■ 穏やかな朝
先週は、朝方こそ少し肌寒かったが、日中は穏やかで心地よい天気が続いた。おかげで、朝のラジオ体操は皆勤である。気のせいか、このところ参加者がじわりと増えているようだ。季節に誘われているのは、皆同じなのだろう。
誘われているのは、人間だけではない。
新しい「友達」が3匹できた。1匹目は、公園の裏手の山道で毎朝出会う「クーちゃん」。ラジオ体操の後、私がストレッチとスクワットをしているところに通りかかかる小さなチワワの女の子で、つぶらな瞳でこちらを見上げてくる。2匹目は、フレンチブルドッグの「くるる」。すれ違いざま、いきなり私に飛びかかってきた元気者だ。驚きはしたが、屈託のない全身での歓迎は悪い気がしない。3匹目は、少し遠くの公園まで足を伸ばした時にだけ出会う、コーギーの「レオ」。2歳のオスで、短い脚でちょこちょこと、けれど堂々と歩く姿が、実に凛々しい。
冬の朝、思い思いの上着を着せられて足早に歩いていた犬たちが、近ごろは明らかに機嫌が良く活発に動いている。彼らもまた、季節の変わり目を肌で感じているのだろう。
■ 2週間で、草原になった
陽気に誘われて今朝は少し足を伸ばし、高井戸の公園まで歩いてみた。実に2週間ぶりだ。
たどり着いてみて、思わず足が止まった。 見慣れていたはずの広場が、一面の草原に変貌していたのだ。
目線を落とすと、シロツメクサの白い花が足元いっぱいに広がっている。その合間を、オオバコの細い穂がひょろりと立ち上がり、風にそよいでいる。踏み入るのを一瞬ためらうほど、緑は豊かで柔らかい。
わずか2週間。たかが2週間なのに、自然はこれほどの仕事をやってのける。 季節というものは、本当に容赦がない。
■ 「酷暑日」と名付けられた夏
その「容赦のなさ」は、これから来るものにも及ぶ。
天気予報はすでに、今年も厳しい夏を予告し始めた。そんな折、日本気象協会から興味深い発表があった。最高気温が40℃以上となる日の呼称が、「酷暑日」と定まったのだ。一般からのアンケートでは、総回答数47万超のうち、約20万3000票がこの名称を支持したという。ほぼ半数だ。
「猛暑日」(35℃以上)の、さらに上。その新しい定義を、気象庁がわざわざ用意しなければならない時代になった。ニュースは淡々と流れていったが、その淡々さこそがむしろ怖い。私たちはいつの間にか、そういう夏を「当たり前」として受け入れようとしている。
■ インバウンド、過去最高の「影」
毎月中旬、日本政府観光局(JNTO)からインバウンド統計が発表される。もはや数字を見る前から、ある程度の結果は読めてしまう。
2026年3月の訪日外客数は約362万人。前年同月比3.5%増。3月として過去最高を更新し、累計も2年連続で1000万人を突破した。
数字だけ見れば、文句のない好調ぶりだ。 だが、中身を覗けば、違和感がくすぶる。中国からの訪日客は、3月単月で約29万人。前年同月比、実に55.9%減。半減どころか、腰砕けである。昨年11月の高市総理の「存立危機事態」発言から約5ヶ月、このブログvol.128で触れた「45%減」から、数字はさらに悪化した。
ただ、現場の肌感覚は、統計とは少し違う。
観光目的の団体ツアー客は、確かに見かけなくなった。キャンセルされたクルーズ船、運休となった地方便。数字はその結果だろう。
一方で、ビジネスで来日する中国人は、それほど減っていない。私の周りの友人たちも、ルートを探して頻繁に日本を訪ねてくる。
中国人を大量に載せた観光バスは消えてしまったようだが、人と人との付き合いまで止まったわけではない。 数字の裏側を、ちゃんと見ておきたい。
■ 「りくりゅう」の卒業
17日、ミラノ・コルティナ五輪、フィギュアスケートペアで日本勢初の金メダルに輝いた「りくりゅう」こと三浦璃来選手と木原龍一選手が、現役引退を発表した。
2ヶ月前のあの逆転劇を思い出す。ショートプログラムのリフトミスで5位に沈んだ彼らが、フリーで歴代世界最高得点をマークし、一気に金メダルをもぎ取った。氷上で涙を浮かべて抱き合う二人に、画面越しに拍手をしたのは記憶に新しい。
二人が連名で綴ったメッセージは、潔かった。
「私たちはやり切ったという気持ちでいっぱいで、悔いはありません」
金メダルを獲った瞬間を、自らキャリアの頂点と見切る潔さ。それは敗者の弁ではなく、すべてを出し尽くした者だけが口にできる、誇り高い卒業宣言だ。
同じ日、二人は天皇、皇后両陛下主催の春の園遊会に出席した。皇后陛下は三浦璃来選手に「愛子と同い年、一緒ですよね。すごくしっかりされている」と声を掛けられ、愛子さまも、同じ2001年12月生まれであることに触れ、「勝手ながら親近感を持って拝見していた」と柔らかく微笑まれたという。二人は自分たちが次にやりたいと思っていることを両陛下にきちんと話ができるように、あえて引退発表を前もって行ったとのこと。二人の次のステージに期待したい。
■ お知らせ:「新・社長対談」公開
弊社でも「新しい挑戦」をしている。
しばらく休載していた「社長対談」を「新・社長対談」として再開した。第1回のゲストは、青山社中株式会社 筆頭代表CEO、朝比奈一郎さん。東大法学部からハーバード、経済産業省を経て、「日本を変えたい」の志で独立された方だ。
社名の「青山社中」は、坂本龍馬が興した日本初の商社「亀山社中」への敬意から来ている。司馬遼太郎の『龍馬がゆく』を繰り返し読んできた私にとって、朝比奈さんとの1時間は、幕末の熱が現代に立ち現れるような対話だった。
Vol.1「日本の再生を目指して」https://sugena.co.jp/ceo_talk/ceo_talk-7921/
Vol.2は4月23日、Vol.3は4月30日公開予定。
ぜひ、ご一読いただきたい。
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《今週の写真》見上げれば新緑
ラジオ体操第一。体を思いきり後ろへ反らした視線の先は一面の新緑だった。つい先月まで、寒々と枝だけだったはずの梢が、いつの間にか天蓋を編んでいた。
ウォーキングコースの主役は日ごとに入れ替わる。
桜の最終走者は八重桜。ぽってりと重たげなピンクが、名残を告げている。入れ替わるように、ツツジ。真紅のキリシマツツジ、白や薄ピンクのヒラドツツジ、薄紫のミツバツツジなど、色とりどりの競演だ。家々の塀には滝のようなモッコウバラ。小手毬もたわわに白い手毬を並べていた。






梅雨を挟めば、「酷暑日」たちがやってくる。この心地よさは、あと数週間かもしれない。だからこそもう一度空を見上げ、 新緑の天蓋の下、大きく息を吸い込む。今だけの贅沢である。
2026年4月19日