■ 午前2時45分の「もしかしたら」
6月30日、午前2時。ブラジル戦のキックオフに合わせて深夜に起き出した。
前半29分。佐野海舟選手が中盤でボールを奪うと、そのまま自ら持ち込み、右足を振り抜いた。名手アリソンの逆を突く、鮮やかなミドルシュート。実はこの佐野選手、上田綺世選手と同じ鹿島アントラーズの出身である。在籍は短い期間だったが、いずれとんでもない選手になると、私がひそかに推してきた男だ。その彼が、この大舞台で代表初ゴール。嬉しくないはずがない。
1-0で前半を折り返した時、「もしかしたら」と本気で思ってしまった。
だが、ブラジルは強かった。
後半11分、カゼミーロのヘディングで同点に追いつかれると、あとは防戦一方。圧倒的な「個」の力を、まざまざと見せつけられた。
それでも日本は耐えた。あと少しで延長戦、というところまで来ていた。しかし、後半アディショナルタイム。自陣でのわずかなミスを、王者は見逃してくれなかった。マルティネッリのシュートがポストの内側を叩き、ゴールに転がり込む。1-2。試合終了。
延長戦の30分を持ちこたえ、PK戦までもつれ込めば、あるいは——。そんな未練も頭をよぎる。だが、力の差は一目瞭然だった。本気になった王者ブラジルは、やはり強かった。
思えば、満身創痍のチームだった。南野拓実選手は大怪我、三笘薫選手は大会直前に負傷、主将の遠藤航選手も離脱。それでも残った選手たちは、王国を相手に「勝てるかもしれない」と本気で思わせてくれた。
7月2日、帰国した選手団を、成田空港では約500人のファンが熱い声援で出迎えたという。その日の記者会見で、森保一監督は就任からの8年間を振り返り、笑顔でこう語った。
「自分ができることはやりきった」
やり切った、と言い切れるところまでやり切る。それが、どれだけの人にできるだろうか。
森保監督、お疲れさまでした。負けた。でも、夢を見させてくれた。ありがとう。
4年後が、もう待ち遠しい。
■ 朝のウォーキング、シンガポール編
7月1日から4日まで、シンガポールに出張してきた。
定宿は、クラークキーからほど近い川沿いの「グランド・コプソーン・ウォーターフロント」。私がシンガポールに駐在していたのは、1998年から2003年。その後2010年、上海駐在時代に東南アジア諸国の事業部長を兼任することになり、上海からこの地域を見ていた時期がある。このホテルは、その頃からの定宿だ。
ホテルの1階には、FIFAワールドカップ観戦用の大型モニターが設置され、さながらスポーツバーの様相を呈していた。ここシンガポールでも、ワールドカップは大変な盛り上がりなのである。
朝、ホテルから海沿いのマーライオンまで往復して約6キロ。ウォーキングにはちょうどいい距離である。歩きながら、ふと思う。シンガポールの方が、日本の夏よりよっぽど快適ではないか。
ここ数年、日本の夏は30度超えの真夏日が当たり前。35度を超える猛暑日も、もはや珍しくない。赤道直下、熱帯の国の方が快適になってしまっている。
平日のクラークキー沿いの遊歩道を、多くのランナーが駆けていく。マーライオンに着くと、早朝にもかかわらず、大勢の観光客で賑わっていた。聞こえてくるのは、広東語、ベトナム語、インドネシア語。日本人には、1人も出会わなかった。ドリアンのフレッシュジュースを飲んでみた。匂いは、あのドリアンそのもの。味は、うーん。飲めなくはない。
■ 150回目の「社長の日曜日」
今回で、この「社長の日曜日」は150回目を迎えた。約3年と3ヵ月。数回の休載を挟んで続けてきた。これからも日曜日の小さな習慣として書き続けていきたい。お付き合いいただければ幸甚である。
政策研究大学院大学 篠田邦彦教授特別寄稿
政策研究大学院大学の篠田邦彦教授に、論考をご寄稿いただいた。タイトルは、『「脱中国」は答えか ―不確実性の時代における日本企業の海外展開戦略』
篠田教授は通商政策・国際経済政策の専門家であり、アジア経済統合とインド太平洋協力の最前線を、政策の内側から見続けてきた方だ。
トランプ関税、中東危機、米中首脳会談。世界が目まぐるしく動く中で、「中国事業をどうすべきか」と頭を悩ませる経営者は多い。これに対する篠田教授の視座は明快だ。問われているのは「脱中国か、継続か」という二者択一ではない、と。
では、何が問われているのか。その答えは、ぜひ本文でお確かめいただきたい。中国ビジネスに携わる方はもちろん、これから海外展開を考えるすべての経営者に、一読をお勧めする。
