社長の日曜日

社長の日曜日 vol.93 八重桜 2025.04.21 社長の日曜日 by 須毛原勲

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八重桜 ー 花言葉は「理知」「豊かな教養」

 半年間履き続けたジョギングシューズを新調した。とはいえ、この10年間、選ぶのはアシックスの〈KAYANO〉シリーズ一択である。靴底が擦り減り始めたら、同シリーズの最新モデルに買い替える──それだけの循環である。長年の相棒ゆえ足型にぴたりと合い、近年さらに厚みを増したソールのおかげで走行感も快適だ。この1週間はペースが上がり、走行距離も伸びている。遠くの大きな公園へ向かい、朝のラジオ体操にも皆勤である。

 満開だったソメイヨシノがすっかり葉桜へと変わった。その代わりと言わんばかりに、八重桜が見事に花をつけている。大きな花弁が密集して咲く姿は濃厚で、間近で眺めると思わず見入ってしまう。

赤沢経済財政・再生担当相の訪米とトランプ関税の行方

 先週、経済財政・再生担当相の赤沢亮正氏が政府代表として米ワシントンを訪問した。当初の予定を覆し、ドナルド・トランプ大統領が急遽会合に同席し、日本国内でも大きく報じられた。

 ホワイトハウスの大統領執務室で、トランプ大統領の隣で満面の笑みを浮かべる赤沢大臣の姿が各紙面を飾った。本来ならベッセント財務長官、ラトニック商務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表らに委ねられる場面で、大統領自身が臨んだことから、メディアは「日本への圧力ではないか」と真意を探った。これに対し、トランプ大統領は「自ら交渉に関与するためだ」と説明している。

 一部民放番組では、大統領が椅子に座り大臣が立ったまま撮影された構図を「見下しではないか」と評したが、執務室における来賓の位置取りとしては慣例の範疇であり、日本を侮蔑するものではあるまい。

 交渉の詳細は未公表だが、報道によれば今後の主題は――①米軍駐留経費の日本側負担増 ②米国車が日本でほとんど走っていないことへの是正要求(非関税障壁の撤廃)③米国の対日貿易赤字削減――が柱とされる。相互関税を停止した90日の間に、日本がどこまで妥協し得るかを注視したい。今月中に再度交渉を行い、その後の石破総理の訪米で最終妥結に至るかが焦点である。

 他国に先駆けて日本が協議のテーブルに着き、しかもその場にトランプ大統領が同席した事実は、米国が日本を重視している証左である。

 なお、安倍晋三元首相がトランプタワーを電撃訪問し、本間ゴルフのドライバーを贈呈し、六本木の炉端焼きで会食するなど築いた個人的関係が、トランプ大統領の対日観を好転させたことは疑いない。

 今回にわかに脚光を浴びた赤沢大臣については、私自身は当初はピンと来なかったが、テレビ映像で見る限り誠実そうな人物であり安堵した。

街は外国人で溢れているーインバウンド消費と日本経済

 日本政府観光局(JNTO)が16日に発表した統計によると、2025年3月の訪日外客数は 349万7,600人となり、前年同月比13.5%増を記録した。これにより、2024年3月の過去最高(308万1,781人)を大きく上回り、3月として史上最多となった。

 1〜3月累計の訪日外客数は 1,053万7,300人に達し、1,000万人突破の最速記録を更新した(前年同期は855万8,483人)。桜シーズンによる需要拡大もあり、米国・カナダを含む6市場で単月過去最高を更新し、韓国・台湾・タイなど11市場で3月としての最高値を記録した。すべての重点市場で1〜3月累計の過去最高を達成している。

 中国からの訪日客は 66万1,700人(前年同月比46.2%増)。春節休暇とスクールホリデー後で落ち着く時期にあったものの、成都―関西・北京―関西・南昌―関西線の増便などが奏功し、競合国より日本が選択される動きが見られとのこと。

 街は外国人で溢れている。

 仕事で渋谷あたりに行くと、スクランブル交差点では、信号が青に変わると、自撮り棒を片手に交差点の人波を撮影しながら歩いている外国人の多いこと。それも、ひと目では、どこの国の出身かがわからない人がほとんどである。

 円安を追い風に、訪日客は2024年、国内で約8.1兆円を落とした。名目GDPの1.3%に過ぎぬ直接消費が、宿泊や物流に連鎖し15兆円を超える付加価値を生む。波及効果はGDPの約3%、自動車部品産業に匹敵する“輸出”である。免税店の爆買いだけでなく、地方の温泉街や鉄道網に金が巡り、地域経済の血流となる。人口減と財政難に喘ぐ日本にとり、観光こそ次世代の成長エンジンである。2030年、消費15兆円、波及30兆円の地平が開けるであろう。

 トランプ大統領の相互関税に揺れる日本であるが、そのような状況を踏まえて、インバウンドの取り組み、経済効果の取り組みは日本経済にとって益々重要になっていくだろう。

 2023年3月に策定された「第4次観光立国推進基本計画」は、「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」の三本柱を掲げるとともに、旅行消費額や地方部宿泊数に関する新たな政府目標を設定している。これらの達成に向け、JNTOは市場動向を精緻に分析しつつ、戦略的な訪日旅行プロモーションを推進していく方針とのことである。

 昨年の訪日外客数は3687万人。人口が1億2374万人なので、人口比約30%の訪日外客数となるが、上には上がある。

 世界を見ると、

 1位、フランスで2024年の外国人訪問者数はなんと1億人。対人口比154%。

 2位、スペイン 同じく、9400万人。対人口比193%。

 3位、米国 7770万人。対人口比23%。

 4位、トルコ 6200万人、対人口比73%

 5位、イタリア 6000万人、対人口比102%。

以下、6位、メキシコ 4600万人、7位、英国 3800万人、8位、ドイツ 4000万人、そして、9位 日本3687万人と続く。

 まだ、伸びしろは十分あることになる。

中国Z世代が切り取るリアルな最先端トレンド

 先週より、当ホームページのブログページに新たなシリーズの掲載を始めた。

 タイトルは「未来はここにある――中国Z世代のリアルを読む」であり、中国の最先端トレンドを鋭く切り取っていこうと考えている。

 初回のテーマは「中国のAI発展の現状と未来――グローバル競争での台頭」。全3回のシリーズとして展開する。昨年末の DeepSeek V3、今年1月の R1 がもたらした「DeepSeekショック」により、中国発生成AIの急進が世界を驚愕させたことは記憶に新しい。本シリーズでは、その渦中にある中国で生成AIがどのような位置づけにあるか、Z世代がいかに活用しているかを平易かつ明快に整理している。

 執筆者は北京大学を卒業後、東京大学大学院を修了した日中ハイブリッドのZ世代女性である。

 ぜひご一読ください。

 

4月20日

by 須毛原勲

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