■ 久しぶりのルーティン
3連休の時間を使って、久しぶりに遠くの公園までラジオ体操に出かけた。往復15キロのウォーキング。ラジオ体操。36段の階段ダッシュ5本。50メートルの坂道ダッシュ5本。
井の頭弁財天へ立ち寄る。静かに真言を唱え、深く拝礼。手水舎で手や口を清め、端っこにちょこんと鎮座するカエルの夫婦の置物にも柄杓の水をそっとかけてあげる。境内の湧き水で顔を洗うと、冷たさで一気に目覚める。
境内をひと回りして、もう一方の弁財天や、そこかしこに佇むお地蔵様に、一つひとつ手を合わせる。ここしばらく忙しくてサボっていたルーティン。体だけでなく、どこか気持ちまで洗われたような朝だった。
■ 信頼が創る奇跡
そんな清澄な空気の中で思い返すのは、17日間の熱戦の幕を閉じたミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪。
スノーボード陣の活躍は、もはや「日本のお家芸」という表現が大げさではなくなった。女子スロープスタイルでは19歳の深田茉莉選手が金メダルを獲得。村瀬心椛選手はビッグエアで金、スロープスタイルで銅を獲得した。村瀬選手は中学時代から国際大会で優勝して将来を期待されたが、大けがに見舞われ苦労を重ねたそうだ。彼女の復活にも、人と人が繋ぐ縁の不思議があり、私が敬愛するラグビー元日本代表の堀江翔太選手が「ゴッドハンド」と呼ばれる施術者を村瀬選手にDMで紹介したとのこと。SNSが人の縁を、そして1人の選手の未来を変えた。
スピードスケート女子1500m決勝も忘れられない。この種目の世界記録保持者である髙木美帆選手は、積極的に前に出る戦略で最終周まで首位を滑り続けたが、最後の1周で力尽きた。レース後、解説を務めていた姉の高木菜那氏と抱き合い、共に涙を流したシーン。2人の間にしか分からない言葉が、あの涙の中にあったはずだ。胸が熱くなった。
そして、このオリンピックで最も日本中の涙腺を緩めたのが、フィギュアスケートペアの三浦璃来・木原龍一、「りくりゅう」の2人だろう。ショートプログラム5位からの逆転金メダル。フリーの演技を、私はリアルタイムでテレビにかじりついて見ていたのだが、その時はもちろん、各局が繰り返し流す録画映像を目にするたびに、何度も目頭が熱くなった。
木原選手が三浦選手を高く投げ上げるツイストリフト。投げられる方は「必ず受け止めてくれる」という絶対的な信頼を寄せていなければできない技だ。さらに演技の最中、2人は互いの顔を見ていない場面も多い。それでも、指先の角度まで、まるで一枚の絵のように揃っている。
信頼とは、目が合っている瞬間にではなく、お互いが見えていない時や何か試練に直面したときにこそ試されるものだ。フィニッシュの瞬間、木原選手に高々と掲げられた三浦選手が、天を突くように左の拳を突き上げた。あの力強い拳の中に、2人がともに積み上げてきたすべての時間と、演技への完全な確信が込められていた。お互いの健闘をたたえあうように抱き合う2人。私たちはあの瞬間、人と人が深く信頼し合うことで奇跡が生まれるのを確かに目撃していた。
■高市政権2.0
2月8日の衆院選で自民党が圧勝、18日に召集された特別国会で総理大臣指名選挙が行われ、第2次高市内閣が発足した。本人曰く、「高市2.0」。
外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力、そして人材力。日本人の底力を活かし、日本の総合的な国力を徹底的に強化していく。その実現のために「責任ある積極財政」を本丸に据え、国内投資の促進に全力でテコ入れをするという。「とにかく、成長のスイッチを押して、押して、押して、押して、押しまくってまいります」。力強い言葉だ。
気になる対中関係については、「中国とは戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していくことが、高市内閣の一貫した方針です。」と語った。「重要な隣国であり、様々な懸案と課題があるからこそ、意思疎通を継続しながら、国益の観点から冷静かつ適切に対応してまいります。」とも。
言葉は正しい。あとは、それが言葉で終わらないことを願うばかりだ。
■ 国境を越えて
政治の世界では言葉によって力強さや熱さが表現されているが、オリンピックの世界では、言葉を必要としない温かな場面が生まれていた。
スノーボード男子スロープスタイル決勝で頂点に立ったのは、中国の蘇翊鳴選手だった。その蘇選手を陰で支えたのが、深田茉莉選手のコーチでもある佐藤康弘コーチである。成績発表を待つ間、佐藤コーチは弟子以上に緊張した面持ちで、地面に膝をつき静かに祈った。その姿が中継カメラに捉えられ、中国の多くのファンの心を動かしたと、現地の大手スポーツメディアは伝えている。国籍を超えた師の祈りが、国境を越えて人々の胸を打った。
また、りくりゅうの金メダル獲得後の記者会見でのこと。ある中国メディアの記者が「おめでとうございます」と日本語で祝福してから質問に入った。続けて三浦選手に問いかけたのは、かねて憧れの存在と公言してきた前回王者、中国の隋文静・韓聡ペアからの影響と交流についてだった。三浦選手と木原選手は順に、中国が誇るレジェンドペアへの深い敬意を語った。
雪の上でひざまずく日本人コーチと、氷の上で互いの言葉で敬意を交わす選手たち。この冬、ミラノとコルティナが見せてくれた景色の中に、私が信じたい「日中関係の本質」が、静かに宿っていた。
国家と国家の関係がどれほど複雑に絡み合っていようとも、人と人の間に生まれる敬意と温かさは誰にも奪えない。
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《今週の写真》梅東風(うめごち)

3連休の東京は、暖かな梅東風(うめごち)が吹き、あちこちの梅も今が盛りだ。
高井戸公園の梅も、神田川沿いの梅も、井の頭公園の梅も、どこも満開で、ふんわりと甘い香りを放っている。
故郷、偕楽園を彩る3000本の梅も、今まさに咲き誇り春の訪れを告げているだろうか。
東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ(菅原道真)
2026年2月22日