■ 山吹色の朝
公園へ続く坂道が、薄い緑一色に染まった。朝の光に輝く若葉が、命の息吹をそのまま伝えてくれるようだ。
神田川沿いの桜は2週間以上も我々を楽しませてくれたが、今はヤマブキが鮮やかに咲いている。山吹色はビタミンカラー。元気をくれる。早くもツツジやハナミズキも咲き出して、「桜の次は私!」と出番を争うかのようだ。
■諦めない人
昨夜、巨人対ヤクルト戦を見ていると、久しぶりに坂本勇人選手がサードのスタメンに名を連ねていた。そして突然、バックスクリーン横に、目が覚めるような一発を打ち込んだ。開幕からヒット1本のみ。密かに心配していた坂本選手の、今季2本目のヒットがこのホームランだった。
試合後に阿部監督が「まだまだあそこに入るので、大丈夫でしょう」と口にした言葉が、妙に胸に響いた。彼の復活を待ち望んでいる巨人ファンは、私だけではないはずだ。わが家に1着だけあるジャイアンツのユニフォームは、背番号6だ。来年も、再来年も、そのユニフォームを着て声援を送り続けたいと思う。
■ 静かな外交、パキスタンの思い出
米国とイスラエルがイランに仕掛けた戦争に、世界が揺れている。
トランプ大統領の脅しの言葉が繰り返されるたびに、世界中が息を呑んでいたその矢先、2週間の停戦が発表された。その仲介を担ったのが、パキスタンだ。同じイスラム教の国として、米国・イスラエルとイランの間に立てるのは、トルコかパキスタンしかないという状況の中での静かな外交の勝利だった。
パキスタン。多くの日本人には、具体的なイメージすら浮かばない国かもしれない。インドの西に位置し、人口は約2億5千万人。日本の2倍を超え、世界第5位の規模を誇る。首都はイスラマバード。国民の殆どがイスラム教(スンニ派)。米国をはじめとする西側諸国とも、中国とも、巧みに良好な関係を維持してきた国だ。
私はかつて、一度だけこの国を訪れたことがある。
東芝時代にお世話になった現地販売代理店の社長、ヤコブ氏が亡くなった折、葬儀には間に合わなかったが、当時駐在していたシンガポールからパキスタン最大の都市カラチに駆けつけ、お墓参りだけはさせていただいた。
東芝の電卓の販売から事業を起こし、パキスタンで大きなビジネスを築き上げた、誇り高い方だった。入社5年目の私は、上司に連れられてヤコブ氏と奥様と銀座の天ぷら屋で会食をした。その席で彼は、仕事のこと、人生のこと、結婚のことを、若い私に真剣に語ってくれた。
お墓参りの後、ヤコブ氏の自宅を訪ねると、奥様が泣きながら私に抱きついてきた。あの天ぷら屋での会食の場にいた若造の私のことを覚えていてくださったのだ。
「日本の会社の商品のために、夫は人生をかけました。その東芝のあなたが、日本人のあなたが、わざわざお墓参りに来てくれた。夫の人生は、間違っていなかった。」
その言葉と涙を、昨日のことのように思い出す。パキスタンという国は、私にとってそういう記憶と共にある。(この時の思い出は、創業者が語るストーリー 3 グローバル化の千本ノックにも記載してあります。ご興味があれば、ご一読ください。https://sugena.co.jp/company/message/)
先ほど入ったニュースでは——米国代表団のバンス副大統領が「合意には至らなかった」「米国に帰る」と発表し、今回の協議は決裂に終わった。予断は許さない。
この戦争が、これ以上悪化しないことを、ただただ願うばかりだ。
■ 缘分、再び
先週は、新たな人との出会いが多かった。
晴海で開催されていた展示会では、ある中国人企業家と出会った。Huaweiの取締役・ヨーロッパ総代表を務めた後に退職し、2年間の充電期間を経て、新たに起業したという。環境に優しい商品のビジネスを立ち上げ、すでにいくつかのアイデアを商品化して、この展示会に臨んでいた。「景気の悪い中国市場は捨てて、米国と日本で勝負したい」と彼は言った。
59歳のスタートアップ創業者。海外駐在の長いキャリアが滲み出るような流暢な英語を話し、まとう雰囲気がどこかグローバルで、中国人っぽくない。しかし、話が進むうちに英語から中国語に切り替わった途端、言葉の量が一気に増し、スピードも倍になり、興奮を隠せない様子だった。
WeChatを交換し別れた後、彼からこんなメッセージが届いた。
「今天有缘分与您相见,深感荣幸,而且一见如故,相见恨晚!」 (今日こうしてご縁があってお目にかかれたことを、深く光栄に思います。初めてお会いしたのに旧知の友のようで、もっと早くお会いしたかった)
「缘分「ユエンフェン」(yuánfèn)」——日本語の「縁」に似ているが、天が引き合わせたという、より運命的な響きを持つ言葉だ。
この縁(缘分)が新しい事業へと結実するかどうかは——インシャーラー(神のみぞ知る)。
■ 今こそ、中国(ホームページ刷新のお知らせ)
このブログを読んでくださっている方はすでにお気づきかもしれないが、4月1日より、当社のホームページを全面リニューアルした。お客様に当社の事業をよりわかりやすくお伝えできるよう、全体を見直した。
あわせて、新たに『中国ビジネス相談室』のページを開設した。 https://sugena.co.jp/china-business/
日中関係が揺れる今、あえてこんなお知らせをするのは、ある意味覚悟のいることだ。だからこそ言いたい。「今こそ、中国」——これが私たちのメッセージだ。
当社としても中国関連ビジネスを強化すべく、専門スタッフの体制を整えてきた。中国でのビジネスについてお悩みのことがあれば、どんなことでも、ぜひ、お気軽にご相談ください。
どんなことでも、お気軽にご相談ください。https://sugena.co.jp/contact-us/
海外事業で課題をお持ちの方
●海外進出:https://sugena.co.jp/service/overseas-business/
●行政・自治体向けサポート:https://sugena.co.jp/service/local-government/
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《今週の写真》散る桜残る桜も散る桜

久しぶりに訪れたゴルフ場で、枝垂れ桜が満開だった。桜は日本に600種以上あるという。その多様さが、この国の春を長く、豊かにしてくれている。
このゴルフ場は、東芝時代の先輩に勧められて入会した場所だ。起業してからというもの、なかなか足が向かなかった。
久しぶりにハンディキャップボードを眺めると、その先輩のお名前が見当たらない。嫌な予感がして受付で確認すると、「先日、退会されました」とのことだった。長年のメンバーだったその方のことを話す受付の方の口調が湿っていて、それ以上は聞けなかった。
散る桜残る桜も散る桜
江戸時代の僧、良寛の辞世の句とされる。今この瞬間に咲き誇る桜も、やがて散る。私たちもまた同じだ。だからこそ今を精一杯生きる。切なくも潔い、命の美学がそこにある。
帰宅後、LINEで恐る恐る先輩に連絡をとってみると、すぐに返信が来た。
「仲間が減ったので、退会したよ。終活だよ」
思わず、ほっとした。だが、その言葉が、妙に胸に刺さった。
2026年4月12日