社長の日曜日 vol.161 進路 2026.09.21 社長の日曜日 by 須毛原勲

  • twitter

■ またも雨。雨。雨。

 9月に入ってから、東京はずっと雨だ。ほとんどお日様を見ることが無い。

 台風25号は、日本の南の海上をゆっくりと北上している。大型で強い台風。中心気圧970ヘクトパスカル、最大風速35メートル。進路がなかなか定まらず、天気予報も見るたびに書き換わる。21日の午後から22日の午前にかけて、東海から関東に接近するという。長雨で地盤が緩んでいるところへの台風。災害につながらないことを祈るばかりだ。

 雨続きだが、相変わらずウォーキングは続けている。最近コースを変えたら、その道が金木犀の並木で、橙色の花が満開、香りは強烈だ。

 春の沈丁花、夏の梔子(クチナシ)、と秋の金木犀が日本の「三大香木」らしい。夏の梔子の香りは、正直、嗅いだ覚えがないなあ、と思っていたら、「ウオーキングコース沿いのあの辺りに毎年咲いて、その時期いい香りがするわよ。私は三大香木のなかで一番好きかも…。」と妻に言われた。

 金木犀の香りと、道端の曼珠沙華。今日から秋の彼岸入り。

■ 11年ぶりの5連休

 21日の月曜日が敬老の日。23日の水曜日が秋分の日。両側を祝日に挟まれた22日の火曜日が、オセロのように裏返って「国民の休日」となったシルバーウイーク。24,25日に休みを取って9連休という人もいるらしい。

 「祝日に挟まれた平日は休みにする」という仕組みは、1985年の祝日法改正で加わった第3条第3項による。狙いは5月4日にあった。憲法記念日とこどもの日の飛び石を埋めるためである。その5月4日は2007年にみどりの日という正式な祝日になり、いま第3項が働くのは9月だけになった。

 2003年のハッピーマンデー制度で敬老の日が第3月曜に動き、秋分の日は国立天文台の計算で決まる。この三つが噛み合う年にだけ、5連休が生まれる。2009年、2015年、そして今年。次は2032年まで来ないという。

■ フィジカルAIサミット

 先週水曜日。RX Japan主催の「フィジカルAIサミット」に出席した。

 朝9時、パレスホテルの大広間はほぼ埋まっていた。1000人はいただろうか。フィジカルAIという言葉がメディアに出て、まだ2年ほどだが会場は大盛況。

 赤澤経済産業大臣のビデオメッセージから始まった。2040年までに1000万台規模のAIロボットを導入し、世界シェアの3割、20兆円の市場を獲る。

 続いて、参議院議員でロボット議員連盟事務局長の山田太郎氏。先週まで2週間、欧米のキープレイヤーを回ってきたばかりだという。ボストン・ダイナミクス、フィジカル・インテリジェンス、NVIDIA。その報告の結論が意外だった。

「AIからだけのアプローチでは、かなり厳しい」

 物を掴んで運ぶだけなら8割から9割は成功する。だが連続した複雑な作業になると精度は2割を切り、必要なデータは300万時間を超える。現場で集まるのは、せいぜい1万時間。ルールベースとの組み合わせが要る、と。

 午後、Mujinの滝野一征氏。ロボットが「動く」ことと「働く」ことの間には、まだ大きな隔たりがあると話した。1時間に1000ケースを捌く現場で精度99.9%といえば、1時間に1回止まるということだ。

 そしてROI。ロボットは生産財である以上、必ずROIを問われる。1台目は期待で入る。2台目からはそうはいかない。企業はROIで動く。合わなければ、そもそも参入しない。

 ならば国は何をすべきか。山田議員は「官需」と言った。補助金ではなく、政府が買う。量産が回れば値が下がり、値が下がれば現場が入れる。AIロボット協会のコンペも同じ設計だった。賞金は出さない。代わりに、量産体制を整えた企業のロボットを数十台、協会が買い取る。

 経済産業省の渡辺琢也AI産業戦略課長は、2、3週間前に中国から戻ったばかりだった。AIロボットの完成品メーカーだけで140社。展示会では、途中で数えるのをやめたという。北京の話をしだすと止まらなくなるので、と自分で話を切り上げていた。

 夜の懇親会では、多くの方と名刺を交換した。中国の話になると、誰もが同じことを言う。脅威だ、と。

 だが、その現場をこの目で見たという人は、一人もいなかった。

■ 幕張へ―東京ゲームショウ

 フィジカルAIサミットの懇親会を終えた足で、幕張へ向かった。ホテルに前泊し、翌17日から始まる東京ゲームショウ2026に、中国のパートナー企業のサポートとして入る。ビジネスデーの2日間、会場に張り付いた。

