社長の日曜日

社長の日曜日 vol.101 夏へのバトン 2025.06.30 社長の日曜日 by 須毛原勲

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 紫陽花から夏花への色彩の継ぎ目を眺めつつ、海の向こうで躍動する侍たちと打線に苦しむジャイアンツを想う。――身近な季節の移り変わりと遠い地での出来事が交差した1週間の徒然である。

ラジオ体操が結ぶささやかな縁

 東京は連日の猛暑に包まれている。今朝5時30分の時点で、Apple Watchはすでに25℃を示していた。家を出た際にはまだ凌ぎやすかったが、帰路では鋭い日差しが肌を突き刺す。西日本では既に梅雨が明け、東京もこのまま梅雨明けしてしまうのだろうか。ここ数年続く酷暑は今年も例外ではないようで、灼熱の夏が早くも到来した。

 出張が続いたため、しばらく朝のラジオ体操を欠席していた。久々に参加すると、数人から「久しぶりですね」と声を掛けられた。互いに名前も知らないが、同じ時刻に体操をする仲間として気に掛け合う心遣いが嬉しい。参加者は以前より増えているように感じられた。

紫陽花から夏花へ――色彩リレーが告げる季節の移ろい

 短い梅雨の間、目を楽しませてくれた紫陽花には、多様な品種があることをあらためて知る。代表的な「アジサイ」は、土壌の酸度によって青・紫・赤へと色を変える最も身近な品種である。「ガクアジサイ」は中央に粒状の両性花が密集し、その周囲を額縁のように装飾花が囲む“額咲き”が特徴で、本来の花は中心部のつぶつぶにあたる。控えめながら精巧な構造が梅雨の情景に奥行きを与える。「柏葉アジサイ」は柏の葉に似た深い切れ込みをもつ葉と、円錐状に連なる白い花房が印象的で、森のシャンデリアのように垂れ下がり、雨滴をまとってほのかな光を放つ。

 雨と相性の良い紫陽花も、梅雨が明ければ容赦ない日差しに晒され、やがて色褪せていく。紫陽花の季節が終盤に差しかかり、ジョギングコース沿いにはバトンを受け取るかのように次の花々が姿を現す。南国を思わせる大輪のムクゲは深緑を背に白・桃・紫の花を重ね、カンナはバナナのような大葉の上に炎色の花穂を掲げる。暑さに強いランタナは黄から橙、紅へと色を移ろわせ、朝露を纏ったユリは甘い香りを漂わせる。真夏の象徴、オシロイバナも早くも咲き始めた。

 そして、またあの猛暑の季節がやって来る。

パンダの帰郷

 和歌山県白浜町アドベンチャーワールドに暮らしていたジャイアントパンダ4頭―良浜、結浜、彩浜、楓浜―は、日中共同保護研究プロジェクトの契約満了に伴い、6月28日に中国へ返還された。テレビのインタビューでは、別れを惜しんで涙する来園者や空港まで見送りに行っている多くの人たちの姿が映し出されていた。これで国内に残るパンダは、上野動物園の双子、シャオシャオとレイレイの2頭のみとなった。

 

 先日成都を訪れ、成都ジャイアントパンダ繁育研究基地を散策したが、久方ぶりに対面したパンダの愛らしさは格別であった。ふっくらした頬、短い手足、ゆるりと転がるしぐさに時を忘れる。日本から返還されたシャンシャン、シンシン、リーリーには会えなかったものの、シャンシャンが成都から約60キロ離れた雅安・碧峰峡基地で暮らしていることを知った。

 同基地では、竹林を配した自然環境の中でパンダをガラス越しではなく肉眼で観察できる。飼育頭数は約240頭で、毎年10〜15頭が誕生するという。出産のピークは7月下旬から8月、生後2〜3か月後の9〜11月頃に公開が始まるとのことである。

 日本を訪問する中国人は急激に回復して、コロナ以前に戻りつつあるが、中国を訪問する日本人はなかなか増えないのが現状である。

 パンダを愛する日本人の皆さまには、生後2〜3か月後の赤ちゃんパンダを見ることができる秋に、成都ジャイアントパンダ繁育研究基地を是非とも訪れることをお勧めする。

メジャーで躍動する侍たち

 猛暑のフィールドに目を転じれば、メジャーリーグにおける日本人選手の躍進が目覚ましい。ドジャースの大谷翔平選手は早くも今季29号本塁打に到達し、連日スタンドへ豪快な打球を運んでいる。もはや驚きが薄れるほどの量産ぶりだが、活躍の報に触れるたび胸が高鳴るのは事実である。同級生であるカブスの鈴木誠也選手も22号本塁打を放ち、69打点でナ・リーグ単独トップと打点王争いをけん引する。

 大谷選手は、投手としても、自己最速となる101.7マイル(約163.7キロ)を記録した。どちらも凄すぎて、もはや、「二刀流」という言葉さえ聞かなくなってきた。ドジャースの山本由伸選手、メッツの千賀滉大選手、ブルージェイズの菊池雄星選手も安定した投球を披露。故障離脱していたカブスの今永昇太選手は復帰戦で白星を挙げた。さらに、35歳でメジャー挑戦を果たしたオリオールズの菅野智之投手は、6勝目と頑張っている。かつて巨人でエースを張った右腕の奮闘は、本当に嬉しい。

 日本人メジャーリーガーの活躍は多くの日本人に勇気を与えていることだろう。

我が巨人軍の苦闘

 一方、日本球界に目を転じれば、我が読売ジャイアンツは交流戦を11位で終え、深刻な得点力不足に喘いでいる。それでも交流戦明けにはDeNAを相手に3連勝を飾り、現在はセリーグ首位阪神とゲーム差3.5の3位の座を維持している。坂本勇人選手は徐々に調子を取り戻し、丸佳浩選手が1番打者として完全復帰した。オコエ瑠偉選手、泉口友汰選手、そして私が特に期待を寄せる増田陸選手も奮闘している。

 梅雨明けとともに鬱屈した空気を払拭し、打線にも晴れ間が差すことを願うばかりである。

栄光の男

 ジョギング中、ラジオからサザンオールスターズの『栄光の男』が流れてきた。周知のとおり、同曲は桑田佳祐氏が長嶋茂雄氏を想って作曲したものである。

 長嶋茂雄氏の訃報を、いまだ受け入れられずにいる人々は少なくない。野球界だけではなく、様々な世界で長嶋氏と関りをもった人の思い出話がぽろりぽろりとこぼれてくるのを噛みしめる日々である。

 来週こそ、怠け気味だった朝のラジオ体操にできる限り参加しようと思う日曜日だ。


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6月29日

by 須毛原勲

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