■ 時差1時間
先週のシンガポール出張から戻って以来、どうも生活のペースが乱れている。
シンガポールと日本の時差は、わずか1時間。日本のほうが1時間進んでいるだけだ。たかがそれだけ、と侮っていたのだが、これがなかなか堪える。朝、起きるのが辛く、日課である朝のラジオ体操をこのところ続けて休んでしまっている。たかが1時間、されど1時間である。
それでも今朝は、久しぶりに少し遠くの公園までウォーキングに出かけた。昼間は、まだ暑さに慣れていない体に堪えるような暑さが続いているが、朝の空気はまだ涼しい。ひと歩きして、気持ちのいい汗をかいた。
これからの季節、日ごとに暑さは増していくだろう。起きる時間を少しずつ早めていかなければ——そんなことを思いながら、朝の道を歩いた。
■ 銀座をバスで走る
最近、仕事で築地に行くことが増えた。
その日も打ち合わせの後、6月から新しく弊社の仲間に加わったS君(東芝時代の同期)と、有楽町で軽く一杯やろうという話になった。築地から有楽町までは、歩けない距離ではないが、それなりにある。どうしたものかと思っていると、S君が突然、「あれに乗ろう!」と言って走り出した。つられて、私も慌ててバス停へ向かう。築地から有楽町行きのバスに乗ったのは、生まれて初めての経験だった。
車窓に、ふいに歌舞伎座が飛び込んできた。大勢の観光客で溢れている。銀座の街を抜けると、バスはあっという間に有楽町へ着いてしまった。
予約もしていなかったので、ガード下をぶらぶらと歩き、店を覗きながら物色する。結局、ひどく混んだ焼き鳥屋に入った。金曜日、午後6時半になろうという時間帯、店は満員。焼き鳥の煙がもうもうと立ち込め、通されたのは、ガード下のコンクリートがむき出しになった席だった。
最近は仕事で生成AIを使う機会がめっきり増えた。だからこそ、思いつきでバスに飛び乗り、予約もせずふらっと店に入る——そんなアドリブは、いかにも人間くさくて、いいものだ。
と、悦に入っていたら、テーブルに貼り紙が一枚。
「ご注文はQRコードでお願いします」
……おいおい、ここもQRコードなんかい!
2人で7800円。長居はせず、軽く切り上げて店を出た。
■ メッシ、メッシ、メッシ。
サムライブルーがブラジルに敗れて以来、多くの日本人はFIFAワールドカップへの関心を失ってしまったようだ。だが、大会そのものは、むしろこれからが佳境である。
今日(日曜日)は、まずイングランド対ノルウェー。結果は、イングランドが2対1の逆転勝ち。「怪物」と謳われたノルウェーのハーランド選手も、ここで姿を消すことになった。
そして、メッシ率いるアルゼンチン対スイス。1対1のまま、試合は延長戦へともつれ込む。だが延長後半、アルゼンチンが立て続けに2点を奪い、スイスを突き放した。
これで、いよいよベスト4が出揃った。フランス、イングランド、スペイン、そして前回王者のアルゼンチン。さすがに、錚々たる顔ぶれが残ったものである。フランスのエムバペ、イングランドのハリー・ケイン、スペインのラミン・ヤマル、そして言わずと知れたアルゼンチンのメッシ。どのチームにも、絶対的なエースが君臨している。
このレベルの試合を見ていると、スター選手だけでなく、どの選手も個々の能力が高いのはもちろん、組織力、戦術、相手を研究し尽くした駆け引きに舌を巻く。予選とはまるで別のスポーツのようだ。品格があり、水準が高く、スポーツでありながら、どこか一種の芸術を見せられているような感覚に陥る。そして、日本代表も強くなったとはいえ、この舞台との差はまだ否めない——そう思わずにはいられない。
いずれの選手も、プレイを見ているだけで魅了される。とりわけメッシだ。普段はピッチをただ歩いているように見えるのに、ひとたびスイッチが入った瞬間の、あの圧倒的なスピード、パス、そしてシュートの正確さと力強さ。39歳。
この大会が、メッシ最後のワールドカップと言われている。アルゼンチンはここまで苦しい戦いが続いているが、絶対的エース、リオネル・メッシを中心に、ここぞの場面で勝負強さを見せてきた。そんな彼らを突き動かしているのは、おそらく一つの強い思いだ——メッシにとって最後となるであろうこの舞台を、1試合でも長く、共に戦い続けたい。
準決勝、決勝。楽しみで仕方がない。
■ 続シンガポール出張(雑感)
海外に駐在していた人が、その後、かつて暮らした土地を再び訪ねてみた——そんな話をよく聞く。
私も海外駐在は20年に及んだ。カリフォルニア州オレンジ郡のアーバイン。シンガポール。上海。北京。そのどの場所も、駐在を終えてから、何らかの形で必ず再訪している。
シンガポールに来るたびに、いろいろなことを思い出して、少しほろ苦い気分になる。
駐在していたのは、1998年から2003年まで。街は大きく様変わりしたところもあれば、意外にも、昔とほとんど変わらないところもある。
今思えば、あの頃はもの凄く忙しく、それでいて日々が楽しかった。人が何かを本当に学ぶには、何もかも忘れて打ち込む時間が必要なのかもしれない。約30カ国を担当し、年間120日から150日は出張していた——あのシンガポールでの日々こそ、自分が最も多くを学んだ時間だったように思う。下手くそだった英語も、いつの間にかインド人の癖の強いアクセントさえ聞き取れるようになり、頭で考えるより先に自然と口をついて出るようになった。それも、ちょうどこの頃だ。
当時は食べ飽きたと思っていたチキンライスも久しぶりに口にすると、懐かしさがこみ上げてくる。近ごろは東京でも、シンガポールのチキンライスを出す店が増えているらしい。
あの頃に食べた味の記憶が、あの頃の思い出をそっと連れ戻してくる。今度、東京でも訪ねてみようか。
