日の出は日に日に遅くなってきている。最高気温が35度、36度という日はなくなったようだ。日中の暑さはまだ厳しいが、それでも確実に秋の気配を感じる。
早朝ジョギングで公園に足を踏み入れると、静けさに身を包まれた。うるさいほどの大音量で鳴いていた蝉にかわって秋の虫の音が四方八方から聞こえ、それだけで涼しさを感じたりする。夕方、ベランダから外を眺めると、空一面に鰯雲が浮かんでいた。秋はすぐそこまで来ているのかもしれない。
6日、ジャカルタで開かれている「ASEANプラス日中韓3カ国」首脳会議の場で、岸田首相は処理水について、国際原子力機関(IAEA)の報告書などを踏まえ「科学的観点から何ら問題は生じていない」と強調した。国際社会で広く理解を得られていると言明し「中国は日本産水産物の輸入を一時停止するなど突出した行動をとっている」と述べた。中国の行動の異質さが際立っている点を印象付け、自制を求めようとした。
一方、中国外務省によると、李強・中国国務院総理は「核汚染水の排出は世界の海洋生態環境や人々の健康に関わる」と主張した。「日本は国際的な義務を誠実に履行し、近隣諸国や関係者と十分に協議し、責任をもって核汚染水を処理すべきだ」と要求した。(各種メディア報道による。)
日本政府によると日中両首相はこれに先立ち短時間、立ち話をしたと発表。この立ち話を各メディアが一斉に報じた。首相官邸のホームページに「李強・中国国務院総理との立ち話についての会見」と題して、立ち話の内容が記載されている。https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/0906kaiken.html 以下、引用。
「この会議の前に、中国・李強首相と立ち話を行いました。その立ち話の中においても同様に、ALPS処理水の我が国の基本的な立場について説明をしたということであります。そして、その中でのやり取りについて質問がありましたが、これは当然、外交のやり取りでありますので、私が申し上げたことについては、これは今申し上げたとおりでありますが、具体的に、先方の反応等について、私から申し上げることは控えなければならないと思っています。いずれにせよ、これからも、マルチの国際会議ですとか、あるいは二国間の首脳会合等の機会を捉えて、日本として透明性を持って、そしてIAEAの関与を得ながら対応しているという立場や方針について、丁寧に説明をし続けていきたい、このように思っています。」
正式な会談を設定するのが難しい状況にあるのは確かだ。しかし、そのような状況下でも理解を深めるための機会を見つけ、“立ち話”でもいいので、コミュニケーションを途絶えさせないようにと願っている。
さて、今週はEVの話。
コロナ禍の深刻な影響、不動産不況に端を発した中国の景気停滞については様々なメディアで報道されているが、急成長を遂げ世界から注目されている中国のEV関連の情報は時折断片的に報道されるだけで、全体像がわかりづらい。それなりの頻度で新聞にも取り上げられているが、新聞記事だけで中国の新エネルギー車やEVの現状をきちんと把握することは簡単ではないと思う。
そもそも、「新エネルギー車」という言葉が一般の人には耳慣れない言葉だと思う。「新エネルギー車」という言葉は、その起源や具体的な使用開始時期を特定するのは難しいが、近年の環境問題への対応やエネルギーの多様化、新しい自動車技術の発展とともに使われるようになってきた新しい言葉である。
英語では「New Energy Vehicle」が使われるのが一般的。中国語では、「新エネルギー車」は「新能源汽車」という言葉としてよく使われている。これはEV(Electric Vehicle、電気自動車)、PHV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、プラグインハイブリッド自動車)、FCV(Fuel Cell Vehicle、水素燃料電池自動車)と、新しいエネルギー源を使用する車を指す。
因みに、テスラはEVだけを開発、製造、販売している。中国でNo.1のBYDはEVもPHVも開発、製造、販売している。BYDのEVは全体の47%であるのに対して、PHVは53%と半数を超えている。
新エネルギー車(EV+PHV)の2023年上半期の世界の販売台数は554万台と前年同期比37%の伸びに対して、EVは393万台、同34%の伸び、PHVは161万台、同46%の伸びとPHVの方が伸びている。
この傾向は中国では更に顕著である。
新エネルギー車(EV+PHV)の2023年上半期の販売台数は375万台と前年同期比44%の伸びに対して、EVは256万台、同31%の伸び、PHVは102万台、同91%の伸びとPHVはほぼ倍増。こうした状況を見ると、新エネルギー車を議論するとき、EVだけでなくPHVの状況も把握しなければならない。この傾向は、EUが2035年以降のエンジン車新車販売全面禁止の方針を撤回したことが大きい。(温暖化ガス排出ゼロとみなす合成燃料の利用に限って、エンジン車の販売の継続が認められた。)
世界の2022年新エネルギー車(EV+PHV)の世界販売台数は約1,000万台。そのうち61%が中国市場であり、新エネルギー車市場において中国の勢いは際立っている。
テスラや「蔚小理」と称されるEV新興3社、NIO(蔚来)X-Peng(小鵬) Li Auto(理想)の状況はどうなっているのか? 最近日本進出を果たし、EV戦略を加速しているBYDはどのくらい成長しているのか?
そうした中国の新エネルギー車市場の状況を把握したいと考えておられる方々のご要望にお応えするために、当社は、『中国新エネルギー車:2023年上半期総括とTOP20社動向』を発行することになった。
詳細は、こちらから。
https://sugena.co.jp/hot/ev-report/(本レポートの発行は終了しました。)
ご活用いただければ幸甚です。
9月10日記