社長エッセイ

社長の日曜日 vol.39 梅の開花 2024.01.15 社長エッセイ by 須毛原勲

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 能登半島地震発生から2週間が経過した。停電や断水などのインフラの復旧作業はまだまだ始まったばかり。生活の再建には相当時間がかかりそうである。日夜報道される現地の状況には本当に心が痛む。そんな中、宿泊施設などへの二次避難や仮設住宅建設への動きは被災者の方々に一縷の光をもたらしているであろう。自衛隊の尽力によって入浴が可能になったり、1泊でも静かで清潔で暖かい場所で眠ることができる二次避難所が、不自由な生活で疲れが溜まっているであろう方々の僅かな癒しになることを願うばかりである。

 先週土曜の夕方、大学ラグビーの決勝戦、明治大学対帝京大学をテレビで観戦していたら、みぞれ交じりの雪と雷で試合が50分程度中断された。東京の初雪だった。

 翌日曜日は晴れ渡り、抜けるような青空で朝は暖かさすら感じた。ジョギングを終え、公園の高台でいつものようにストレッチをしていると、梅の花が咲いているのに気づいた。気象庁のホームページを調べてみると、今年の東京での梅の開花は1月9日で、平年より13日早く、昨年よりも12日早い開花だった。春はすぐそこまで来ているようだが、被災地の方々にとっての春はまだ遠い。

 中国汽車工業協会は、1月11日、2023年の自動車生産・販売はそれぞれ3016.1万台、3009.4万台に達し、前年比でそれぞれ11.6%、12%増加したと発表した。生産・販売量は歴史的な数字を記録し、2桁の高い成長。この中で、乗用車市場は良好な成長を継続し、自動車消費の基盤を安定させる上で重要な役割を果たした。商用車市場は安定した回復を見せ、生産・販売量は400万台に戻った。新エネルギー自動車は引き続き急速な成長を維持し、生産・販売量は900万台を突破し、市場占有率は30%を超え、世界の自動車産業の転換をリードする重要な力となっている。自動車の輸出も新たな高みを記録し、年間で約500万台を輸出し、業界全体の急速な成長を効果的に牽引した。(以上、中国自動車工業協会の発表による。)

 不動産価格低迷等に起因する経済の停滞が続く中国だが、自動車市場は相変わらず好調を維持しているようだ。年間3000万台の市場規模は驚異的としかいいようがない。2023年の日本での自動車の販売台数が、477万台程度なので、6.3倍の市場ということである。

 一方で、先日、中国を訪問した際に、多くの人が中国の不景気を嘆いていた。若者達はいい大学を出ても就職することも出来ない。大学卒業者の就職率は5割程度になっているという。

 最近の中国で流行っている、そうした状況を象徴するような言葉をいくつか紹介したい。

 まず、その代表的な言葉が、躺平 (tǎng píng)。

  これは直訳すると「横になる」という意味だが、「寝そべり族」という日本語に翻訳された。社会的または経済的な圧力に対して意図的に抵抗することを放棄し、最小限の努力で生活するライフスタイルを指す俗語。約2年前に当社のブログでも「躺平(寝そべり族)」の記事を掲載したが、いまだに多くの方に読んでいただいている。https://sugena.co.jp/staff_report/post-1086/

焦虑 (jiāo lǜ)

 これは「不安」や「焦り」という意味。主にストレスや心配の感情を表現するのに使われる。

内卷 (nèi juǎn)

 「内卷化」とは、競争が激化し、個人や組織がより多くの努力をする必要がある状況を指し、その結果として生じる利益や成果はそれほど増加しない現象を意味する。つまり、どんなに努力してもそれほど報われない状況を意味し、若者達の社会に対するやり場のない気持ちを表現している。

要润了 (yào rùn le)

 これは「もういい、逃げよう」という意味の俗語。一般的には、現状から脱出したいという願望を表現する際に使われる。潤の発音記号「rùn」を英語の「run」にかけて、「逃げる」を意味し、その多くは「海外移住」を指す一種の隠語。

脱单 (tuō dān)

 「シングルから脱出する」という意味で、恋人ができること、つまり独身から脱出することを指す。

985废物 (985 fèi wù)

 「985」とは、中国の高等教育システムにおいて、最も優秀で名声の高い大学群を指す言葉。この「985プロジェクト」は、中国の高等教育の質を向上させる目的で設立され、特に研究開発能力の強化に重点を置いている。プロジェクトには、中国全土から選ばれた39校の大学が含まれており、国から特別な支援を受けている。このプロジェクトの名称は、1998年5月に中国の元主席・江沢民が北京大学の創立100周年記念演説で、21世紀に向けた世界クラスの大学の育成を目指すと表明したことに由来する。これらの大学の卒業生が自らを「废物」(無駄、無価値)と自嘲する際に用いる表現は、高い教育水準にも関わらず期待されるような成功を収めていないと感じる卒業生の心情を反映している。

月光族(Yuèguāng zú)

 次の給料をもらう前に月収を使ってしまう人。中国の景気は厳しく、不動産はもはや購入出来ない。だったら、日々をエンジョイしよう。そう思う若者が増えている。

1月14日記

by 須毛原勲

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