有限会社エコ・ライス新潟 代表取締役 豊永 有氏にお話を伺う第4回。
今回は日本米の海外での需要と米文化発展の可能性、豊永さんの海外展開への想いについてお話いただきます。

豊永 有氏 プロフィール
【現職】
有限会社エコ・ライス新潟 代表取締役
農地所有適格法人株式会社和 取締役
ながおか若者しごと機構 アドバイザー
新形質米利用研究会 会長
長岡機能性食品創造研究会 事務局長
新潟県山田錦協議会 事務局長
【資格】
農産物検査員(農水大臣認定)/防災士/その他、民間資格15
【主な経歴】
IDSデザイン大賞受賞、IDS THE BEST賞受賞
フードアクションニッポンアワード 優秀賞5回
青少年の体験活動推進企業 文部大臣賞受賞、審査委員会奨励賞受賞
輸出事業計画 農林水産大臣認定
地域未来牽引企業選定 経済産業大臣認定
災害食大賞2018 特別賞、復興支援賞受賞
民間放送連盟テレビ報道番組部門優秀賞受賞
フジテレビドキュメンタリー大賞特別賞
他、アルファ化米食品をはじめとする米製品の製造に関する特許、実用新案、商標権を多数取得

日本米の可能性とこれからの展開
ー 須毛原
次に、海外展開の話をさせていただきたいと思います。
2002年に会社を設立されて、2017年から輸出を始められて、今は11カ国輸出されていると。11カ国というのはどこになりますか。
ー 豊永
アメリカ、シンガポール、香港、マカオ、台湾、モルディブ、南アフリカ、フランス、オランダ、イギリス、ドイツです。
ー 須毛原
海外と日本との売上比率はどのくらいですか。
ー 豊永
圧倒的に国内ですね、海外は売上比率は今15%ぐらいです。
お米の売上は、去年はトランプ関税の関係で、本当に落ち込んだんですよ。
ー 須毛原
これから可能性があるということですね。
ー 豊永
今年は多分上がります。去年は高すぎてアメリカの関税もあって、ドーンと減ったんですよ。2400俵が800俵ぐらいまで減っちゃったんで。

ー 須毛原
「俵」で数えるんですか。
ー 豊永
私たちは「俵」なんですよ。どうしても。キロとかトンって言ってもピンと来ないですね。
ー 須毛原
海外だったら、キロとかトンとか㎥とかですよね。
ー 豊永
海外だと俵じゃなくてトン単位でいきますけど、計算するときは農家も出荷してくるときは俵単位なんですよ。
ー 須毛原
もしかして、頭の中で自動換算できるんですか。
ー 豊永
換算してますよ。今も換算して「えーっと……」みたいな感じで。
ー 須毛原
すごいなそれは。それで、取引のある海外の11カ国には全部行かれたんですか。
ー 豊永
ドイツ、イギリス、モルディブには行っていないです。
ー 須毛原
それでもすごいですね。海外から見ると、お米っていうもの、新潟の米、長岡の米というのはどういうふうに見られているという実感がありますか。
ー 豊永
多分、長岡とか新潟の米っていう意識は余程の人じゃないと知らなくて、「日本の米」なんですよね。だから最近、あまり新潟にこだわっても意味ないなというのが分かってきて。
ー 須毛原
私も海外が長いので、日本のお米の美味しさは身を以て知っています。そういう舌になっているからかもしれませんが、海外のお米がいかに不味いかっていうのはありますよ。
ー 豊永
そうですね。アメリカでは価格差があるのに何で日本米が売れているのかというと、まずアメリカではFDA(アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)とかが、おにぎりとかお弁当の場合、5℃以下か冷凍しか認めてないんですよ。お米って5℃以下とか冷凍すると、解凍したり温めてもパサパサじゃないですか。アメリカの米ってそうなってしまうので、とてもまずいんですよ。一方日本米は5℃ぐらいで保存しても翌日ぐらいまでは食べられる。そういうことなんですね。
ー 須毛原
米の性質か、米そのものの種類が違うんですか。
ー 豊永
違いますね。カリフォルニアなんかは中粒米ですよね、カルローズとか。海外では、いろいろな国からの移民がいて適当に炊くわけですよ。米文化じゃない人たちが。それよりは、例えばカリフォルニアで炊いて、それをデリバリーする方がいいんです。デリバリーの距離が遠いから翌日まで食べられるというところにメリットがあるんですよ。そうすると日本米の方が大体1.8倍ぐらい高いんですけど、人件費とか廃棄ロスのことを考えると日本米を使った方がいいというので、彼らが使ってくれているんです。
ー 須毛原
計算が成り立つんですね。
ー 豊永
そうです。
ー 須毛原
なるほど。
米文化って地域が限られていますが、今後パンと小麦の文化とか、そういったところでも米が普及する可能性はありますか。
ー 豊永
今まで世界で、米から小麦に変わったという文化はほとんどないんですよ。でも小麦から米に変わったというのは、アフリカを中心にたくさんあるんですね。なぜかというと、いわゆる扶養できる人間が米の方が圧倒的に多いんですよ。麦とかは土地を収奪していくんですけど、米の場合メコン川にしろ何にしろあれだけ濁ってるものっていうのは、いわゆる肥料分とかが多いので連作障害が起こりづらいんです。でも小麦とかって肥料とかをどんどん入れ続けなくちゃいけない。お金がかかるわけですよね。ベトナムでは3回取れるじゃないですか。1回は少なくてもトータルすると日本より取れたりするんで、これから米はどんどん増えてくると思います。日本は1人あたりの米の年間消費量の平均は47か48キロなんですが、例えばドバイだと119キロ食べます。インド米とかインディカ米とかを食べるんです。サフランでチャーハンみたいにしたりするので、日本のような白米文化はないですが。
ー 須毛原
私はドバイにはしょっちゅう行っていたんですけど、あまりお米を食べている印象がなかったですが。

