社長の日曜日

社長の日曜日 vol.61 七夕 2024.07.08 社長の日曜日 by 須毛原勲

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 連日、猛暑が続いている。朝のニュースによると、今日の関東地方の最高気温は内陸部を中心に40℃以上に達する見込みであり、体験したことのない危険な暑さになるとされている。朝のジョギングは、早めに家を出てできる限り日差しを避けて走り、早めに切り上げて家に戻るようにしている。それでも、梅雨明け前の湿った空気が身体に纏わりついてかなりしんどい。

 7月7日、今日は七夕である。

 日本ではこの日を祝って色とりどりの短冊に願い事を書いて竹の枝に飾る。この習慣は、元々中国の伝統から来たもので、願い事が天に届くという思いを込めている。

 近所の公園にも、多くの短冊が飾られていた。「みんなが笑顔で幸せになりますように」とか「サッカーのリフティングを連続10回できますように」など、子どもらしい夢がたどたどしい文字で書かれており、純粋な心からの願いが感じられる。中には「年収10億円稼げますように」という明らかに子どもの筆跡の願い事もあった。「短冊に願い事を書くと願いが叶うよ」と親に言われて、子ども達が一生懸命書いている姿が目に浮かぶ。

 余談だが、息子が小学校1年生の時にクラスで作った笹飾りに、クラスメートがそれぞれ「クロールがもっとはやくおよげるようになりたい」とか「ケーキやさんになりたい」などと子どもらしい思いを書いている中、息子だけ「○○ちゃんとけっこんできますように」と名指しで熱いメッセージを書いたことがあったそうだ。不思議なものでクラスメートの子どもたちはすんなりそれを受け入れていたようだが、保護者のお母さん方には衝撃を巻き起こしたらしい。何事にもマイウェイの息子らしい思い出のひとつである。

 今週の最大の話題は、新紙幣の発行だろう。1万円札が日本の資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一。新5千円札が女子英学塾(現・津田塾大学)を創設するなど、近代的な女子高等教育に尽力した津田梅子。新千円札が「近代医学の父」と知られ、感染症予防や細菌学の発展に大きく貢献した北里柴三郎。紙幣のデザイン変更は20年ぶりで、今回は3Dホログラムを世界で初めて取り入れたとのこと。私自身はまだ新紙幣を手にしていないが、楽しみである。

 因みに、10億円は一万円札で10万枚に相当する。新一万円札で10億円を積み上げると高さが約10メートルになるそうだ。

 さて、少し前になるが、自民党デジタル社会推進部が「AIホワイトペーパー2024」という提言を発表した。これは、「G7広島サミット2023」において日本政府が生成AIの国際的ルール作りを主導した流れを汲んでいる。提言の中で肯定できる点は、日本がAI技術を活用して社会的・経済的な競争力を高めると同時にその安全性を確保しようとしている点である。AIとブロックチェーン技術の融合を通じて、サイバー空間と物理空間が一体化されることで、新たな社会基盤が構築される可能性が示されている。

 一方で、AIに否定的な論調の方々が警鐘を鳴らすのが、安全性の確保である。近い将来、AIは人類を越える知能を持つことになるのは間違いなさそうだが、その知能が暴走しないようにするにはどうしたらよいのか。

  総務省は5日発表した2024年版情報通信白書で、生成AI(人工知能)を利用している個人が9.1%にとどまるとの調査結果をまとめた。比較対象とした中国(56.3%)、米国(46.3%)、英国(39.8%)、ドイツ(34.6%)とは大きな開きがあった。利用しない理由としては「使い方がわからない」が4割を超えて最多。「生活に必要ない」も4割近くおり、この割合は日本が他国に比べ最も高くなった。総務省は日本企業の特徴として「議事録作成などの社内向け業務から慎重に導入を進めている」と分析した。生成AIの利用推進には「安全・安心なルール整備が必要」とも記した。

 一方で、日経新聞が行った生成AIの業務利用に関する調査結果は、生成AIを仕事で利用している人が前年の18%から44%へと倍増したことを示している。調査は日経リサーチと共同で行われ、日経電子版などの購読者3230人が回答した。生成AIの利用者は全体の64%に達し、ほぼ毎日使用する人は8%、時々使用する人は28%であった。総務省の報告と乖離があるが、生成AIを使おうとしている人も実際に使っている人も今後確実に増えていくだろう。

  かく言う私は、ChatGPT-4oを日常的に使っている。というか、かなり依存している。特に、中国語での文章の作成にはChatGPT-4oを使うことによって確実に効率が上がっている。Google翻訳とか百度翻訳の時は、使用に耐えられないレベルだったが、DeepLが出てきて自動翻訳レベルが確実に上がった。そこにChatGPTが登場し、その翻訳レベルは私の体感でDeepLをはるかに越えている。また、ChatGPTはAPPが出てから格段に使い易くなっている。有料版は月20ドル、1ドル161円換算で3,240円。年間38,880円。安くはないが、料金以上の効率が得られることは間違いない。

  先週日曜のTBSテレビ「サンデーモーニング」に出演した孫正義氏は、自動車が生まれた当初の状況を引用し、AIにも同様に必要な規制を設けるべきだと強く主張していた。自動車の普及による事故を防ぐために信号や交通規則が制定されたように、AIも適切なルール作りが求められると述べた。また、AIを危険だと一概に否定する人々に対しても警鐘を鳴らしていた。

 孫正義氏は次のように語っていた。「AIがもの凄いスピードで進化している。4年間で1,000倍になった。チップの数が10倍になって、チップの能力が10倍。ChatGPTの生成AIの能力が10倍。10x10x10で1,000倍になった。新幹線と自転車のスピードは20倍しか違わないが、全く違う乗り物である。それを考えれば1000倍の機能になったというのがいかに凄いかということがわかると思う。そして更に凄いのは、これからの4年間で1,000倍、更にその後の4年間で1,000倍。100万倍。更にまたその後の4年間で1,000倍。100万倍x1,000倍は10億倍。今から3回のオリンピックを経た後に、AIの英知は10億倍になる。今のChatGPT-4oは既に米国の医学の国家試験にも通るレベル。それが、12年後に10億倍の知性を得ることになる。」

 孫正義氏は最初は冷静にゆっくりと感情を押さえるように話をしていたが、途中から何度も拳を振り上げ、熱く語っていた。

 「門外漢の“知識人”と言われる人たちが上から目線で、なんちゃってでいろいろ言うんですよ。知ったかぶりで。あんた、専門家か?専門家でもないのに上から非難して言うんじゃない。心を開いて進化に対して真っ直ぐに取り組まないと日本はヤバいっすよ。」

7月7日

by 須毛原勲

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