スタッフエッセイ

日本に来て感じた住宅事情の違い 2021.08.19 スタッフエッセイ by 大森ヨシミ

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 私が長期で居住した都会は上海、北京と東京だけで、この文章で書いた日中の住宅事情の違いは私の自身の経験に基づいており、両国間の区別を代表できるわけではありません。上海、北京と東京に限られた区別として理解していただけたらと思います。

 一つ目の区別は住宅の種類、あるいは形。中国での主流は「小区」という集合住宅の形。「小区」はある区域を同一の開発業者が開発して外観のデザインも統一された建物の集合に対する呼び方で、基本的に塀を持っていて、部外者の進入を防いでいます。「小区」ごとにそれぞれの「名前」を持っていて、例えば、「青空小区」など。自分の住所を伝える時は、自分の小区の名前を伝えるのが普通です。中国の「小区」は日本の団地と形が似ている気がしますが、「小区」は居住需要を満たすだけでなく、同時に開発業者が利潤を獲得するために投資された高価な商品でもあります。なので、同じ「小区」だとしても、地域やプールなどの付属施設の有無によって、「小区」のレベル、そして、1平方メートルあたりの価格も違っています。

  日本の場合は、私にとって、状況がさらに複雑。なぜならば、アパート、マンション、一戸建て、団地など色々な名詞があって、特にアパートとマンションの区別は理解しにくい。中国の「小区」ごとにそれぞれの「名前」を持っていることと違って、日本の場合は、アパート/マンションごとに名称を持っています。アパート、マンション、一戸建てはそれぞれ独立しているので、私は街を散歩する時、これらの建物のデザインと構造を観察するのをいつも楽しんでいます。

 二つ目は住宅の価格です。東京と同じ大都会の上海を例に見ると、今(2021.7)の上海の新築住宅の1平方メートルあたりの価格の平均値は55,969元(954,506円)、中古住宅は55,182元(941,084円)(※1)。それに対して、日本の「首都圏のマンション市場動向2020年7月度」(不動産経済研究所)によると、首都圏のマンションの1平方メートルあたりの価格の平均値は91.3万円。住宅価格を見る限り、上海と東京の差は大きくありませんが、上海の2020年平均月収は10,338元、1平方メートルあたりの住宅価格/月収の値は5.4(55969/10338)。2019年の東京都の平均月収は41万円程度(※2)、1平方メートルあたりの住宅価格/月収の値は2.2(91.3/41)。なので、一般人にとって、自分の力で上海で家を買うのは東京に比べて二倍以上の重荷を背負わなければなりません。

 住宅事情は私たちの人生に密接に関わっています。どんな場所、どんな環境で生活を送るか、自分の家を買うか、それとも借家するか。毎月ローン返済するか、それとも家賃を払うか。これらの細かい選択は私たちのライフスタイルから財務状況まで人生の様々な事柄に大きな影響を及ぼします。私の周りの知り合いたちの経験では、上海ではもし男の子が自分の家を持っていないなら、結婚さえできないと。現状はこんなに厳しいのです。

※1  上海房价行情 m.fangdd.com

※2 東京都の平均年収は620万円!23区や男性・女性別、20代などの年代別、大卒初任給も紹介https://career-picks.com/average-salary/toukyou-heikin-nensyuu/

by 大森ヨシミ

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