世界のユニコーン企業の現状 ② 中国ユニコーン企業251社分析

世界のユニコーン企業の現状 ② 中国ユニコーン企業251社分析 2021.08.19 社長レポート by 須毛原勲

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1.中国のユニコーン企業の数251社!

前回のレポートでは、米国CBインサイツのデータを基に、中国のユニコーンの企業は155社としましたが、中国の「2020年中国ユニコーン企業研究報告2021」[2021年4月発表。発行元:新経済智庫長城戦略コンテンツ(新经济智库长城战略咨询)]によると、その数は2020年末時点で251社と報告されています。未上場スタートアップのバリュエーションですので、資金調達の際に過剰な評価をされているかもしれませんし、その後評価が下がる可能性もあります。そもそも、バリュエーションの試算の根拠を明らかにしていないので、どちらが正しいデータとは判断がつきませんが、上述の「2020年中国ユニコーン企業研究報告2021」のユニコーン251社を分析してみます。

中国 TOP 10 ユニコーン企業

まず、トップ10のスタートアップは以下の通りです。

TOP10ユニコーン企業の都市別の内訳は、北京が6社。浙江省の杭州が1社。深圳が2社。江蘇省の南京が1社となっています。北京市の6社の内、清華大学、北京大学、北京工業大学等の有名大学が集中している海淀区に4社。最近、スタートアップが急激に増えてきていると言われる朝陽区に1社。

それぞれの事業内容を見てみると以下の通りとなります。

※ 滴滴出行(DIDI)は6月に米国ニューヨーク証券取引所に上場したので、現時点(2021年8月)では既にユニコーン企業では無くなっています。

業界別動向

業界別に見ると、上位は以下の通りとなります。

医療系が29社、新エネルギー車及び自動運転関連のスタートアップが23社で続いています。

それに次いで、ニューリテール(新消費)と言われるカテゴリーのスタートアップが19社。ニューリテールとは、日本語で「新消費」とも翻訳されますが、ここ数年、中国における中国発のブランドの新たな消費財が急速に拡大しています。その中でも、「SHEIN」(深圳库尚信息技术有限公司 2015年設立 南京市)https://jp.shein.com/ 時価総額150億USドルが全体の9位。ニューリテール(新消費)のトップに位置しています。米国でも「SHEIN」は急激に業績を伸ばしているようです。ウェブサイトを見る限り、中国のブランドとは全く分かりません。そのデザイン性と品質、リーズナブルな価格を評価されているようです。

インターネット教育が12社。業界としては8番目にランクインされていますが、最近発表された中国政府の学習塾への規制の影響を今後大きく受けると思われます。

あえて、TOP10ではなく、11番目の業界、「半導体」を入れていますが、ユニコーン企業にランクインした8社すべてが2020年に新たにユニコーンになったスタートアップであり、昨今の中国での半導体ブームの表れと考えられます。

SoftBank Vision Fundが出資しているスタートアップ

SoftBank Vision Fund(“SVF”)が米国・中国のスタートアップに投資をしていることは有名ですが、中国のユニコーン251社の中で、SVFが出資しているスタートアップは何社なのか、またどういった会社に出資しているのか、弊社が提携している中国最大のスタートアップのデータベース会社「北京企名片科技有限公司」のスタートアップデータベース 「企名片Pro」で調べてみました。(※企名片については本レポートの文末でご紹介します。) 

「企名片Pro」によると、251社中、16社。6.3%の企業にSVFは投資をしています。(2020年12月時点)

有名なところではTikTokのバイトダンス(正式名称:字节跳动有限公司、2012年設立 北京市)時価総額1800億USドル。

次に、シェアライドサービスの滴滴出行(DIDI)(正式名称:北京小桔科技有限公司2012年設立 北京市)時価総額580億USドル。

中国のAI四龍といわれるセンスタイム(正式名称:北京小桔科技有限公司、設立2014年 北京市)時価総額120億USドル。

インターネット教育系は以下の2社に出資しています。「作业帮(作業帮)」(小船出海教育科技(北京)有限公司、2015年設立 北京市)時価総額96億USドル。「掌门教育」(深圳掌门人教育咨询有限公司 2014年設立 深圳市)時価総額40億USドル。最近、中国で政府が学習塾を規制し、上場を禁止する旨の通告を発していますが、これらの2社の業績は今後大きく変化せざるを得ないでしょう。

また、時価総額20億USドルで91位にランクインしている、農産物や生鮮食品を生産者から消費者に直接届けるe-コマースプラットフォームの「叮咚买菜」(上海壹佰米网络科技有限公司 2014年設立 上海市)に、SFVは3.3億USドル出資しています。(2021年5月)

時価総額10億USドルで243位にランクインしている、フィットネスアプリ(APP)のKeep(北京卡路里科技有限公司 2014年設立 北京市)に、SFVは1.5億ドルを投資しています。(2021年4月)