『中国フィジカルAIレポート 決定版2026 ― 日本企業の勝ち筋を読む。』無料公開。
世界のヒューマノイド出荷の8割超が中国製という今、実際にフィジカルAIの実装を手がける連続起業家の監修による調査レポートを公開。経済安全保障に適合した「日本の勝ち筋」を、元・東芝中国総代表が読み解きます。
■ なぜ、いま「フィジカルAI」なのか
AIが現実世界の機器を自律的に動かす「フィジカルAI」が、実装段階に入りました。供給面では中国が突出し、2025年の世界ヒューマノイド出荷の約85%が中国製とされています。
一方の日本では、製造・物流・建設・介護といった現場の人手不足が、社会の維持に直結する局面を迎えています。政府も2026年6月、フィジカルAIに官民で2040年度までに10.5兆円を投じる方針を打ち出しました。
世界の潮流、日本の切実な必要、国家戦略の後押し。三つが同時に揃ったいま、問われるのは、この波を経済安全保障に適合する形でどう活かすかです。
■ 本レポートの三つの特長
1.中国語ソースに基づく調査であること。
日本語メディアには出てこない現地報道・政府資料まで丹念に拾い、整理しました。
2.実装者による監修であること。
監修者の鐘明博(かね あきひろ)氏は、清華大学卒の連続起業家。中国でソフトウェア企業の創業・上場企業役員を歴任し、現在は日本でフィジカルAIの社会実装を自ら手がけています。机上の理論ではない、現場の実装知に裏打ちされた一冊です。
なお、鐘氏は7月1日付で当社・株式会社SUGENAの戦略顧問に就任しました。今後は、当社のフィジカルAI実装支援事業を推進していきます。
3.完成品から基幹部品までの横断であること。
派手に報じられる完成品メーカーだけでなく、AI基盤・基幹部品メーカーまで整理し、「どの企業と、どう組むか」に踏み込みました。
▼レポートのダウンロード(無料)はこちら
https://sugena.co.jp/download/china-physicalai-report-202607/
7月23日「中国フィジカルAIの実態と、日本企業の次の一手」無料オンラインセミナー開催!
フィジカルAIレポートの骨子と日本企業の「勝ち筋」を、監修者の鐘氏とともに解説します。
中国の現場で実際に動いている実装事例(社会インフラ点検・防災応急など)を、動画を交えてご紹介。
「ハードは揃った、勝負はアプリ層」の実態を、この機会にぜひ。
日時:2026年7月23日(木)15:00–16:20
形式:オンライン(Zoom Webinar)
参加費:無料(事前登録制・先着100名)
登壇:須毛原勲(SUGENA代表取締役社長)
鐘明博(同戦略顧問・SUGENAフィジカルAIレポート監修者)
▼無料セミナーのお申込みはこちら(締切:7月23日14:00)
https://sugena.co.jp/seminar202607/
どんなことでも、お気軽にご相談ください。
https://sugena.co.jp/contact-us/
海外事業で課題をお持ちの方
●海外進出:https://sugena.co.jp/service/overseas-business/
●行政・自治体向けサポート:https://sugena.co.jp/service/local-government/
●海外企業との提携・オープンイノベーション:https://sugena.co.jp/service/open-innovation/
●開発・調達・製造支援:https://sugena.co.jp/service/cost-reduction/
●中国ビジネス:https://sugena.co.jp/china-business/
日本進出で課題をお持ちの方
●日本進出、現地化:https://sugena.co.jp/service/japan-business/
《今週の写真》マーライオン
マーライオン公園の、マーライオン。今日も海に向かって、勢いよく水を吐いている。
かつてはセントーサ島にもっと大きなマーライオンが立っていて、夜になると、目から怪しい光線を放っていたものだ。駐在していた頃は、日本から出張者が来るたびに決まって案内した。久しぶりに見るマーライオンは、どこか愛おしい。
《今週の写真・番外編①》チキンライス

鶏肉を蒸した、シンガポールの名物料理。もともとは中国・海南島の「海南鶏飯(ハイナン・チキンライス)」が起源らしいが、本場(?)の海南島で食べたそれは、正直、まったくの別物だった。シンガポールのチキンライスのほうが、断然美味い。
絶妙なのは、しっとりと蒸し上げた鶏肉だけではない。添えられる3種類のタレ——ピリッと辛みと酸味の効いたチリソース、とろりと甘いダークソイソース(濃口醤油)、そして香り高い生姜だれ——この3つが、また絶妙なのだ。
《今週の写真・番外編②》フィッシュヘッドカリー

シンガポールの人口は、約610万人。公用語は、英語、マレー語、中国語(北京語)、タミル語の4つ。人口のおよそ8%をインド系が占める。
そのためか、街のあちこちにインド系のレストランがある。そこで食べたのが、フィッシュヘッドカリー。その名の通り、魚の頭をカレーで煮込んだ豪快な料理だ。野菜もたっぷり入っている。
真っ黄色のカレーに沈んだ魚の頭を、スプーンで身をほぐしながら探す。大きな身を見つけると、それだけで嬉しくなる。ほじった身を皿に取り、ライスにかけたり、ナンに付けたりして頬張る。これもまた、久しぶりに食べると、たまらなく美味い。
2026年7月12日