社長エッセイ

社長の日曜日 vol.18 ハートカクテル 2023.08.01 社長エッセイ by 須毛原勲

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 暑い日が続いている。最高気温が35℃以上の猛暑日が既に13日。7月の後半はほぼ毎日猛暑日だった。

 「The era of global warming  has ended. The era of global boiling has arrived. (地球温暖化の時代は終わった。地球沸騰化の時代が到来した。)」との国連のグテーレス事務総長の発言がニュースで取り上げられていた。暑いのは日本だけではない。世界中で記録的な暑さを記録していて、7月の月別世界平均気温が最高記録を更新し、史上最も暑くなることがほぼ確実らしい。地球の気候変動、温暖化の問題は日常生活に大きく影響している。若い頃、出張で行った中東のドバイの刺すような日差しに近い暑さを感じるほどだ。

 さて、お気づきの方もいらっしゃると思うが、ブログ「社長の日曜日」のアイコンがイラストに変わった。このイラストは、ハートカクテル等の漫画やいろいろな広告のイラストでお馴染みの漫画家・イラストレーターのわたせせいぞうさんに描いてもらった私の似顔絵である。今回、わたせせいぞうさんに特別に許可を頂き、ホームページにて活用させていただくことになった。この似顔絵を描いてもらったのは2006年。今から17年前のことである。本人は似ているかどうかよく分からないが、妻は性格まで表していると言っている。

 「創業者が語るストーリー」にも書いているが、私は2004年に東芝の複写機の販売会社責任者として上海に赴任した。

 その当時、東芝の複写機事業のブランディングについて思案していた。中国では東芝というブランドの知名度は抜群だった。もともと会社名が漢字なので中国人にも認知されやすい。そんな中で、東芝の名前は有名で誰でも知っているけれど、東芝の複写機は誰も知らない。「そんな製品を作っていたの?」と良く言われた。そうした状況を打破するために中国で大々的にメディア広告キャンペーンを展開することになった。とはいえ、単に製品の写真や商品の説明を載せただけの広告では効果は薄い。人目を引くためには女優やスポーツ選手などの有名人を起用することだと分かってはいるけれど、そんな予算は単独のBUではかけられない。先週の「社長の日曜日」で記載したが、後の北京オリンピックの時に、高飛び込みの郭晶晶さんや女優の李冰冰さんをイメージキャラクターに使った広告キャンペーンを展開することになるのだが、当時はそこまでの動きはなかった。

 何か良いアイデアはないかと思案する中で、わたせせいぞうさんにオリジナルのイラスト広告をお願いすることに思い至った。

 わたせせいぞうさんの漫画は、1983年から1989年まで週刊モーニングで連載された「ハートカクテル」が有名であり、私は若い時に愛読していた。当時、横浜の外れの独身寮に住んでいた私は週末になるとYAMAHAのSRX400に乗って、横浜中華街の近くの”Missions to Seamen”という外国船の船乗り向けのレクリエーション施設に出入りしていた。当時日本に7つしかないといわれたスヌーカー台やダーツと大きめのソファーがいくつも置かれており、気ままに過ごすには最適だった。気の置けない初老のマスターがカウンターにいて、コーヒーとホットサンドウィッチを頼んでずっと居座っていても文句を言われなかった。毎週木曜日に発売される週間モーニングを、週末にそこのソファーで読むのが楽しみだった。

 わたせさんに、あのハートカクテルのような素敵なイラストでオリジナル広告を制作してもらうことは出来ないだろうか?

 まずは、とにかく想いを伝えたい。「なぜ、広告キャンペーンが必要なのか。」「なぜ、わたせさんにオリジナルのイラスト広告をお願いしたいのか。」「中国でわたせさんのオリジナルのイラスト広告が受け入れられるのかどうか。」その想いを書き綴った。そして一か八かで、わたせさんの事務所のホームページのお問い合わせに私の想いを投稿した。数日後、わたせさんの事務所から丁寧な回答を頂いた。私の想いが、わたせせいぞうさんに伝わって、イラストを描いてくださることになったのである。

 契約期間は2年間。その間、上海の三部作(東方明珠電視塔(上海のテレビ塔)が見えるオフィス、上海のおしゃれスポット新天地のクリスマス、上海の豫園)、万里の長城が見える風景、上海复旦大学キャンパスの学生たち、四川省の世界遺産・九寨溝の風景から始まって、最後はコマ割りの漫画シリーズのパンダ研究基地シリーズ(三作)、浙江省の世界遺産西湖に伝わる伝説の物語「白蛇伝」現代版シリーズ(三作)と合計12作品を制作していただいた。どれも素晴らしい作品だった。掲載誌は「財富」などの経済誌で、ターゲットは経営層。目標は予算決定権のある層での認知度向上とブランディング。それなりの予算をかけて、わたせさんのオリジナルイラスト広告キャンペーンは展開された。

 2006年から2007年までの2年間、中国全土を営業で飛び回りながら、2ヶ月に一度制作されるわたせさんのオリジナルのイラスト広告が私自身何よりも楽しみだった。広告キャンペーンの結果を数値的に評価することは簡単ではないが、この2年間、好調な中国経済にも後押しされ、売上・利益とも記録的な伸長を達成した。

 わたせさんの「ハートカクテル」は、今、「ハートカクテル カラフル」として新しいアニメがNHK総合で放映されている。イラストは今も多くのメディア、広告で見ることが出来る。東京でよく見かけるのは、JR東日本の「大人の休日倶楽部」。少し前は、東京シティ競馬。音楽の世界だと、TUBEや大瀧詠一のCDジャケット等。本当に素敵なイラストを今も世に数多く発表されている。

 17年前にわたせせいぞうさんに描いてもらった私の似顔絵は、今も私の宝物である。そして、これらからもずっと。

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 さて、当社の設立は2020年8月7日。起業して丸三年が経過しました。

 この3年間、ほぼ丸々コロナ禍の状況下という厳しい環境でしたが、お客様に恵まれ、少しずつですが着実に事業は拡大してきました。支えてくれる仲間も増えてきました。

 4年目を迎えるに当たって、社名を株式会社SUGENA(英名はSUGENA Inc.)に変更しました。これまで略称として使っていた「SUGENA」を正式社名にします。

 当社のビジョンは、「日本の未来を創る」。当社のスローガンは「Navigate through the new Ocean」。SUGENAに込めた想いは、SUGEHARA AND ASSOCIATES Navigate through the new Ocean. 志を同じくする多くの仲間たちと共に、日本の未来を創るために、日本企業のイノベーションと真のグローバル化の実現のために、未知なる航海への案内人としてますます精進したいと思います。

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 今月より、「社長対談(CEO Talk)」という新企画を掲載開始しました。第1回は、政策研究大学院大学の篠田邦彦教授をゲストにお迎えしました。篠田教授は、経済産業省にて永年RCEPやCPTPP等の経済連携協定交渉に尽力され、日中経済協会北京事務所所長として北京に駐在、ほか、東南アジアでのご経験も深くお持ちです。めまぐるしく変動する世界情勢の中で、日本企業はどうすればいいのか、広範なテーマで篠田先生の知見と洞察に満ちたお話をお伺いさせていただきました。3回にわたり掲載いたします。是非、ご一読ください。

8月1日記

by 須毛原勲

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