3.雇用と若者
2025年の中国の若者たちは、親世代よりも早く現実に直面しています。この「現実感」はプレッシャーをもたらすと同時に、新たな生きる知恵も生み出しています。
中国教育部のデータによると、2024年の中国の大学卒業者数は1179万人に達し、2025年には1222万人と、さらに高水準に達しました。経済成長の鈍化を背景に、雇用市場の需給の矛盾はより鮮明になっています。2025年、若年失業率は最大で18.9%まで上昇しました。
しかし、就職難は一様に分布しているわけではありません。理工系、特に新エネルギー、人工知能、バイオ医薬に関連する専攻の卒業生は依然として売り手市場であり、初任給も上昇を続けています。一方で文系や一部の伝統的な工学系専攻の就職圧力は明らかに増大しています。この構造的な差異は、経済転換の方向性――投資主導からイノベーション主導へ――を反映しています。
この1年、「安定」がキーワードとなりました。公務員試験や公的機関の採用は引き続き過熱しており、2025年の国家公務員試験の申込者数は過去最高を更新、平均競争倍率は86倍に達しました。
同時に、若い世代の間で新しい職業観が形成されつつあります。「スロー就職(慢就業)」を選択する若者が増えています。卒業後すぐに就職を急ぐのではなく、時間をかけて大学院入試や資格試験の準備をしたり、旅行や起業に挑戦したりするのです。また、「フレキシブル就職(霊活就業)」を選ぶ人もおり、フリーランスやデジタルノマドになったり、複数のアルバイトを掛け持ちしたりしています。
10年前であれば、これらの選択は「まともな仕事に就いていない」というレッテルを貼られたかもしれません。しかし2025年の中国では、それらは徐々に合理的な判断として理解され始めています。この変化の背後には3つの推進力があります。第一にインターネット・プラットフォーム経済がより多くの柔軟な雇用の機会を提供したこと、第二に若い世代の「成功」に対する定義が多様化したこと、第三にマクロ経済環境の不確実性が人々の柔軟性への選好を高めたことです。
4.消費の変化
データを見る限り、中国の消費市場は崩壊していません。2024年から2025年にかけて、サービス消費や観光消費は回復を続け、祝日の旅行者数は何度も過去最高を記録しました。しかし同時に、消費行動には深刻な構造的変化が生じています。
「コストパフォーマンス(コスパ)」が消費決定のキーワードとなりました。このトレンドは3つのレベルで現れています。
第一に、国産ブランドの全面的な台頭です。携帯電話、自動車、化粧品、アパレルなど多くの分野で、国産ブランドの市場シェアが拡大し続けています。2025年第3四半期、中国本土ブランドのスマートフォン市場シェアは76%を超えました。中国の新エネルギー車ブランドは中国市場で絶対的な主導権を握り、市場シェアは上昇を続け、67%以上、普及率は50%を突破すると予測されています。これは製品品質の向上だけでなく、若い消費者がもはや盲目的に海外ブランドを崇拝しなくなったことに起因しています。
第二に、「平替(ピンティ=安価な代替品)」文化の流行です。「小紅書(RED)」から「抖音(TikTok)」まで、有名ブランドの代替品を探す攻略法が数百万回もブックマークされています。この背景にあるのは単純な消費のダウングレードではなく、消費者がブランドの上乗せ価格(プレミアム)に対して向ける理性的な眼差しです。「ロゴのためには金を払わない」が新たな消費宣言となりました。
第三に、中古経済(リユース経済)の活況であり、00年代生まれがその主力です。フリマアプリ「閑魚(シェンユー)」の00年代生まれの月間アクティブユーザー数は4361万人を突破し、業界第4位に位置、その成長率は47.1%に達し、タオバオ、京東、拼多多などの主要ECプラットフォームを大きく上回っています。このデータは、00年代生まれのグループが中古取引や趣味の消費に対して強い需要を持っていることを裏付けています。
「グッズ経済(谷子経済)」を例にとると、00年代生まれはこの分野の中核的な消費者層となっています。彼らはデザイナーズトイのブラインドボックスやIP(知的財産)派生商品に対して極めて高い熱意を示し、関連市場の爆発的な成長を後押ししています。閑魚のデータによると、今年第1四半期のグッズ取引額は過去最高を記録し、そのうち中国風グッズの販売量は前年同期比167%急増しました。第2四半期のデザイナーズトイ取引額の増加幅は300%を超え、月平均購入者数は43.4%増加、一人当たりの1回あたり購入額は218元(約5,000円)に達しました。若者の趣味消費の第1選択プラットフォームとして、閑魚はグッズとデザイナーズトイ取引の重要なハブとなっています。
次回は、対外開放の変化、一般庶民のリアルな心理について検証します。
