社長エッセイ

中国語の小窓 ③ 2021.08.12 社長エッセイ by 須毛原勲

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「差不多。」「差不多吧。」

 中国に赴任した当初、会話は全然聞き取れないのに、この言葉は頻繁に耳に入ってきました。音を聞くと、「チャーブドー。」「チャーブドーバ。」と聞こえます。

 漢字でどう書くのかを聞いて、辞書を調べると、「(程度や時間・距離などが)あまり違わない。殆ど同じである。」と記載されています。

意味としては、

1.大体、だいたい同じ、Almost(程度、時間、距離)

2.大体、どのくらい About  

3.そろそろ、 もうそろそろ It is about to…

「差不多。」、「差不多吧。」は非常に広範囲なシーンで使われる使い勝手のいい言葉です。

 中国駐在時代には、ほぼ毎日のように夜の会食があったわけですが、「差不多吧。」にはお世話になりました。

 例えば、注文をしている時に、「とりあえずそんな感じで・・・」的なシーンで、「差不多吧。」。「それ以上、注文しても食べられませんから、もう注文を止めたら如何ですか」的なニュアンスですが、特に失礼な意味合いは含まれません。

 お酒を飲み過ぎているのに、更に勧められる時があります。「流石にもう飲めませんよ。」的なニュアンスで、「差不多吧。」と言って、勧めを断ることも出来ます。大概それでも飲まされますが・・・。

 会食の場で、もうそろそろお開きにしたいと思った時に、「差不多吧。」と言えば、そういう意味で通じます。

 上海と北京とどちらが好きですかとか聞かれた時、「差不多吧。」と答えると穏便な回答になります。

 会食の席で、初めから最後まで「差不多吧。」だけ言っていても、それはそれで、会話しているような気分になるものです。

 また、商談をしていて平行線でなかなか合意に達しない時にも「差不多吧。」で、「この辺でお互いに妥協しましょう。」という意味になりますね。

 「差不多吧。」の使い途、タイミングは、テキストブックで習うような中国語では無くて、日常的に中国語を使っている現場で自然と身に付いた中国語だと思います。

 中国語で長い文章を話す時には、声調(音の高低・上がり下がり)が違っているとほぼ通じませんが、「差不多吧。」は声調が多少違っていても、タイミングさえ合っていれば通じます。且つ何となく、中国語を理解している人みたいに思ってくれる、とても便利な言い回しかなと思います。

by 須毛原勲

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