 30周年の今回は、国内540社、海外は53の国・地域から598社。計1138社が出展した。いずれも過去最多である。

 ビジネスデーだというのに、人気タイトルのブースには長い列ができていた。ゲームのキャラクターに扮したモデルさんにカメラを向ける人、並んで一緒に収まる人。

 ゲームの開発費は年々高騰している。大型タイトルともなれば、1000億円を超える規模に達するという。そうなると、回収の鍵は海外展開だ。どれだけ速く、どれだけ適切にローカライズできるか。

 当社は昨年、中国最大規模の翻訳・ゲームローカライズ企業と独占パートナー契約を結んだ。日本企業の窓口として、日本語から簡体字・繁体字・韓国語・英語へ、さらに英語を起点に29言語への翻訳を手掛けている。29という数字は、Steam(世界最大のPCゲーム配信プラットフォーム)の対応言語数である。今回、パートナー企業のブースでは多くの方が足を止めてくださり、ローカライズがゲームメーカーにとって共通の課題であることを再確認した。

 2025年の世界のゲームコンテンツ市場は32.1兆円。2021年のおよそ1.5倍に膨らんだ。2024年、日本のコンテンツ産業の海外売上のうち、ゲームは3.4兆円。全体の56%を占め、アニメを上回っている。

「日本の知見を世界へ」当社が掲げてきた言葉である。

 会期は21日までの5日間、TGS史上最長になるはずだった。だが昨日、最終日の中止が決まった。台風25号である。

中国フィジカルAI視察プログラム―上海・杭州-のご案内

今、見て、感じてほしい。中国フィジカルAIの現在地を。

↑詳細はこちら!

中国の最先端フィジカルAI企業を訪問する視察プログラムの企画を監修、情報を公開しました。

※旅行手配は株式会社いい旅(観光庁長官登録旅行業 1737号)が行い、弊社は企画の監修・視察同行を担当します。

詳細はhttps://sugena.co.jp/physicalai-program-202611/を是非ご覧ください!

無料セミナー「フィジカルAI解体新書」9月29日開催

↑お申し込みはこちらから

 『解体新書』は、安永3年(1774年)に刊行された、日本で最初の本格的な西洋医学の翻訳書である。ドイツ人医師クルムスの解剖書のオランダ語版『ターヘル・アナトミア』を、杉田玄白、前野良沢、中川淳庵らが訳した。辞書はない。オランダ語ができるのは良沢ひとり、それも単語をわずかに知る程度である。それでも彼らは築地の良沢の家に集まり、3年をかけて訳し終えた。「神経」「動脈」「軟骨」。今日われわれが使っている言葉は、その時に作られている。

 今月29日(火)、セミナーを開く。題して「フィジカルAI解体新書」。

 解体新書と聞けば、部品レベルまで解剖する話かと思われるかもしれない。基幹部品の話も、もちろんする。だが今回「解体」したいのは、部品そのものではない。なぜ中国は、これほど速く、これほど安くヒューマノイドを進化させられるのか。その強さの構造を解体し、日本企業の勝ち筋を探るのが目的だ。

 250年前、彼らが異国の書物を開いて遅れを取り戻そうとしたようなことを、今日の我々もまたやらねばならない。

どんなことでも、お気軽にご相談ください。

https://sugena.co.jp/contact-us/

海外事業で課題をお持ちの方 

●海外進出:https://sugena.co.jp/service/overseas-business/

●行政・自治体向けサポート:https://sugena.co.jp/service/local-government/

●海外企業との提携・オープンイノベーション:https://sugena.co.jp/service/open-innovation/

●開発・調達・製造支援:https://sugena.co.jp/service/cost-reduction/

●中国ビジネス:https://sugena.co.jp/china-business/

日本進出で課題をお持ちの方

●日本進出、現地化:https://sugena.co.jp/service/japan-business/


《今週の写真》金木犀のオレンジ色

香りが強すぎて、どこから来るのかと顔を向けた。
濃い緑の葉の間に、オレンジ色が詰まっていた。

一つひとつは米粒ほどの花だが、この大きさで道をまるごと満たしている。

私は金木犀の香りを嗅ぐとなぜか、物悲しい気持ちになる。

香りが呼び起こす記憶は人それぞれ。皆さんの場合はどうだろうか。

2026年9月20日

by 須毛原勲

  • twitter

ブログ一覧に戻る