異的だ。ハーフパイプでは男女ともに参加者全員が決勝進出。彼らのあの高さ、あの回転。若さゆえの恐怖心のなさなのか、それとも、とんでもない勇気の塊なのか。理屈を超えたパフォーマンスには圧倒されるばかりだ。

 正直に言えば、スノーボードという競技に対し、どこか「派手な若者の遊び」の延長のような先入観を持っていた。だが、それは私の完全な偏見だった。

 ハーフパイプで銅メダルを獲得した小野光希選手が、メダルを愛おしそうに見つめる姿が印象的だった。インタビューでの受け答えもしっかりとしていて、かつ非常に綺麗な日本語を話していたのが心に残る。

 かつての日本選手によくあった「金じゃなくてごめんなさい」という悲壮感は微塵もない。どの選手も「自分の実力を最大限に発揮すること。」にフォーカスしているように見える。それが、結果へと繋がっているのかもしれない。

 予想外のうれし涙も、力を発揮できなかった悔し涙も、みな本当に美しかった。心からの喝采を送りたい。

縁(分)という不可思議

 春節(旧正月)に合わせて来日中の中国人の友人と、久しぶりに食事をした。 彼女は、中国屈指の名門・復旦大学(上海)の工学部を卒業し、現在は私の友人が経営する投資会社で働く才媛だ。数年前にその友人の紹介で知り合ったのだが、会う頻度は少なくとも、会えば瞬時に意気投合する貴重な存在である。

 昨晩も話題は多岐に及び、大いに盛り上がった。 彼女は心からの「日本好き」でもある。多忙な合間を縫って3ヶ月に1度は来日し、日本の地方を旅して回っているという。そんな彼女の今の夢は、日本の大学院で学ぶこと。昨夜は、頼まれていた推薦状を手渡すための席でもあった。

 食後、夜風に吹かれ歩く道すがら、彼女が、ふと言った。

「無事に大学院に入学できて、卒業したら、一緒に働かせてほしい。もし、縁があれば。」

もちろん、推薦状を書いてもらった手前の「おべんちゃら」かもしれない。だが、たとえ嘘でもその言葉は素直に嬉しく受け取った。

 彼女が口にした縁という言葉。

 中国語では「缘分(ユエンフェン)」と言う。日本語の「縁」とほぼ同じ意味だが、そこには「運命的な巡り合わせ」というニュアンスがより強く含まれる。

 彼女が働いている投資会社は、中国の半導体業界への投資を柱とし、そのファンド総額は1兆円規模とも言われる巨大ファンドである。私の友人である社長とは、昨年の秋、ビジネス上の行き違いがあり、以来少し疎遠になっていた。

 疎遠の原因は、とあるプロジェクトの方針に私が疑問を持ち、短期で離脱したこと。丁寧に説明したつもりだったが、どこかお互いにわだかまりが残り、それ以来、連絡が途絶えていた。

 ところが年明け早々、彼から突然連絡があった。「明日、日本に行くから、夜、食事をしよう。」

 いかにも中国人らしい、直前のアポイントメント。くだんの一件もあり気が進まない部分もあったが、逆にこれが機会かもしれないと思い直し、会うことにした。

 当日、彼は平気な顔で1時間近くも遅れてきた。だが、縁とは面白いものだ。待っている間、レストランには既に彼の友人である清華大学の同級生2人が到着しており、その2人と妙に話が弾んだ。

 特に、日本で会社を経営している1人とは驚くほど意気投合し、その翌週には私が彼の本社を訪問。先週、彼の会社の一つの事業を私がサポートすることで正式合意に至った。

 友人の遅刻がなければ、この新しいビジネスは生まれていなかった。縁とは本当に不思議なものだ。

 その夜、私と彼は、あの「気まずかった一件」について一言も触れず、ただ目の前の料理と酒を楽しみ、互いの近況と未来の話をした。北京時代の思い出、2人を引き合わせてくれた馬さんという共通の親友、そして日本で学んでいる彼の娘さんの将来の話。その場で、共通の親友である北京の馬さんにビデオ通話を繋ぎ、3人で笑い合った。

 会食の翌日、WeChatで彼に御礼のメッセージを送った。

「昨晩はありがとう。約束を覚えているかい? 北京に柳の花が飛ぶ頃、馬さんとあなたに会いに北京へ行くから、一緒に飲もう。」

 私のやや長文の、少し感傷的なメッセージに対し、彼からの返信はたった2文字だった。

「好的」(了解、いいよ)

 彼との「缘分」は、まだ当分続きそうだ。

どんなことでも、お気軽にご相談ください。https://sugena.co.jp/contact-us/

海外事業で課題をお持ちの方 

海外進出https://sugena.co.jp/service/overseas-business/

海外での製造・調達https://sugena.co.jp/service/open-innovation/

海外企業との協業https://sugena.co.jp/service/start-up/

日本進出で課題をお持ちの

日本進出、現地化https://sugena.co.jp/service/japan-business/


《今週の写真》枝垂れ梅

私の好きな梅の花は開花が進み、枝垂れ梅も見ごろとなってきた。

見上げれば、青空から降り注ぐようなほんのり淡い薄紅の滝。

その圧倒的な美しさに、しばし足を止めて見惚れてしまった。

2026年2月15日

by 須毛原勲

ブログ一覧に戻る

HOMEへ戻る