ー 豊永
多分現地人が食べるようなところでは多く食べられています。バスラーの族長の家とかに行ったら、座って手でこう、もう死ぬほど食べさせられました。
ー 須毛原
中東ですか。確かに、レバノン人の自宅に行った時は食べたかもしれないです。
ー 豊永
ただ119キロのうち、彼らは捨てる部分も多いから、それも多分入っているんですよね。
ー 須毛原
台湾に向けて今日まさにエコ・ライス新潟さんの保存食が出荷されるんですけれど、台湾では他の商品ではもうビジネスをずっとやられているんですか。
ー 豊永
お酒と米ですね。普通の白米です。
ー 須毛原
今後、台湾でもっと事業を伸ばしていきたいという気持ちはいかがでしょうか。
ー 豊永
気持ちはありますし、現地に行きたいです。台湾に行って屋台で食べまくりたいですね。
ー 須毛原
今回はサンプル出荷ですし、「保存食」ということでやっていますが、それこそ介護食とか病院の方へも広がる可能性を見つけたいと考えています。もしタイミングが合えば是非、台湾へご一緒したいですね。
既にいろいろな国と取引されていますが、今後どういった国と取引されたいというのはありますか。
ー 豊永
南アフリカを入れたいと思っています。米も酒も。向こうで日本酒を作っている女性がいるのでその方とタイアップしてやるのと、向こうでお米を作ろうと思っています。お酒用の米ですね。日本のお米を売るというのも大切ですが、やはり地産地消でやってもらうっていうのがいいのかなと思っています。
ケープタウンに行ってお米を販売する時にも分かったのですが、地元の大学で地元のものを使うっていうのは、やはり彼らが非常に喜ぶんですよね。そういうことをやると、ビジネスがどんどん進んでいくので。
ー 須毛原
ビジネスの事業計画ではなくて、まずは「人」で、いろんなことを起こしてみて、結果的に数字がついてくると。
ー 豊永
実際、展示会でお米が売れたことがないんです。だいたいお酒を飲んで、「よくわかんないけどとりあえず買うよ。」みたいなところから始まるので。
ー 須毛原
私もビジネスで30か国ほど行っているので、よく「世界で一番好きなところは」と聞かれますが、 好きな国3つの中に必ず入るのが南アフリカのケープタウンです。Cape of Good Hope、喜望峰には本当に感動しますよね。
南アフリカでのビジネスのご成功をお祈りします。
日本米の海外での需要の高さ、米文化の可能性について語られる姿勢から、豊永さんご自身が日本米の魅力、海外展開の可能性を強く信じておられることが伝わってきました。その熱意が人を動かし、事業の成長に繋がっているのだと感じます。
最終回となる次回では、次世代を見据えた太陽光発電の活用と、100年先の農業と食の未来図について考察します。
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