中国語を習い始めたのは、上海に赴任した2004年。それから現在に亘るまでの約17年間、中国語に関わり続けています。それだけ長い間中国語に触れているにもかかわらず、リスニングも発音も思うようにレベルが上がらないのには、正直うんざりします。
それでも、中国語の勉強を続けています。北京の先生と毎週末にWeChatで1時間半のレッスン。一週間の出来事や、気になったニュースなどを中国語で話したり、文章にしてみてそれを添削してもらったり、たわいもないお喋りをしたり。楽しいし、いまだに新しい発見があります。仕事のためというより、趣味に近い感覚です。
言葉は文化そのもの。ちょっとした表現が中国人のものの見方・考え方を表しています。中国語を理解して中国人と直接コミュニケーションが取れる日本人がもっと増えたなら、お互いの印象も違ってくるのかなと思ったりもします。
当社のホームページのコンテンツ担当の板橋清君は、北京に留学経験あり。若干、24歳。
須毛原と交代で、二人が勝手に面白いと思った中国語の表現を紹介していきます。それは、日常会話でよく使う表現だったり、熟語やことわざだったり、 最近、中国のネットでよく使われている表現だったり。時々、解釈が多少ズレていたりするかもしませんが、その際はご容赦ください。
中国語を解る方はもちろん、そうでない方にも興味を持っていただけたら嬉しいです。
我来吧と好的
「中国語の表現で、好きな表現は何ですか」と聞かれたら、必ず答えるのが、「我来吧(Wǒ lái ba)」「好的(Hǎo de)」。
「我来吧(Wǒ lái ba)」は、直訳すると、「わたしにやらせて。」、英語だと“Let me do it.”
誰かが困っている時に手を差し伸べるような、ちょっとした時に使います。
部下と一緒に出張している時、私が上司だったからと言う理由ももちろんあると思いますが、いろんな場面で「我来吧」と言って私を助けてくれました。自分でもよく使います。
お客様との宴会で、私が部下に精算を指示していることに気づくと、お客様が私に気を遣って必ずといっていいほど、「我来吧。」と言って私が支払うのを遮ろうとします。「私が払いましょう。」という意味ですね。それに対して、「不可以(Bù kěyǐ)。我来吧。」「それはダメです。私が払います。」なんていう言い方もします。このやり取りが何回か続いたりします。ちょっと、日本での慣習にも似ていますね。
飛行機に乗っていて、隣の席の方がキャリーバッグを座席の上の棚に上げる際、「我来吧。」と言って手伝ってあげることも出来ます。英語だと“May I help you?” 的なニュアンスですね。便利な表現です。その一言で、そのあと暫くお喋りをしたりしたこともありました。
違ったニュアンスで使うこともあります。例えば、会議中にディスプレイにExcelの画面を映しながら何人かで議論している時、それを操作している人がコマンドをよく理解せずに手際悪く作業していたりすると、「我来吧。」「あなたじゃダメだから、私がやるわよ。」
シーンによって、意味が全く、変わってきます。
「好的(Hǎo de)」は、翻訳すると「わかりました。」とか「OK」の意味。但し「わかりました。」だとちょっと堅い表現になってしまうし、「わかったよ。」だとため口になってしまいますね。「OK」だと軽すぎ。「わかったよ。」とか「OK」とは日本人は上司には言わないですよね。
「好的」はある意味、万能です。目上にも目下にも同僚にも、尊敬も謙譲も考えずに使えます。それでいて失礼じゃなく、能動的、積極的に「私がやりますよ。」という気持ちも入ってきます。言葉は音の響きもそのニュアンスに関係していると思います。「好的」の単純な音の響きも私には心地よく聞こえます。日本語の「わかりました。」には無い響きかなと個人的に思います。
仕事で面倒くさい状況になっていても、部下に仕事を頼んだ時、即座に笑顔で「好的」と答えてくれる。いい部下に恵まれたのかもしれませんが、その一言だけで気持ちが前向きになったことが何度もありました。