中国の人口減について ブルーカラーの確保ー親の思惑と政府の思惑

中国の人口減について ブルーカラーの確保ー親の思惑と政府の思惑 2021.12.28 スタッフレポート by 沖虎令@上海

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 中国に暮らしていると、外国人に日常で会うことが少ない。日本もそうではないか、と指摘する人もいるだろうが、日本、特に都会にいると非アジア系の人が目につく。学校に行くと親のどちらかが日本国籍でない児童・生徒が普通に学んでいる。飲食店で見ると、厨房でもホールでもアジア系の店員さんがほとんどだったりする。

 もともと、東アジアの朝鮮半島系や中国系の人は日本に多く暮らしていたが、最近は欧米、アフリカ、中東、と幅広い地域出身の人やその子供たちが目立っている。特に、スポーツの世界では顕著で、自分が気が付き始めたのはハンマー投げの室伏兄妹あたりから。サッカー選手に多くいる。最近だとダルビッシュ有、八村塁、大阪なおみ、などは世界的アスリートである。彼らの親は日本人よりも平均的に体格が大きい国の人たちなので、スポーツ選手となる優位性が出て秀でているのだろう。

  これに対して、中国ではアフリカ系、ヨーロッパ系、中東系、インド系の人を街で見かけることが少ない。会うのは高級住宅街に行った時、高級管理職として中国に赴任している人と仕事で会う時、西洋レストランに行ったとき、くらいだ。

 中国の場合、人口が多いので移民を受け入れる必要がなく、地方から出てくる人々が、都会人がやらない、いわば汚れ仕事をして支えている。これに対して欧米では低賃金の仕事を移民やその子孫が受け持ち、従来からの住民は比較的高給が取れるような社会構造になっている。ドイツなら中東の人々、フランスではインドシナ半島出身者がタクシードライバーに多い。それでも移民したい人が山のようにいるのだから成り立っている。そのような違いから中国には外国人が少ない。外国人の就労ビザは年々厳しくなり、中国人雇用が奨励されている。

  さて、今回の本題は中国の人口減問題である。 

下図の通り、1990年代中盤から中国の出生数は1500万人前後で推移していた。

 これが、ここ5年間急減している。

下図の通り、2016年1785万人が2020年1200万人とほぼ2/3になった。特に2017年以降急減し、2019年から2020年は265万人も減っている。

 この傾向は継続するとみられている。婚姻数が減っているからだ。

11月、国務院民生部が2021年1月-9月の婚姻数を発表した。過去5年の同じく1-9月の婚姻数は以下の通り。

2021年は昨年とほぼ横ばいだが、昨年はコロナで婚姻予定を延ばした人が多かったといわれる。2021年は2017年から25%減で、このペースだと昨年の年間814万組レベルになるだろう。中国は家庭の倫理観が保守的で、婚外子に冷たい社会であり、今後婚姻数が出生数にそのまま反映されるとみられる。そのため、今後2-3年の出生数が1000万人を下回るのはほぼ間違いない。

  最近の調査報告によると、若者の結婚願望は低く、女性の若者の結婚願望は男性より低い。

  今年10月、共産主義青年団中央中国特色社会主義理論体系研究センターの特別チームが18~26歳の未婚都市青年男女2905人を対象に、アンケート調査やインタビューなどを通じ、彼らが恋愛と結婚をどう思っているか、結婚願望の背景にはどのような懸念があるかなどについて調査した。

  その結果、「あなたは将来恋愛をしますか?」に対し、12.8%が「恋愛はしない」と答え、26.3%が「わからない」と答えた。「あなたは将来結婚しますか?」に対し、25.1%が「わからない」と答え、8.9%が「結婚できない」と答えた。すなわち34%の青年が結婚を当然としていない。また、3割近くの若者が恋愛未経験だった。さらに、女性の結婚願望は男性より明らかに低く、女性は「結婚しない」と、「結婚するかどうかはわからない」が43.92%で、男性より19.29%多かった。別の調査では地方都市や農村部でもこの傾向がみられる。

  中国は一人っ子政策により、男児を望む傾向があり、男性が女性より5%多いという。その女性が高学歴になり、キャリア形成のために出産を忌避することが非婚化、非産化の理由の一つ、というのが定説になっている。

  中国政府は様々な施策を講じているが、その一つは、いわゆるブルーカラーの確保である。人口が減り、高学歴化すると、工場や社会インフラで働く人が不足する。上記の通り、中国は外国人の導入を考えておらず、中国内で圧倒的多数のブルーカラー人材を生み出さなければならない。ところが、当然親は1人しかいない子供を高学歴にして社会的地位のある人になってほしい。これに対し中国政府は、中学卒業時点で今後厳しくふるいをかけるといわれている。中学卒業後の試験結果で、大学に進学する高級中学と、職業学校などに分けており、これが現在大都市で7:3、6:4だったのが5:5になる、という噂が今年流れ、子を持つ親を震撼させた。

 政府は明らかに大学以外を将来の進路とする人材を増やしたがっている。しかし、親はもちろん違う。日本では料理の世界や各種デザイン業界で成功する人もいるが、こちらでは一般的に「職人」的な人の地位が低いからだ。ますます子供を持つことにブレーキがかかる。

  筆者の住む場所の近くに高級中学と職業学校があり、毎朝登校風景をみている。高級中学に子供を送る車が道で列をなしているのに対して、職業学校の生徒はほとんど歩きや自転車で来ている。その向かいにある幼稚園の門前はやはり送迎の車で溢れている。

by 沖虎令@上海

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