社長の日曜日 vol.164 右と左 2026.10.13 社長の日曜日 by 須毛原勲

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■ 秋空

 10日から3連休。昨日も今日も、東京は真っ青な秋空が広がった。朝の風が気持ちいい。今年初めて、ウィンドブレーカーを羽織ってウォーキングに出た。久しぶりに、遠くの公園まで足をのばす。じんわりと汗ばんだ。

■ 左腕

 インフルエンザが、ものすごい勢いで流行っている。流行入りは、昨シーズンより1か月以上早いという。めったに外出しない妻が早速かかって寝込んでしまった。どこでもらったのかわからないと言っている。

 私自身は外出することは多い。満員の地下鉄にも乗る。人にも会う。行きつけのクリニックで、インフルエンザとコロナの予防接種を一緒に受けた。

 優しい看護師さんに聞かれた。

「インフルエンザとコロナ、どちらを左腕に打ちますか」

どっちがいいのか?よく分からない。なぜなら、私はコロナの予防接種もインフルエンザの予防接種も、今まで一切副反応が出たことがないから、利き手をどちらのワクチンから遠ざけるべきか見当がつかない。ちょっと考える振りをして「左手にコロナを」と答えた。

■ 右手と左手

 7日、ノーベル化学賞に、東京理科大学名誉教授の硤合憲三さんが決まった。パリ南大学のアンリ・カガン名誉教授(95歳)との共同受賞だ。日本人の化学賞受賞は、2年続けてになる。

 硤合さんが見つけたのは、「不斉自己触媒反応」。分子には、右手と左手のように、形は同じでも重ならない2種類がある。片方は薬になり、もう片方は毒になることもある。生命は、なぜ片方だけを選んだのか。硤合さんの研究は、その謎に迫る手がかりになるという。

 会見の硤合さんは、話し方が柔和だった。だが、目は鋭い。

「私の人生で最もエキサイティングな日だ」

「受賞できても、文句は言われないだろう」と言って、会場を笑わせた。まだ完全に解明したわけではない。まだまだ面白いことがある、とも語った。

 御年76歳。挑戦する気持ちは、絶えないようだ。

■ 中国との距離

 先週は、会食が続いた。お二人とも、中国に駐在した経験をお持ちの方だ。話は自然と、いまの日中関係に向かった。11月、深圳でAPECが開かれる。高市首相と習近平主席の会談は、かなわないだろう。お二人とも、そう見ていた。

 会食のあと、お一人からWeChatが届いた。北京に駐在していた頃にお世話になった方だが、いまは中国とは離れた部署にいる。中国との関係はライフワークにしている、とあった。また相談させてほしい、とも。

 なぜ、日本人はこれほど中国を嫌うようになったのだろう。米国では、中国に好感を持つ人が2024年の16%から、今年は27%に増えた。米ピュー・リサーチ・センターの調査だ。

 米国でさえ、変わり始めている。

■ プロ野球大詰め

 結局、セリーグは阪神が連覇した。

 我が巨人軍は、阪神以外の4球団にはすべて勝ち越した。交流戦も勝ち越した。阪神にだけは、8勝16敗1分け。

 その阪神の佐藤輝明が、打率.306、39本塁打、106打点で三冠王。阪神の日本人選手では初めてだ。来年、メジャーに行ってくれないだろうか。

 CSのファーストステージ。ジャイアンツは対DeNA初戦を1対2で落とし、第2戦で雪辱した。12日の第3戦に、ファイナルステージ進出がかかる。

(追記:ジャイアンツは第3戦を落とし、ファイナルステージ進出ならず。今シーズンが終わった。)

■ 万年時計

 先日、NHKの「時をかけるテレビ」を見た。池上彰さんがゲストと一緒に、昔の番組を見直す番組だ。

 この回で取り上げたのは、2005年のドキュメンタリー「万年時計〜江戸時代の天才が生んだ驚異の機械時計」。田中久重の万年時計を分解し、組み直すプロジェクトを追ったものだ。

 田中久重。からくり人形や無尽灯を生み、「からくり儀右衛門」と呼ばれた江戸末期から明治の発明家だ。万年時計は1851年の作。和時計と洋時計、曜日、干支、月の満ち欠け、二十四節気、そして太陽と月の動き。これだけの仕組みを一つの時計に組み込んでいる。

 恥ずかしながら、実物を見たことがなかった。調べると、上野の国立科学博物館に展示されているという。9日の午後、少し時間が空いたので上野へ向かった。万年時計は、1階の展示室の正面にあった。ガラスケースの中。番組で仕組みを見ていたので、何がすごいのかが分かる。175年前に、これを。パネルには、田中久重の顔が大きく載っていた。眼光が鋭い。

 館内には、ロボットの関節に使う減速機のパネルも並んでいた。どちらも重要科学技術史資料だ。

 ハーモニック・ドライブ・システムズの波動歯車減速機。説明には「産業用ロボット興隆のきっかけとなった」とある。1977年、産業用ロボットが広まる前に生まれた。ナブテスコの精密減速機RV。こちらは「世界中の産業用ロボットを動かす」。もとは建設機械に使われていた減速機を、1985年にロボット専用に作り直した。

 この辺りのことに、私が前回のセミナーで触れていた時、数人のセミナー視聴者が退出されてしまった。私の説明の仕方が至らなくて、興味を持っていただくことに繋がらなかったのだろうと反省している。

 もっと早く実物を見に来ればよかった。

 熱心に見ていると、隣にいたご婦人が声をかけてくださった。やはり、あの番組をご覧になったらしい。

「すごいですよね。この方、東芝を作った方なんですよ」

私が三十余年、東芝に在籍していたことなど知る由もないご婦人の一言。

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《今週の写真》カリンの実。

秋晴れの空に。これからの季節、のど飴によく使われていますね。

2026年10月12日

by 須毛原勲

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