東京も木々が美しく色づき始めた。近くの公園の池の水面に映る紅葉の美しさは格別で、わざわざ遠出をしなくても紅葉狩りを楽しむことができる。最近の寒さが私の体調に合っているようで、朝のランニングが楽しく、11月の走行距離は今年最長を記録した。
朝のランニング中にラジオを聴いていると、いろいろな記念日を知ることができる。最近では、11月22日が「いい夫婦の日」、毎月29日が「肉の日」、そして12月1日が「手帳の日」。師走に入り、過去一年を振り返り、新しい手帳を準備する時期ということで、この日が記念日になったらしい。
手帳が好きだった。同世代の方なら誰もが知っているであろうFilofaxのシステム手帳を若い頃は使っていたが、実際にはあまり活用せず、持っていること自体に満足していた。その後、銀座伊東屋のオリジナル手帳や一年で使い切るタイプの手帳を遍歴し、今では紙の手帳は全く使っていない。スケジュールはGoogleカレンダーとiPhoneのカレンダーを使い、メモはiPhoneのメモ機能やリマインダー、パソコンのOneNoteに記録している。以前は紙に書かないと不安だったが、今はクラウドで同期しているため不安はなくなった。文字を書く機会は減り、漢字を忘れがちだが、ブラインドタッチでの入力スピードは圧倒的に早く、進化なのか退化なのかはよく分からないが、変化は確かである。
11月24日に始まったガザ地区での戦闘休止は、二度の延長を経て7日間で終わった。イスラエル軍はすでに戦闘機による空爆を再開し、ガザの保健当局は1日午後までに109人が死亡したと発表している。休止期間の再延長を探るため、カタール、エジプト、米国を含む関係諸国が仲介に努めたが、結果としてその努力は報われなかった。11月30日には、米国のブリンケン国務長官がイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相と会談した。10月7日にイスラエルとハマスの軍事衝突が始まってから3回目の訪問である。
そのような折、キッシンジャー元米国務長官が11月29日に亡くなった。享年100歳。1923年、ドイツでユダヤ系ドイツ人として生まれたキッシンジャー氏は、ナチス政権の反ユダヤ政策を受け、1938年に米国へ移住した。ニクソン政権下で大統領補佐官(国家安全保障担当)として活躍し、1971年には国交のなかった中国を極秘訪問、周恩来首相と会談し、後のニクソン大統領の訪中および79年の米中国交正常化に向けた基盤を築いた。1973年にはベトナム戦争の和平交渉をまとめ、ノーベル平和賞を受賞している。
1972年9月29日、田中角栄総理と周恩来首相の間で日中国交正常化の調印が実現した。キッシンジャー元国務長官の動きがなければ、田中角栄総理の迅速な行動もなかったかもしれない。
国際政治の舞台で重要な役割を果たしたキッシンジャー元国務長官の歴史を振り返ると、米国の国務長官としての深い責任感とその働きの大きさを強く感じる。歴史の転換点で、時には極秘裏に、時には公然と、国益を守るために尽力した彼の姿勢には敬意を表さざるを得ない。
さらに、国内でも悲しい訃報が届いた。脚本家の山田太一氏が老衰のため死去。享年89歳。山田氏は数多くのテレビドラマの脚本を手掛け、その中でも「ふぞろいの林檎たち」は、主題歌のサザンオールスターズの「いとしのエリー」と共に特に深く私の心に残っている。当時大学生だった私は、脚本家か映画監督になることを夢見て、山田太一氏や倉本聰氏の作品を熱心に読み込んでいた。結局、その夢をなかったことにして、ふたつ目の夢だった国際的なビジネスマンを目指して普通のサラリーマンとして生きることを選んだ。自分の選んだ道で、それなりに人生を精一杯生きてきたつもりだが、今回の山田太一氏の訃報にふれて、あの頃、夢をあきらめた苦い記憶が一瞬にして蘇ってきた。合掌。
日曜日、青山のNHK文化センターで開催された、イラストレーターわたせせいぞうさんのトークショーのお誘いを受け、行ってきた。このイベントは、NHK総合で放送される新作TVアニメ「ハートカクテル カラフル」の続編の開始を記念したものである。トークショーでは、ハートカクテルの誕生秘話から今回の新作までの様々なエピソードが、わたせせいぞうさんとわたせさんのプロダクションであるアップルファームの黒田社長によって約1時間半にわたって語られた。私も20代の頃からわたせさんのファンであるが、今回初めて知るエピソードが多数あった。
このイベントはオンラインでも配信されていたが、会場にはコアなファンが多く集まっていた。開演前に私の隣に座った方と話す機会があり、その方はハートカクテルの連載開始当初からのファンということで、少しお話をしただけで、長きにわたる熱烈なファンだということが伝わってきた。
「ハートカクテル カラフル」冬編の放送は12月11日(月)から5夜連続、午後11時45分から11時50分の5分間である。この作品にはLGBTの恋愛が描かれており、現代の多様性に合わせたテーマが取り入れられている。従来の「ハートカクテル」がロマンチックな内容であるのに対し、今回の「ハートカクテル カラフル」はより多様性に富み、現実に近い恋愛が描かれているようである。非常に楽しみにしている。
12月3日記