『中国フィジカルAIレポート 決定版2026 ― 日本企業の勝ち筋を読む。』無料公開。
世界のヒューマノイド出荷の8割超が中国製という今、実際にフィジカルAIの実装を手がける連続起業家の監修による調査レポートを公開。経済安全保障に適合した「日本の勝ち筋」を、元・東芝中国総代表が読み解きます。
■ なぜ、いま「フィジカルAI」なのか
AIが現実世界の機器を自律的に動かす「フィジカルAI」が、実装段階に入りました。供給面では中国が突出し、2025年の世界ヒューマノイド出荷の約85%が中国製とされています。
一方の日本では、製造・物流・建設・介護といった現場の人手不足が、社会の維持に直結する局面を迎えています。政府も2026年6月、フィジカルAIに官民で2040年度までに10.5兆円を投じる方針を打ち出しました。
世界の潮流、日本の切実な必要、国家戦略の後押し。三つが同時に揃ったいま、問われるのは、この波を経済安全保障に適合する形でどう活かすかです。
■ 本レポートの三つの特長
1.中国語ソースに基づく調査であること。
日本語メディアには出てこない現地報道・政府資料まで丹念に拾い、整理しました。
2.実装者による監修であること。
監修者の鐘明博(かね あきひろ)氏は、清華大学卒の連続起業家。中国でソフトウェア企業の創業・上場企業役員を歴任し、現在は日本でフィジカルAIの社会実装を自ら手がけています。机上の理論ではない、現場の実装知に裏打ちされた一冊です。
なお、鐘氏は7月1日付で当社・株式会社SUGENAの戦略顧問に就任しました。今後は、当社のフィジカルAI実装支援事業を推進していきます。
3.完成品から基幹部品までの横断であること。
派手に報じられる完成品メーカーだけでなく、AI基盤・基幹部品メーカーまで整理し、「どの企業と、どう組むか」に踏み込みました。
▼レポートのダウンロード(無料)はこちら
https://sugena.co.jp/download/china-physicalai-report-202607/
7月23日「中国フィジカルAIの実態と、日本企業の次の一手」無料オンラインセミナー開催!
フィジカルAIレポートの骨子と日本企業の「勝ち筋」を、監修者の鐘氏とともに解説します。
中国の現場で実際に動いている実装事例(社会インフラ点検・防災応急など)を、動画を交えてご紹介。
「ハードは揃った、勝負はアプリ層」の実態を、この機会にぜひ。
日時:2026年7月23日(木)15:00–16:20
形式:オンライン(Zoom Webinar)
参加費:無料(事前登録制・先着100名)
登壇:須毛原勲(SUGENA代表取締役社長)
鐘明博(同戦略顧問・SUGENAフィジカルAIレポート監修者)
▼無料セミナーのお申込みはこちら(締切:7月23日14:00)
https://sugena.co.jp/seminar202607/
どんなことでも、お気軽にご相談ください。
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海外事業で課題をお持ちの方
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日本進出で課題をお持ちの方
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《今週の写真》シンガポールホワイト
クラークキー沿いの遊歩道で、プルメリアが咲き誇っていた。
その名も「シンガポールホワイト」。純白の花弁の中心に、淡い黄色がともる。
無機質な高層ビル群を背に、熱帯の花はいっそう映えていた。
朝の光の中、ふわりと漂う甘い香り。
この国の緑は、摩天楼に負けていない。
《今週の写真・番外編①》昼下がりの大蝦麺

滞在中に立ち寄った、エビそば(プロウン・ミー)の老舗「ビーチロード・プロウン・ミー」。
平日の昼間だというのに、大行列だった。
運ばれてきた丼には、大ぶりのエビがどんと横たわる。
エビの出汁がしっかりと効いたスープは、後を引く旨さ。
一口で行列の理由が分かった。
《今週の写真・番外編②》チャンギ空港の「滝」
帰路のチャンギ空港ターミナル2。出発ホールの中央に、巨大な「滝」が現れた。
高さ14メートル、幅17メートルの大型ディスプレイに映し出される、デジタルの滝である。
水音とともに流れ落ちるその映像は、まるで本物の滝のよう。しばし足を止め、見入ってしまった。
空港までもが、進化を止めない。この国らしい仕掛けである。
2026年7月5日
