「鷹乃学習」たかすなわちわざをならう
暦の二十四節気を更に細かく分けた七十二候でこの時期を表す言葉だ。5~6月に孵化したヒナは、この時期に飛び方や狩りの方法を覚え、独り立ちに備える。本来、縄張りを必要とするオオタカが親子で大空を舞うのは、飛ぶ技を学ぶ期間だけに限られているらしい。
■ メッシとヤマル
アルゼンチンとスペインの決勝が決まると、ネットは「W杯決勝で、あの二人が再会」と沸いた。
メッシと、スペイン代表のラミン・ヤマル。この二人には、19年前の1枚の写真がある。2007年、バルセロナ財団がユニセフ(国連児童基金)のチャリティーカレンダーのために撮ったもので、当時20歳のメッシが、生後5カ月の赤ちゃんだったヤマルを、その手で沐浴させている——そんな写真だ。あまりに出来すぎた縁ゆえ「合成では」との声も上がったが、ユニセフが「本物です」とお墨付きを与えている。
メッシは、バルセロナの10番だった。そして今、そのヤマルが、同じバルセロナで10番を背負い、エースとしてプレーしている。企画物とはいえ赤ん坊を風呂に入れた男と、入れられた赤ん坊。19年の時を経て、二人がワールドカップの決勝で相まみえる。これに興奮しないサッカーファンはいないだろう。
決勝戦は、スペインが終始圧倒した。アルゼンチンは堅いディフェンスの壁を最後まで崩せない。攻められ続け、ただ耐えるしかない展開だった。そして延長後半、ついに1点を失う。1対0。スペインが2010年以来16年ぶりの優勝を果たした。
2010年——そう、南アフリカ大会である。あの決勝を、私は友人のK氏とともに、ヨハネスブルグのサッカーシティのスタンドで観ていた。スペインがオランダを、やはり延長で沈めた、あの大会以来の戴冠だ。
試合後、呆然と芝生に座ったままのメッシ。
あどけない表情で喜ぶヤマル。
そして、二人が抱擁するシーンが、テレビ画面に映し出された。
次のワールドカップは、2030年。スペイン、ポルトガル、モロッコの共催で開かれる。地元スペインは、連覇を狙うことになる。その頃、ラミン・ヤマルは、まだ23歳。メッシが背負っていた10番を、今度はスペイン代表で着けて、ピッチに立っているかもしれない。
——その時、スペインまで観に行けたらなあ、と思う。
■ 「あ、骨、折れてますね」
マンションのゴミ捨て場で転んだ。
何かに躓いた。手には、束ねた新聞紙。とっさに手を離せず、肘から転び、しばらく立ち上がれなかった。左肘に大きな内出血ができた。時間を経ると「青なじみ」は腕にまで広がっていった。(※「青なじみ」は茨城の方言で、青あざのこと)
痛かった。ただ、幸い歩くことには支障は無く、右利きだから字も書けるし、箸も普通に持てる。さほど不自由がなかったので、しばらくすれば引くだろう、と放置していた。実際、痛みは日常の中に溶けていった。痛いことに慣れるというのは、人間のよくできた機能だと思う。
それから2か月近くが経った。痛みは引いたが、肘のあたりが、なんだかぶよぶよしている。転機は、大谷翔平選手だった。膝に水が溜まってオールスターを欠場する、というニュースを見た。膝に、水。——私の肘のこれも、水だろう。大谷選手が病院に行くなら、私も行くか。そうして重い腰を上げ整形外科へ。念のためにレントゲンを撮った。
先生はモニターを一瞥して、こう言った。
「あ、骨、折れてますね」
一瞥である。迷いがない。私が2か月かけて気づかなかったものを、2秒で見つけた。しかも、もう治っているという。放っておいたら勝手にくっついたらしい。私の左肘は、知らない間に折れて、痛み、その痛みが黙殺されているうちに自力で修復を終えていた。健気なのか、私が鈍いのか。おそらく両方だ。
そして、あれよあれよという間に、肘に針が刺さり、水が抜かれた。先生は、その注射器を私の顔の前まで持ってきて、「ほら、こんなに溜まっていましたよ」。びっくりするほどの量だった。
■ 先の見えない訪日中国人数減少
7月17日、日本政府観光局(JNTO)が6月の訪日外客数を発表した。315万人。前年同月比、6.8%減。