他の出資先9社の業界は自動運転、トラックシェアリングサービス、先進農業ロボティクス、中古車eコマースプラットフォーム、医療健康、旅行サービスサイト等々、多岐に亘ります。

2.2020年にユニコーンに成長したスタートアップ

業界別動向

2020年に新たにユニコーン企業に成長したスタートアップは全部で69社。

業界別に見てみると、以下の通りとなります。

医療関係のスタートアップが一番多く、13社。内、創薬、医療機器関連が8社。デジタル医療領域が5社。次に、EV車を初めとする新エネルギー車及び自動運転関連のスタートアップが9社。半導体関連のスタートアップが8社と続きます。この4つのカテゴリーで38社と全体の69社の55%を占めています。

そのあと、企業向けデジタルサービス関連が4社、インターネット教育、 工業用商品のe-コマース 、AI関連各3社と続きます。

興味深いところでは、ペット医療のRUIPENG(新瑞鹏宠物医疗集团有限公司 2016年設立 深圳市)が時価総額44億USドルでランクイン。豊かさの象徴のようにペットを飼う人たちが増えてくるにつれペット医療の会社も成長していることが窺い知れます。

設立年別動向

2020年に新たにユニコーンに成長したスタートアップを設立年別に見てみると以下の通りとなります。

設立後1年以内にユニコーンレベル(時価総額10億USドル)にまで急激に評価が上がっているスタートアップが3社もあります。

59位 上海小度技术有限公司(2020年設立 上海市)スマートハードウェアの会社。時価総額29.4億USドル。https://dumall.baidu.com/

95位 京东工业品有限责任公司(2020年設立 北京市)工業用商品のe-コマースの会社。時価総額20億USドル。https://imall.jd.com/

122位 智己汽车科技有限公司 (2020年設立 上海市)阿里巴巴(アリババ)と上海汽车(上海自動車)が共同出資するEV・自動運転の会社。時価総額15.5億USドル。https://www.immotors.com/

5年目まででも27社、実に39%がユニコーンにまで成長しています。中国の評価額の成長のスピードに驚かされますが、一方、4年目から7年目までは38社で55%と、実業を堅実に成長させ時価総額を着実に上げるためにはそれなりの時間も必要と言うことかもしれません。

因みに、日本ではメルカリが2013年7月に設立され2018年6月に東証マザーズに上場し、設立から5年で上場したことが話題なりましたが、同社は上場前にユニコーン企業として評価されていました。

SoftBank Vision Fundが出資しているスタートアップ

2020年に新たに誕生したユニコーン企業69社の内、6社に SVFが投資をしてい ます。

世界中の投資家、投資会社が中国の有望なスタートアップを探し出し、投資の機会をうかがっている中で、投資の機会を得ることは容易ではないはずです。目利きの力、豊富な資金力もそうですが、このこと自体がSVFの凄さを表しているとも言えます。

因みに、91位にランクインしている生鮮食品ECデリバリーの「叮咚买菜」(日本語読みディンドン)(上海壹佰米网络科技有限公司、2014年設立 上海)は、今年の6月29日ニューヨーク証券取引所へ上場しているので、現在は既にユニコーンからは外れています。

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中国の「2020年中国ユニコーン企業研究報告2021」(2021年4月発表)(発行元:新経済智庫長城戦略コンテンツ(新经济智库长城战略咨询)のデータを基に作成した「中国TOP30ユニコーン企業情報」をご希望の方は、お問い合わせフォームより、ご連絡下さい。

https://sugena.co.jp/contact-us/

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2021年8月、当社は、中国のスタートアップ企業に特化した企業情報プラットフォーム「企名片Pro」の提供会社 北京企名片科技有限公司(略称“企名片”もしくは“QMP”)(2015年設立 本社:中国 北京市、創業者兼CEO: 党壮 )と戦略パートナーシップ契約を締結。

企名片は、スタートアップ企業約50万社、投資会社等5万社の詳細情報を提供。顧客は投資家、金融機関、大企業を含む1000社以上。中国の投資家にとってスタートアップ企業の情報検索には欠かせないツールとしての位置を確立しています。

今後、当社と企名片共同で、日本進出に興味のある有望なスタートアップを探索、発掘し、当社のLink-Sにて随時情報を提供予定です。

既に、多くの日本企業の中国現地法人の方々に「企名片Pro」をご利用頂いていますが、中国の携帯電話を所持していない方々の「企名片Pro」へのアクセスは制限されていました。当社との協業により、日本のお客様に、日本の携帯電話でのアクセスを可能とする特別サービスの提供を開始します。

ご希望の方は、お問い合わせフォームより、ご連絡ください。

https://sugena.co.jp/contact-us/

by 須毛原勲

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