社長エッセイ

社長の日曜日 vol.69  観るスポーツの秋 2024.09.09 社長エッセイ by 須毛原勲

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 まだまだ暑さが続いているが、スポーツの秋を迎え、スポーツに関するニュースが数多く報じられている。

 8月28日から12日間に亘って開催されたパラリンピックが閉幕した。日本人選手の活躍が目覚ましかった。

 ボッチャの混合団体の3位決定戦で日本が韓国に8対3で勝ち、団体種目で3大会連続のメダルとなる銅メダルを獲得した。主将の杉村英孝選手を初め廣瀬隆喜選手、遠藤裕美選手は大会前から知っていたが、緊張が最高潮の試合でのベストパフォーマンスに胸打たれた。

 車いすラグビーでは日本が初の金メダルを獲得した。決勝で米国を48-41で破り、2016年リオデジャネイロ大会、2021年東京大会での銅メダルから大きな飛躍を遂げた。この快挙は翌日の日経新聞スポーツ面で「日本 未到の頂」という見出しとともに四段抜きの写真で大きく報じられていた。その扱いに車いすラグビーへの深い敬意が感じられた。

 「車いすラグビー」(Wheelchair Rugby)という名称から、穏やかな競技を想像する人もいるかもしれないが、実際は激しいコンタクトスポーツである。選手たちは、車椅子同士がぶつかり合う中で、ラグビーそのものの戦略と体力を駆使して戦う。屈強な選手たちが真剣勝負を繰り広げる姿は、見る者の心を打つ。

 車いすラグビー日本チームには女子のメンバーが1人いる。倉橋香衣選手である。体力的なハンディキャップがあるであろう女子選手が参加していることに違和感を多少抱いたが、これは、車椅子ラグビーは比較的新しい競技であり、競技人口が他のスポーツに比べて少ないため、男女問わず選手を受け入れることで競技の普及や競技レベルの向上を目指す目的があるそうだ。且つ、障害の度合いに応じたクラス分けを採用しているため性別による有利・不利が生じにくい競技となっているとのこと。倉橋香衣選手は、2009年大学時代にトランポリンの事故で頸髄を損傷し、鎖骨から下の感覚がほぼなくなった。それから6年後の2015年に車椅子ラグビーを始め、2017年に日本代表として選出された。障害クラスは「0.5」(最も重度のクラス)で、主にディフェンスとしてチームに貢献している。米国との決勝戦で、逆転のトライを決めたシーンで倉橋選手が果敢に屈強な米国チームの選手をタックルしていた姿は見ているだけで心が揺さぶられた。彼女の輝くような笑顔が印象的だった。

  車いすテニスでは、上地結衣選手が女子シングルスで金メダルを獲得した。決勝戦では、長年無敗を誇っていたオランダのディーデ・デフロート選手を4-6、6-3、6-4で破り、ついにパラリンピックシングルス初優勝を果たした。彼女は2021年東京パラリンピックの女子シングルス決勝でもデフロート選手に敗れ、銀メダルに甘んじ、デフロート選手はその時パラリンピック2連覇を達成していた。今回の勝利によって、上地選手はついに長年の宿敵を打ち破り、念願の金メダルを手にした。さらに、上地選手は田中愛美選手とペアを組んだ女子ダブルスでもデフロート選手とファン・クート選手のオランダペアを破り金メダルを獲得し、この大会で2つの金メダルを獲得するという偉業を成し遂げた。上地選手はこれまでテレビなどでも取り上げられ、その素顔に触れる機会もあったが、彼女の諦めない強い心と、未到の目標に向かって努力し続ける姿勢は、多くの日本人に勇気を与えてきた。今回の金メダル獲得は、まさにその努力の結実であり、心から祝福したい。

  車いすテニス男子シングルスでは、日本の小田凱人選手が最年少金メダルを獲得した。18歳の小田選手は、決勝で世界ランキング1位のイギリスのアルフィー・ヒューエット選手を6-2、4-6、7-5で破るという劇的な勝利を収めた。小田選手は最終セットでマッチポイントを与え、敗北の危機に直面していた。しかし、彼はそのマッチポイントをしのぎ、そこから連続してゲームを奪い、逆転勝利を収めた。この試合は、彼の精神的な強さと集中力を証明するものだった。特に、ヒューエット選手は車いすテニス界で最も強力な選手の一人として知られており、過去には9回のグランドスラムタイトルを獲得している。そんな強敵を前にしての勝利は、まさに偉業と言える。東京オリンピックの国枝慎吾選手の金メダルに続く、日本選手の2大会連続の金メダル獲得となった。車いすテニス界の新しいスターの誕生である。

  パラリンピックに出場している選手たちは、確かに何らかの障害を持っているが、その障害を持った上で彼らは完全なアスリートである。彼らの競技に対する情熱と技術は、まさに「アスリート」という言葉にふさわしい存在なのである。

 さあ、まだまだ頑張らなくちゃと心を揺さぶられた12日間だった。

  2026年に米国、カナダ、メキシコで共同開催されるサッカーワールドカップに向け、アジア最終予選がついに始まった。日本代表は初戦で中国を7対0と圧倒し、見事な勝利を飾った。特に印象的だったのは、怪我から復帰した伊東純也選手が途中出場し、プレーを通じてピッチ上で喜びを全力で表現していた姿である。彼を温かく迎え入れたチームメイトやサポーターの応援が、会場全体に感動的な雰囲気を生み出した。今の日本代表は「歴代最強」との評価を受けているが、アジア全体のレベルも着実に向上しており、予選を簡単に勝ち進める状況ではない。それでも、2026年ワールドカップでベスト4以上を目指すという期待が高まっている。これから続く予選の長い道のりは、ファンにとってもわくわくとドキドキが続く時間となるだろう。

  MLBでは大谷翔平選手が7日時点で45本塁打・46盗塁を達成し、前人未到の記録を更新し続けている。次なる目標である50-50が現実味を帯びており、さらなる期待が膨らむ。

  そして、大相撲秋場所が始まった。大ファンだった元横綱稀勢の里が師匠を務める二所ノ関部屋の大の里の活躍に注目したい。蛇足だが、テレビで見ていたら、デヴィ夫人が観戦していた。84歳。益々お元気だ。

  さて、我が巨人軍は現在セ・リーグ首位をキープしている。7日、東京ドームで妻とともに対DeNAベイスターズ戦を観戦した。巨人の先発は若手の井上温大投手。前橋商業高校出身の高卒4年目で、DeNAの強力打線に立ち向かう。井上選手は6回を投げ、4安打1失点の好投を見せたものの、打線の援護に恵まれず、今季8勝目には届かなかった。

  この日はチャンスで岡本選手、坂本選手、そして浅野選手らがことごとく打ち損じ、残塁の山を築いた。14安打8四球を記録しながら、残塁はなんと19。9回裏に何とか同点に追いつき延長戦となり、 12回裏にオコエ瑠偉選手がサヨナラホームランを放ち、3対2の逆転勝ちを収めた。

 オコエ選手の一発で試合を決めた瞬間、それまでのフラストレーションは一気に吹き飛んだ。試合時間は4時間41分。もし敗北していたら、帰宅する気力さえ失っていたかもしれない。

 東京ドームでの巨人戦観戦はやはり特別である。坂本選手のユニフォームを着て、タオルを掲げ、声を張り上げての応援は、日常を忘れて没頭できる時間だった。

 1日の仕事を片付けて野球を観たり、スポーツニュースをチェックしたり、自分にとっては何物にも代えがたい気分転換の時間になっている。

 今回は、スポーツのお話だけでした。

9月8日

by 須毛原勲

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