数字だけ見れば、「インバウンドも一服したか」で終わる話だ。見出しも、たいていそう書く。減った、と。ただ、中を開けると、話がまるで違う。
減った分は、ほとんど中国一国である。6月の中国からの訪日は、34万人。前年の80万人から、57%減。半分以下だ。理由ははっきりしている。中国政府が、日本への渡航を控えるよう注意喚起を出した。要するに政治だ。
その中国を脇に置くと、景色は反転する。韓国、台湾、香港、インド、アメリカ——15もの市場が、6月として過去最高を記録している。台湾は14%増、香港は28%増、インドは26%増。円安も手伝って、世界はむしろ、今までになく日本に来ている。
先日、地下鉄の霞ヶ関駅でのことだ。改札を出たところで待っていた女性が、ふいに「ナマステ」と声をかけてきた。まさか自分にではあるまい、と振り向くと、すぐ後ろにインド人らしき女性。にっこり笑って、「ナマステ」と返している。何ということもない、平日のごく普通の風景。最近はこういう場所で実にさまざまな言葉が耳に飛び込んでくる。日本に来る人が、これほど多種多様になったのかと、こんな一瞬にも実感する。
一方で、長く日中関係に関わってきた私の友人たちは、今の状況を、まるで1972年——国交正常化の、その前に戻ってしまったようだ、と嘆く。
■ 元気の素
ワールドカップが終わった。
そして日本のプロ野球は、オールスター戦を挟んで、いよいよ後半戦へ突入する。我が巨人軍は、ブルージェイズでホームランを打ちまくっている岡本選手の抜けた穴をいまだ埋めきれないまま——それでも首位争いを演じている。
先日の、中日戦。坂本勇人選手の、サヨナラ・スリーラン。YouTubeにアップされたあの場面を、もう最低30回は見ただろうか。今の私の、元気の素である。
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■ なぜ、いま「フィジカルAI」なのか
AIが現実世界の機器を自律的に動かす「フィジカルAI」が、実装段階に入りました。供給面では中国が突出し、2025年の世界ヒューマノイド出荷の約85%が中国製とされています。
一方の日本では、製造・物流・建設・介護といった現場の人手不足が、社会の維持に直結する局面を迎えています。政府も2026年6月、フィジカルAIに官民で2040年度までに10.5兆円を投じる方針を打ち出しました。
世界の潮流、日本の切実な必要、国家戦略の後押し。三つが同時に揃ったいま、問われるのは、この波を経済安全保障に適合する形でどう活かすかです。
■ 本レポートの三つの特長
1.中国語ソースに基づく調査であること。
日本語メディアには出てこない現地報道・政府資料まで丹念に拾い、整理しました。
2.実装者による監修であること。
監修者の鐘明博(かね あきひろ)氏は、清華大学卒の連続起業家。中国でソフトウェア企業の創業・上場企業役員を歴任し、現在は日本でフィジカルAIの社会実装を自ら手がけています。机上の理論ではない、現場の実装知に裏打ちされた一冊です。
なお、鐘氏は7月1日付で当社・株式会社SUGENAの戦略顧問に就任しました。今後は、当社のフィジカルAI実装支援事業を推進していきます。
3.完成品から基幹部品までの横断であること。
派手に報じられる完成品メーカーだけでなく、AI基盤・基幹部品メーカーまで整理し、「どの企業と、どう組むか」に踏み込みました。
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《今週の写真》スッポン
神田川で、大きなスッポンが日なたぼっこをしていた。
そういえば、井の頭公園にもスッポンがいる。春に甘い香りを漂わせていた梅林に、先日、季節外れの人だかりができていた。覗いてみると、産卵をして卵を地中に埋め終わったスッポンに向かって、人々が「よく頑張ったわねえ」などと声をかけている。
スッポン、案外、身近にいるんですね。2カ月程度で孵化するらしい。それまでカラスなどにつつかれたりせずに、猛暑を乗り越えて無事赤ちゃんスッポンが生まれることを見守りたい。
2026年7月19日