社長エッセイ

社長の日曜日 vol.19 ハートカクテル、その後 2023.08.07 社長エッセイ by 須毛原勲

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 朝、走り出して公園を通り抜けると蝉の声がうるさいほどだ。まさに、夏、真っ盛り。

 今朝は足元で動くものがあり、思わず立ち止まってみたらノコギリクワガタだった。木から落ちてしまったのか、ひっくり返って足をバタバタさせていた。拾い上げて、近くの木の根元に帰してあげた。ノコギリクワガタを直接自分の手で触ったのは50年振りくらいだろうか。子供の頃、ノコギリクワガタは憧れだった。

 夏休みには毎日のように虫採りに出かけていた。近くの農業高校を抜けて、田んぼの中の畦道を走り、常磐線の線路を越えた先の雑木林に何本かクヌギの木が生えていて、早朝の時間帯その樹液にクワガタやカブトムシが群がっていた。そこまでは家から1キロちょっとあったはずで、小学生の自分たちには大冒険だった。クワガタ採りに夢中になっていたあの頃が懐かしい。

 そして、大人になった今、複雑な世の中でも夢中になれることがあると気づく。子供の頃のクワガタ採りに対する夢中と大人の夢中は、対象は変われども本質的に同じような気がする。夢中になることに向かって進む時の気持ちや姿勢は、根本的な部分では変わらないのかもしれない。だからこそ、大人になっても心には子供の頃の夏の冒険の記憶がずっと残っているのだろう。

 8月5日、オーストラリアとニュージーランドで共同開催されているFIFA女子ワールドカップのベスト16の試合が行われ、日本チームがノルウェーを3対1で破ってベスト8への進出を決めた。2011年の第6回FIFA女子ワールドカップで澤穂希キャプテン率いる日本チームが優勝した時には日本中が興奮したが、その後低迷していたこともあって近ごろは注目度は低かった。かく言う私も殆ど注目しておらず、ベスト8をかけたノルウェー戦が今回のFIFA女子ワールドカップで初めての観戦だった。

 日本代表選手のレベルが上がっているのに正直驚いた。キャプテンのDF熊谷紗希、司令塔のMF長谷川唯、前回のワールドカップの選に漏れたFWの田中美南くらいしか名前を記憶していなかったが、皆、技術がしっかりしている。何より懸命に走っている。ゴールが決まってもチャラチャラせずにすぐにプレーに戻っていく。真剣な表情がかっこいい。また、サッカーの男子日本代表のユニフォームは青が基調だが、今回のなでしこはアウェイのユニフォームということで、紫色とピンクが基調のデザインが新鮮だった。ワールドカップ優勝から12年、“世界のなでしこ”が再び満開の花を咲かせるために、SUNRISEをコンセプトに、“再び世界一へ”という決意を新たにする象徴として、幻想的な朝の空模様をグラデーションで表現、とのこと。次戦は、8月11日、スウェーデンとの対戦。楽しみが増えた。

 先週の「社長の日曜日」でも記載したが、8月1日付で社名を株式会社SUGENA(英語名SUGENA Inc.)に変更した。2020年8月7日に会社設立し、4年目を迎えるこのタイミングで、これまで略称として使用していた「SUGENA」を正式な社名とした。

 SUGENAに込めた想いは、SUGEHARA AND ASSOCIATES Navigate through the new Ocean. 当社のビジョンは、「日本の未来を創る」。スローガンは「Navigate through the new Ocean」。Navigate to ではなく、Navigate throughと表現した。なぜなら、new Oceanに到達するのが目標ではなく、new Oceanという未踏の海を案内人として共に進むという意志と覚悟を表したかったから。

 今回の社名変更に合わせて、社名のロゴもAvenirをベースにしたフォントに変更した。色は以前の青色よりも藍色に近い少し濃い色合いとなっている。以前よりも“シャープなロゴ”に「イノベーションに挑戦する想い」を、“濃いブルー”に「より困難な荒海に臨む決意と覚悟」を表現した。

 設立当初は主に日本と中国の間での事業を展開していたが、最近は東南アジアへの進出を考える日本企業とのビジネスが増えつつある。日本企業が海外市場への飛躍を志す中で、米中関係や日中関係の変動を受けて、中国への進出が困難だと感じている企業も少なからずある。ならば先ずは、親しみのある東南アジアへの進出を考えてみよう。今後は今まで以上に、東南アジア進出を目指す日本企業を積極的に支援していきたいと考えている。経歴的には13年間中国に駐在していたこともあり、中国の事情に詳しいとは自負しているが、東南アジアビジネスともシンガポール駐在期間の6年間を含めて15年以上関わっており、自分のものの見方、考え方、仕事の仕方の骨格を作ってくれた原点だと思っている。海外進出を考えている日本企業の皆様は、先ずはシンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアあたりの市場環境を理解することから始めてみては如何だろう。ぜひご支援さえていただきたい。

 先週、わたせせいぞうさんの新しいアニメ「ハートカクテルカラフル」がNHK総合の深夜に放送されていた。ちょうど、拙ブログ「社長の日曜日」のアイコンを、わたせせいぞうさんに描いて頂いた私の似顔絵に変えたタイミングと同じという偶然。

 私とわたせせいぞうさんとの出会いについては先週の当稿に書かせて頂いた。17年前、私が東芝の複写機販売会社責任者として上海に駐在していた時に広告キャンペーンのイラストをお願いしたのが始まりだった。ご快諾を頂いた後、早速わたせさんと事務所の方に上海に来ていただいた。シリーズ広告が始まった後にも、蘇州の寒山寺や杭州、西湖などのロケハンにお供させていただいた。西湖を訪問した時に、雷峰塔という仏塔を訪れた。その塔の上からは西湖の風景が一望でき、雷峰塔の中には白蛇伝の物語の大きな彫り物が展示されている。案内してくれたガイドさんが、白蛇伝の物語を熱く語ってくれた。その時まで知らなかったのだが、白蛇伝は中国の四大民話説話のひとつであり、日本最初のカラー長編映画漫画(アニメ映画、1948年)になっている。あの宮崎駿さんがアニメ界に入るきっかけになったと言われている作品である。この時の西湖訪問がわたせさんに描いていただいた広告の最後のシリーズ「白蛇伝 現代版」に繋がっている。その物語は、もちろんハッピーエンド。

 広告キャンペーンが終わってからも、わたせさんとは懇意にさせていただき、二人で京都旅行に行ったりもした。至福の想い出である。

 当時私に描いてくださった似顔絵を、17年経った今、弊社ホームページにアイコンとして使うことをご快諾いただき、そのアイコンがアップされた翌日わたせさんから久しぶりに電話をいただいた。

 また、新しい何かが始まる予感がする。

8月6日記

by 須毛原勲

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