社長の日曜日 号外　「中国スマート介護産業レポート」発行のご案内 2025.05.19 社長の日曜日

中国の高齢化とスマート介護のいま

～10兆元市場のリアルを知るために～

　2025年現在、世界で最も注目されている超高齢化社会の一つが、中国です。かつて「若くて大きな市場」として語られてきたこの国は、今や65歳以上の高齢者が2億人を超え、急速に“老いる大国”へと変貌を遂げています。

　日本がそうであったように、高齢化の波は社会保障制度や医療・介護インフラの見直しを迫り、多くの課題を生んでいます。その一方で、中国ならではの「変化の速さ」「技術への親和性」「巨大な国内市場」が交差することで、ここ数年、新しい産業が急成長しています。

　そのひとつが、「スマート介護（智慧养老）」です。

テクノロジーが介護を変える

　中国のスマート介護は、単なる介護ロボットや見守りカメラの導入にとどまりません。AI、IoT、ビッグデータ、クラウドといった最新技術が、都市部の高齢者の生活のあらゆる面に入り込んでいます。

　たとえば、北京市では行政が音頭を取り、スマート介護施設の建設プロジェクトを公開募集。上海市は2025年末までに100ヵ所のスマート介護院を設ける方針を掲げています。広東省深圳市では、スマート見守り機器の購入を支援する補助金制度が整備され、高齢者の家庭にまで高度なセンサーなどが普及し始めています。

　さらに注目すべきは、スタートアップや大学発のベンチャー企業がこの分野に続々と参入している点です。ミリ波レーダーによる非接触の心拍・呼吸モニタリング、認知症リスクの早期検知、モバイルアプリと連動した服薬管理など、驚くべきスピードで進化する中国の介護テックは、すでに「世界の実証現場」になっていると言っても過言ではありません。

巨大市場としての可能性

　中国におけるスマート介護市場は、2019年には3.5兆元（約70兆円）規模でしたが、2023年には6兆元を突破し、2025年には7兆元、2030年には10兆元（約200兆円）に到達すると予測されています。

　この爆発的な成長を支えるのは、「高齢者の数」だけではありません。今の60代は、教育水準が高く、消費意欲も旺盛で、自分の老後を積極的にデザインしようとする傾向があります。いわば「スマート介護を選ぶ高齢者たち」がユーザーとして市場を支えているのです。

　また、介護人材不足という構造的な課題も、技術導入を後押ししています。人手に頼るのではなく、テクノロジーで補う。この考え方が、中国全土で現実の政策として動いているのが、最大のポイントでしょう。

日本企業にとっての示唆

　では、日本企業は、この中国の動きから何を学べるでしょうか。

　ひとつは、「外の進化」を知ることの重要性です。高齢化に向き合っているのは日本だけではありません。むしろ、課題先進国である日本だからこそ、海外の知見やアプローチを取り入れ、新たな解決策を模索する余地があります。

　もうひとつは、ビジネスチャンスとしての視点です。中国のスマート介護分野では、今後も多くの機器・部品・ソフトウェア技術が輸入によって求められるでしょう。さらに、コンセプト設計やUXデザイン、現場への導入プロセス、介護者向けの教育・研修プログラムといったソリューション型サービスも、外部からの協力を必要としています。

　「中国は遠い市場」と感じる方も多いかもしれませんが、スマート介護の分野に限って言えば、むしろ日本の知見を最も活かしやすい土壌が整いつつあります。

レポート全文をぜひご活用ください

　ここまでにご紹介した内容は、弊社が作成した『2024年 中国スマート介護産業レポート』に基づいています。レポートは現地政府・業界団体の一次情報を中心に構成されており、政策、技術、企業、そして今後の市場動向を体系的にまとめたものとなっています。

　以下フォームより、レポート全文（日本語版）を無料でダウンロードいただけます。　貴社の戦略立案、パートナー探索、サービス開発などに、ぜひお役立てください。

　また、本レポートに関連する業界の深掘りなど、ご希望に応じて対応させていただきます。どうぞお気軽にご相談ください。